メタ用語

作成日:1999-07-30
最終更新日:

もくじ

はじめに

1999年中小企業診断士第一次試験用の墓碑銘となるつもりで作った、 科目共通で使う用語集です。 冗談主体の小辞典とは違い、こちらは真面目に書いたつもりです。 また、二次試験用にも付け足しております。

目次に戻る

あ〜お

意思決定(decision making)

サイモンが研究した分野。 不確実性をもつことが当然。経営基本管理において、また経営情報管理において押さえておくべき項目。

目次に戻る

か〜こ

規模(magnification)

中小企業診断士という名前からは切っても切れないもの。従業員の数で (分野による違いこそあれ)中小企業か、大企業かの差が出てくる。

経済的知識などで言われる「規模の経済」は、大量生産によりコストが安くなること、(cf. 範囲の経済)
販売管理で、市場ターゲットをきめる時も、マス・マーケティング、ノンマス・マーケティングとなり、 規模の違いが出てくる。正確には、市場細分化がすべての市場をカヴァーし、市場差別化が特定の市場に絞る、 のではなかったかな。

教育・訓練(education and training)

労務管理の模擬試験で、教育と訓練の違いを書け、という問題が出た。 教育は資質の向上で、 訓練は特定の業務に対する向上だ、などと書いたが、あまりいい点はもらえなかった。 ともかく、生産性の向上、品質の向上、職務に対する意欲付け・動機付けなどの意味で、教育と訓練は それぞれの重きをどこに置くのかの違いはあるが、仕事の一部として行う必要がある。 問題は、教育・訓練の効果をどのようにして測定すべきか、ということがある。 一定の訓練を施したものと対照群をくらべて、などという悠長な実験は現場では不可能に近い。 否、だいたい独立した教育・訓練の 時間などとれないというのが中小企業の現実であろう。

二次試験では、業務のミスが頻発するという事例が出てくることが多い。これにたいしては、 教育・訓練を実施するというのが一つの解答となる。 これとの対で、教育用の資料を作成する、ということも 必要になる。問題は、その教育に要する手間がどれだけかかるかということだ。仮に教育を授ける側も 自社の人間から出すと、当然のことながらその人間の工数も必要となる。教育用の資料を作る時間もかかる。 これだけの労力を割いて、果たして割にあうのか、というのが偽らざるところだ。

組み合わせ(mixture, combination)

最適化との関連で、複数の種類の何かをある目的のためにどのように配分するかを決める。
販売管理では、マーケティングミックスというのがある。どのように広告宣伝を行うか、だったかな。
生産管理では、プロダクトミックス(略してプロミックス)がある。利益を最大化する組み合わせとか、 特定の目的のために組み合わせをいろいろと考える。
特に、端的に表されるのは線形計画法。2変数で制約式の少ない問題は図式解法で間に合う。 変数が多くなるとDantzig の考案になる単体法が用いられる。

二次試験でも、中心市街地活性化に関して、テナントミックスということばがよく出てくる。 これは店舗(の種類)の 組み合わせということかな。たとえばわたしの連れ合いは、イタめし屋がない商店街なんて行かない、 とぬけぬけと言う。

計算(calculation)

計算問題というのがいろいろな分野で出てくる。共通科目では財務管理が特にそうである。 専門科目のうち、情報分野は経済的知識を除いてすべての科目で出てくる。
財務管理で計算ミスをしないためには、こんなところに気をつけよう。

効果(effect)

労務管理では、人事考課のときに陥りがちな現象のうちの一つに「ハロー効果」なる名がある。 これを含めて、他にも人事考課の現象にはいろいろな名称が与えられている。

販売管理では、理論と同等に扱われる「フォード効果」などがある。 また、ブランド戦略では、 所有物の調和を求めて次々と物を消費してしまう現象を 「ディドロ効果」と呼んでいる。

公式(formula)

財務管理では、いくつかの指標を「公式」として覚えなさい、とものの本にある。 しかし、ああいうのは公式ではなく、定義である。公式は、定義から導き出せるがめんどくさいとか大事だとか いう理由でちやほやされるものをいうだけだろう。
例えば、売上債権回転率は売上高/売上債権である。これは「定義」である。 これを公式扱いするのなら、公式の立場が泣く。
財務管理で公式らしい公式は損益分岐点売上高である。これをSbと書くと、 公式は次のようになる。

Sb = F / (1 - V/S)

ここで F は固定費、S は売上高、V は変動費である。S - V は限界利益、1 - V/S は限界利益率である。
公式というからには、こう、変数でかいてくれないと気持ちが悪い。

生産情報システム(でいいだろう)で扱われる有名な公式は、 経済的発注量の公式である。 これなど、なかなか覚えられないのだが、いざとなれば導出は可能である。 平方根の中の式は、分子が2NR, 分母はCIである。
N:単位時間当たり所用数量(個/年)
R:一度の発注に要する費用(円)
C:一個あたりの値段(円/個)
I:在庫費用率。CIの単位は(円/(個・年))
これらの単位を整理すると、中身は「個」の二乗である。従って、平方根をとれば、単位はめでたく「個」である。 次元解析が役にたつのは、振り子の公式だけではない。

