9/15(日)結果的に生涯忘れ得ぬ1日となってしまった、槍ヶ岳登山の1日が始った。昨夜は大雨。小屋の中にいても雨音がすごかったから、テント泊まりにしていたらきっと眠れなかっただろう。小屋は混雑していなかったし、とっても快適でよかった。小屋でお弁当を作ってもらって6時出発。山頂を目指す。相変わらず雨が降り続けていて、写真だときれいに見えるはずの槍ヶ岳が見えない。でもここまで来たからと、山頂を目指す。

約1時間後槍岳山荘到着。ここまで来ると人の多いこと、多いこと。山荘は人であふれている。相変わらず雨は降っていて、すぐそこに見えるはずの槍ヶ岳山頂は雲の中。え〜ん、全然姿が見えない。とりあえず荷物を小屋の前に置いて、空身で山頂を目指すことにする。山頂は狭いので20人も人がいられないという噂。どのくらい混雑しているかは、先が真っ白で見えないので全く不明。普通だとここから山頂までは往復1時間とのこと。さて行きますか。

最初は快調に進めた。なんだ混雑そんなにしてないじゃんと思った瞬間、目の前に行列が。おおぉ〜。足場の悪い岩場の1本道。前が進まないと進めない。で、これが遅々として進まないもんだから、だんだんと体が冷えてきた。寒い。雨風が冷たい。グローブを忘れてきたQたろう、手がかじかんで泣きそうになる。あ〜ん、なんで忘れてきてしまったんだろう。とにかくなかなか進まない行列にひたすら下を向いて手をこすって耐える。2年前に行った剱岳もこんな感じだった。最後の山頂付近の「カニのたて這い」が大混雑で、イライラして犬君に「もう、山頂まで行かなくてもいい。帰る」とか「あのみんなが登っている岩場の横を登る」とか言って、困らせた。Qたろう、気が短いのだ。が、今回は混雑しているのは仕方ないと、少し大人になって耐え忍ぶ。

山頂から降てきた人が、「山頂行っても何も見えないからもうここで引き返した方がいいよ」と言いながら降りてきた。ぐらり。そっか、ここまで来ても槍ヶ岳どころ先の方が全く見えない状況。山頂まではまでは行列が続いているし、手は寒いし・・・ワタシはもういいや、ここで下山しよっかな、と振り向いたところ私の後ろもスゴイ列。ここでこの狭い道を引き戻すことは殆ど不可能に近かった。ああ、ひたすら耐える。

さて、ここは上りの岩場である。足場を確保しながら腕を伸ばして・・・といった具合によじのぼっていくコース。狭いので、殆どの人は同じ岩に手をかけ足をかけて登っていく。前の人が上にあがって足場のよいスペースがあいたら、自分も上っていくという状態。Qたろうが生涯忘れないであろう事件はここで起こった。5人組の最後尾にいたワタクシQたろう、後ろの中高年11人グループの会話が耳に入る。

 おばさんA 「私、なんかトイレに行きたくなっちゃったわ。」
 おじさんA 「だっれも見てないから、大丈夫だよ。しちゃえば〜。
                     ハーイ、みんな上向いて〜(笑)。」 (←口調からいって冗談」
 おばさんB 「そうよ、大丈夫よ、しちゃいなさいよ」
 Qたろう心中  『冗談きついなあ、このひとたち・・・。』
 おばさんA 「じゃ、いいかしら?」
 Qたろいう心中 『え?まさかね・・・。まさかね・・・。』

