桃屋のラー油はファドか -- 中小企業診断士(休止中)勉強日誌(2010 年 5月) |
作成日: 2010-05-16 最終更新日: |
私にとって、桃屋はビン詰めのおかずの会社である。 海苔の佃煮である江戸むらさきや、メンマ、ザーサイ、やわらぎなどを食べてきた。 特にお気に入りはやわらぎ(正確には穂先メンマやわらぎ)で、 普通のメンマより小ぶりで柔らかく、 ラー油の効きも絶妙である。メンマやザーサイより高いのが難点だが、 スーパーの安売りでたまにメンマやザーサイと同じ値段になったときはすかさず買う。
さて、今日久しぶりに近くのスーパーマーケットに行った。 店内の陳列がどうなっているかを調べるためではなく、 単につれあいの買い物に同行しただけである。 ビン詰めの近くを通っていたとき、ある年配の客が店員に尋ねているのを聞いた。
客:桃屋のラー油はありますか。
店員:すみません、あいにく切らしております。他の会社のならここにもありますが、
桃屋のは生産が追いつかないようです。
客:桃屋のはないのかしらねえ。
店員:どこのスーパーでもないと思いますよ。
そういえば、食べるラー油がはやっている、 ということをテレビで聞いたか新聞で見たかしたぞ、と思った。 ちらりと客と店員のいる棚を見てみると、棚に商品がない。 棚に商品がない、ということは石油ショック以来なかったぞ。
つれあいは気づかずに買い物を続けている。 自分たちは買いたいものを買って勘定を済ませ、買い物袋に買ったものを入れながら、 「お客様の声コーナー」を見た。 すると、罫線を無視して大きな字で書かれたカードが目に入った。
桃ラーおいて下さい
店の回答は、「桃屋も生産が追いつかない状態で、 商品の確保ができるかどうか未定です」だった。 正直だ。
同じとき、同じ商品について2度も衝撃を受けたのは初めてである。 なぜ食べるラー油がはやったのか、調べる元気がない。 そういえば、少し昔は生卵にかける醤油がはやったし、 その前はトコロテンだったか寒天だったかが品薄になった。
最初、食べるラー油がはやったのはダイエットのためか、と思いこんでいたが、 これは勘違いだった。単にうまいからはやったのだった。 それに、桃屋のラー油の前に、沖縄発のラー油がはやったようだ。
私は春巻や餃子につけるラー油が好きだが、 さすがにビンのラー油をごはんにかけることまではしない。 ただ、やわらぎを浸しているラー油は好きで、 やわらぎがなくなったあとのラー油だけを飯にかけて食うことはたまにしていた。 これはうまかった。きっとこんな体験をかなりの人がしていたのだろう。
さて、物が爆発的、熱狂的に流行して、その一時の流行が急激に廃れることを、 ファド (fad) という。 昔、中小企業診断士の試験に出た用語だったので思い出した。 この食べるラー油はファドだろうか。
インターネットの資料によれば、桃屋のラー油の品薄状態は半年続いているようだから、 一時的というよりはもう少し長い間隔で捉えられそうだ。 いつかは流行も収まるだろう。だが、ファドよりは息の長い商品になるだろう。
私自身はファドに乗るつもりはないが、品薄状態が収まったころ、 密かに買って食べてみたいと思う。ただ、品薄状態が収まったころ、 食べるラー油も忘れてしまっているだろう。 (2010-05-16)
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