2004年7月17日 人生最大の悪夢・・・(2)。
ガイドの判断で、西表島に緊急連絡を入れる一方、一旦ポイントを離れてオガンの周りにいる他の船に捜索協力を依頼することにした。だんだんと風が吹いてきて波も立つようになってきた。波の黒い影が人の頭に見えて混乱する。船が揺れる。全員がひたすら海に目をこらす。
島の周りには2艘のダイビング船がいた。状況を伝えると、どちらもすぐにアンカーをあげて捜索を開始した。こちらの船は再びポイントに戻って、海中を捜索することに。しかし潮の流れが変わって捜索することも危険が伴ってくる。が、ガイドは必死である。 既に行方不明が分かってから1時間経過している。海中にいるにせよ、海面にいるにせよ、時間が経つほど助かる可能性が低くなってくる。なんだか頭がぼぉ〜っとしてきた。今起きていること全ては夢に違いない。
ガイドがポイントに再び潜る準備をしていた頃、捜索のために船影が小さくなるほど西の方へ捜索へ行ってくれていた他のダイビングショップの船が戻ってきた。船頭で誰かが大きなマルを作っている。M妻が、その船の後ろの方にいる人物を見つけて「あ、いた!あれ、絶対に間違いない!」と叫んだ。が、私の目からはまだそれがM夫なのかどうかがはっきりと分からない。船が近づくについれて、M夫の姿がはっきりと分かってきた。どうも、どうもと頭を下げている。メンバー全員、力が抜けて船にへたりこむ。「あ〜、よかった・・・。」緊張の糸が切れて涙が出てくる。そんな中、M妻だけは「もう、私あんな人イヤだ!私、本当にイヤ!」と怒り出した。全員が半分絶望しかけた頃、彼女だけは、「彼は絶対にどっかにいる」と言い続けていた。どこかにいると信じていたからこそ、出てくる言葉なんだろうなあ。
話の真相はというと、M夫は最初に潜降ロープに捕まりそこねて、更に船尾に流しておいた安全ロープにも手が届かずにあっという間に流されてしまったのだそうだ。 少し潜っていた分、船上の人に気づいてもらえず、もちろん海中の人たちは上を見る余裕などないので気づいてもらえず・・・ということであっという間に船から離れて、2時間ほど海面を漂流していたそうである。彼からこちらの船は波間に見えたり見えなくなったり・・・どんどん西に流されて行って、西表島から離れていくのが切なかったなあと後から話していた。彼をみつけてくれた船は、フロートを海に流してフロートが行く方向に船を流したら、彼がいたと教えてくれた。彼はパニックを起こすこともなく意外に冷静だったらしい。助けてもらった船にいた人が、自分は15時間漂流したことがあるから大丈夫だよと変ななぐさめをしてもらったらしい。いいんだか、悪いんだか・・・。
さてその日の夜は全員がそろった最初の晩&お誕生日の人が2人いるということでちょっとしたパーティを予定していた。事前に全員に”正装”を用意してくること!と通達してある。昼間の事件で”パーティ”が沈みこんでしまうか思いきや、これがまた・・・。それぞれが用意してきた正装はこんな感じ。
Q シンガポールエアラインの客室乗務員の制服(←何年か前に父親がお土産に買ってきた)
犬 ネパールの民族衣装(←普通に見えるから不思議)
T郎 浴衣 (日本人としてはこれでしょ!)
K(♂) ココナッツの実の胸あて腰ミノ (←パラオで仕入れてきた)
ドクター 海パンの上に白衣と聴診器。もちろん前ははだけている。(←この人、ホンモノのお医者さん)
M夫 海パンの上に素肌にネクタイと靴下のみ(サラリーマンの正装と真顔でいいはるM夫)
つくづく、アホである。昼間のことをすっかり忘れて(?)ガハハハとお酒を飲む仲間たち。このとき、この人たちとは一生つきあっていきたいよと心から思ったのであった。夜が更けるまでの泡盛の宴。明かりを消して皆でデッキに寝転がって眺めた満面の星空がすごい。
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