おばさんAの声はすぐ後ろから聞こえる。ここは槍ヶ岳山頂に続く狭くて細い上りの岩場。前にも後ろにも人がびっしり。この状況から考えて、絶対に冗談だと思いたいQたろう、恐くて振り向けない。すると先行のM夫妻と犬くんがこちらを振り返った。『なんかこの人たち悪い冗談言っているの・・・』と必死に目と口バクで3人に訴えるQたろう。最初、え?って顔していた3人、何故か突然前方に顔を向けてしまった。Qたろう、取り残された気分。まさか、まさかと最悪の事態を想像して足元を見ると・・・あ゛〜、おばちゃんの尻がぁぁぁぁ。私の足元におばちゃんの尻がぁぁぁぁ。風が吹き上げたらどーすんのよ!それよりも私の登山靴どーしてくれるのよ!うわぁぁぁ〜と心の中で叫びながら、速攻でとにかくどっか空いている場所へ向って上り始めた。

一瞬静まっていた11人組の声は、またしても勢いを戻し・・・。笑い声さえあげながら、何事もなかったように登山を続けている。いくら雨が降っているとはいえ、いくら他に場所がないとはいえ、1分1秒を争っていたのか・・・おばちゃん!もうちょっと足場のいい場所とか、開けた場所までガマンできなかったのかぁ〜!!!その後そこに手をかけて上る人もいるに違いない。頭ぶつける人もいるかもしれない。あ゛〜。

しばらくはショックで立ち直れなかった・・・。

あとから聞くと、M井夫はおばちゃんAがズボンに手をかけるところ、トモちゃんはピンク色のインナーっぽいもの、犬くんはパンツを見てしまって慌てて上を向いたそうな。なんで振り向いちゃったんだろう〜。いや、気づかなかったらもっと最悪の事態になっていたはずだ。あ゛〜。

なんとか1時間半後山頂に辿りつく。山頂直下のハシゴ2つは上り下り共用で、山頂は狭いので、「山頂、あと×人上れま〜す」とか「今から×人降りま〜す」とか声をかけあわなくてはならなかった。とりあえず私たち5人は11人組が来る前に上って、11人組が山頂に辿りついたらすぐ降りるという戦法。山頂は確かに何も見えなかった。雲の中といった感じ。写真で見たあこがれの槍ヶ岳山頂にどうやら私はいるらしい。祠の前で写真をパチリと撮って、早々に下山する。

下りはあっという間で15分くらいで降りてしまった。空いていてお天気がよかったら、最高に楽しいんだろうなあ、槍ヶ岳。槍岳山荘で冷えた体を暖かいコーヒーで暖めてから下山することにする。ほっと一息。するとまた11人組がどやどやと入ってきて、すごい勢いで飲み物を注文しはじめた。そこにいたお客さんの大半がこれを機に出てしまった。恐るべし、11人組。

雨の中、下山開始。下り大好きQたろう、軽快に下りはじめる。靴ズレがひどくなったキョウちゃんは1歩踏み出すごとに針で刺されるような痛みがあるといってつらそう。下りだしたら止まらないQたろうは、ガンガン下に向って歩いてしまう。M夫妻がキョウちゃんと一緒にのんびり歩いてくる。ごめんね、キョウちゃん、でも下山は急に止まれない。許せ。


適当なところで休憩をはさみつつ、テントなどをデポした槍沢ロッジに13時過ぎに到着。先に到着したQたろう、運悪くまたしても11人組と到着が同じになってしまった。おばちゃんたちがトイレに向ってガヤガヤ歩いているのを見て、トイレ渋滞が解消するまで待つことにする。そろそろ空いたかなあ〜と思ったQたろう、第2の悲劇が待っているとも知らずにトイレに向う。トイレは5つ。鍵が開いているトイレを選んでドアを開くと・・・あ゛〜尻が、またしてもおばちゃんの尻がぁぁぁぁぁ〜!!!しかも、あ゛〜尻から何か出てるぅぅぅぅぅ〜慌ててドアを閉めるが突然の不意打ちに立ち直れないQたろう。クラクラしながら到着したみんながいるところへ戻った。ショックが大きくてしばらくは何も言えない状態。気持ちが落ち着いたところで涙目で事の次第を訴える。本日は厄日に違いない。気を取り直して、ここから先は殆ど平地(これが結構ツライんだけど)だからと、生ビールで乾杯した!ちょっと幸せ。足の痛かったキョウちゃんもここからはM井さんのサンダルを借りて降りることにし、元気回復。よかった、よかった。