目次に戻る

さ〜そ

在庫(inventory, stock)

はるか昔、在庫は富の象徴だったらしい。だから、あればあるほど善と考えられていた。 今は違う。在庫は適正であることが望まれる。 過剰在庫であれば、保管料が嵩んだり、磨耗、腐敗、陳腐化などで 製品価値が低下してしまったりする。かといって不足在庫であれば、機会損失のコストが生じる。 そんなわけで、在庫を適正に保つこと、また在庫量を的確に、瞬時に、安価に(手間をかけずに)把握する必要がある。 現在の在庫は、昔の在庫から出ていった分を引き、入ってきた分を足せばわかる。 この式ははるかエジプトの時代から知れ渡っていた、世界最古の等式ということを聞いた。 それはいいとして、実際そうはいかないのが現代でも進歩していないところである。 理由は各種ある。

これらを解決するための一つの手段は、棚卸(inventory, stocktaking)を実施することである。 棚卸の規模の面からは、一括棚卸と循環棚卸に分けられる。循環棚卸とは、棚卸すべき区画を分割し、 その分割した域内のみを棚卸することである。循環、という意味の通り、一定の期間内には棚卸を一通り 終わらせておく必要がある。また、棚卸が一巡するまでは、対象在庫と区画割は極力変更しないことが 要求される。

なお、インヴェントリーということばは、労務管理でも出てくる。従業員の教育・訓練の記録をまとめて 整理した結果を、スキルズ・インヴェントリー(技能の棚卸)という。言い得て妙だ。

最適化(optimization)

ある一定の条件の下で、目的となる指標をもっともなんらかの意味で良くしようとするときに、 その指標に関係ある種々の変数を調整すること。目的となる指標は複数のこともある。

経営基本管理では、満足化原理に対応する利潤の考え方として、利潤最適化ということばが用いられている。 そして、必ずしも最適化は経営においてうまくいかない、というのがサイモンの意見である。 事実前提や価値前提という、不確実性をもつためである。

財務管理では、最適化ということばとは間接的に関わりあるのがMM理論である。 自己資本と他人資本の最適な比率は存在しないというのがこの理論であるが、法人税の存在により 負債を利用すると節税価値が出てくるとか、いろいろな条件が出てくるのだった。
もう一つ忘れてはいけないのが、ポートフォリオである。あれもリスク最小、リターン最大をねらうと 一定の株式の組み合わせが出てくるのだった。

販売管理では、最適を目指して4つのP(販売促進、チャネル、製品、価格)を組み合わせるのだった。

情報系の専門科目では、たとえば線形計画法、経済的発注量(EOQ)など、最適化の嵐である。

目次に戻る

た〜と

定義(definition)

ことばの意味を明確にする作業。用語と一対である。 どういうわけか、販売管理では「マーケティングの定義」というのが出てくる。 他の分野ではわざわざその分野の定義など出さないのに、どうしてだろう。

財務管理を勉強すると、勘定科目をいろいろ覚えないといけない。 金額に使途の名称をつけるというのは、私みたいなずぼらからすれば新鮮であった。 また、盛んになんとかなんとか率というのが出てくる。これもよくわからない。知らなければどうしようもない。 率で気をつけないといけないのは、どちらが分母でどちらが分子かがわからなくなることだ。 私はどうしたかというと、この率は少ないといいのか、多いといいのかまで知ることだった。
それから、ある本でしか触れられていなかったが「なんとか回転率」というのは、 必ず分子に売上高がくるような数値であることなのだ。うーむ。 ちなみに、回転率の単位は「回」である。

目次に戻る

な〜の

目次に戻る

は〜ほ

分解(decomposition)

さまざまな概念を包含している指標を部分概念に分け、理解をしやすくする作業。
財務管理では、特にお馴染みである。 和への分解と積への分解がある。 和への分解は、固定費と変動費との分解がある。 積への分解は、利益率を売上高対経常利益と資本回転率への分解が基礎。 これは費用構造と資産構造への分解と言い換えられる。

法律、法規(law)

社会生活を営む上での約束事
一番多く出てくるのは労務管理。たとえば1999年では次の法律が話題となっている。

その他にも、多くの労働法規がある。
他には、販売管理の分野で、独占禁止法は重要である。
財務管理では、法律に加え、各種基準が話題となっている。
商法のほか、BIS、国際会計基準(連結財務諸表、税効果会計、キャッシュフロー決算書など)である。

目次に戻る

や、ゆ、よ

目次に戻る

ら〜ろ

理論(theory)

予測性があり、共通に説明がつけられるような事実からの演繹。 販売管理では、次の理論が有名。

理論より筋道が弱く、現象が派手な事象は効果と呼ぶ。

A-Z

目次に戻る

まりんきょ学問所中小企業診断士(休止中)勉強の部屋≫ メタ用語
MARUYAMA Satosi