僕らサルなのに・・・

くつろぐニホンザルたち(上野動物園)

哀愁のゴリラ(上野動物園)

 ヒトとチンパンジーのDNAは99%まで同じなのだという。僕らが思っている以上に、ヒトはサル(類人 猿)に近 い生き物なのだ。

 私たちとチンパンジーが共通の祖先からわかれたのは、36億年の生命の歴史の中でたかだか400万年前 のこと。 僕らは「人間」というものは特別な存在だと思いこんでいるけれど、実のところ僕らヒトとは要するに「直立するサル」なのだ。これは最近の サル学では常識に なっている。
 考えてみると、ボスザルがいたり、なわばり争いがあったり、発情したりと、僕らの社会も本質的にはサル山 と大差ない。 そのことを忘れて、僕らはあまりに「文明」を信じすぎているのではないか。その勘違いと傲慢が、いろんな形でヒト自身の首を絞めつつある んじゃないだろう か。

 この社会は、実のところヒトという動物にとって不自然極まりないものになってしまった。コンクリートと 鉄で覆わ れ自然から切り離された都市環境。添加物や抗生物質や農薬づけの食物。
 社会のしくみだって素朴に考えてみればすごくフシギだ。生きるために必要なモノはオカネがないと買えず、 オカネをもら うためにはカイシャとかでロウドウしなきゃいけない。カイシャに入るためにダイガクめざしてキョウイクを受ける。オシャレとかクルマとか ゲームとか、この 社会に用意されている楽しみを享受しようと思ったらどんどんオカネがかかる。
 僕らが生まれた時には、少なくともこのクニのヒトはそういう風に生きるのが当たり前ということになってい た。だから僕 らもそうしてきた。でもそれは本当に当たり前のことなのだろうか。ヒトは、生きるための方便だったはずのシステムを維持することに汲々と して、自分たちの 生の根っこを忘れてしまったのではないだろうか。

⇒「サル主義」とは何か!?


<本>
 J.ダイアモンド著「人間はどこまでチンパンジーか?」新曜社
 河合雅雄編「進化の隣人 サルとの対話」毎日新聞社
 立花隆著「サル学の現在」平凡社
                                                                                                   

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