この日は頑張って、徳沢まで下山してキャンプ。芝生のきれいなキャンプ場はなかなか快適!ここは小屋に生ビールがあるので、テントを設営してから早速またしても乾杯!
あの11人組の姿は見えないし、とりあえず大丈夫でしょう。夕食は犬くんが持ってきたレトルトカレー。タイカレーやらグリーンカレーやらいろいろあっておいしかった。最後まで槍ヶ岳は見えなかったけれど、まあ無事にここまで降りてこれたから・・・と私がちがご機嫌で飲んでいると、ちょっと酔っ払っていい感じになった近くのテントのおじさんがやってきた。K高校の山岳部OBで山に来ているとのこと。若い人達がこうして山登りするのはいいねぇ・・・といつの間にやらM井夫の敷物をとって私たちの輪の中に。おもしろいので一緒におしゃべりしていたら、ワイン飲みましょう、少しだけれど・・・といって、1/5くらいになったワインを2本持ってきた。ありがたく頂戴する。そのうちにOB会だから(最高年齢80才の30人のグループらしいが、他のOBの姿は仲間と思われる2〜3人しか見えない)、歌集を持ってきたのだよ。といって、いきなり手作りの歌集を広げた。そしていきなり歌い始めた。これがまた声がひびく。上手なんだけど声がデカイのだ。周りのテントの人達うるさくないかなあと気にしながら聞いていたら、さ、次はどれ?唄って!ときた。え?私たちが歌うの???おじさん、私たちが歌うのが当然といった感じで、全く引く気配なし。仕方ないので、適当に歌集にあった知っている歌を歌ったら、おじさん更にご機嫌になって、次はこれ、次はこれ、と止まらなくなってしまった。まさかキャンプしながら歌ってしまうというものすごいことをする事態になるとは思わなかった。でもおじさんは止まらない。仕方ないので、ヤケになってノリノリで歌ってみたら、おじさん更に大喜び。他のテントから「うるさい!」って言われても「うるさいとはナンダ!」と基本的な酔っ払い。これが最後です!と何度か言っておじさんをなだめて、本日はお開きにしましょうと言って、おじさんには自分のテントに帰っていただく。肩で息をする一同。なんか、もんのすごく、恥ずかしいことしなかった?私たち。。。

9/16(月)やはり雨。雨に濡れたテントを担いで帰るのは気が重い。そして何故か転がっているワインの空き瓶2本。・・・これって、やっぱり私たちが担いで降りないといけないわけだよ・・・ね。やられた!中身は殆ど入ってなかったのにぃ!徳沢から上高地バスターミナルまでの約2時間は、やけに長く感じた。道が平坦で硬いので思い荷物を背負って歩くと負担が大きい。2時間ずっと頭の中に昨日の♪お、ブレーネリー、あなーたの おうちはどこぉ〜♪がずっと流れていたことはいうもまでもない。ヤホホ♪

11時過ぎには、沢渡の駐車場に到着。ずっとお風呂に入っていなかったので、とにかく今は風呂に入りたい!駐車場の横のペンションが外風呂OKとなっていたのでそこにお邪魔することにした。とりあえず汗を流すだけ・・・とあんまり期待しないで入ったのだが、ここのお風呂、きれいで広くて大当たり!最後まで槍ヶ岳は見られなかったし、(精神的に!)ツライこともいっぱいあったけれど、あったかいお風呂でのんびりしたら、全ては笑い話に・・・なるのか!?。
 
そんなわけで、尸(しかばね)・・・ 尻、尿、屎・・・はもうたくさんだぁ!の槍ヶ岳であった。
 
<<BACK

HOME INDEX