小規模電器店のテレビの売り方 -- 中小企業診断士(休止中)勉強日誌(2009年7月) |
作成日: 2009-07-23 最終更新日: |
ある中年夫婦が小規模電器店へテレビを買いに行った。 なぜ小規模電器店を選んだかというと、夫が中小企業診断士であり、 地域の店に貢献しなければ、という使命をもっており、妻も夫の顔を立てよう、と思ったからである。
まず、どのような機種があるのか、お勧めは何か、ということを聞くためにこの小規模電器店に行った。 この店をS店とする。夫婦の家から徒歩でも行ける、最も近い電器店である。 妻は、種類を見比べるだけなら2駅離れた大規模なJ店がいいのではないかと提案したが、 夫は、買うところと同じところでよい、と主張して、結局S店になった。
小規模とはいえ、S店には20台近くの大小テレビが陳列してある。 応対に出た男性店員は、いろいろ説明してくれた。 まず、当店で主に扱っているのは、ソニー、パナソニック、シャープの3社であるということだった。 実際に陳列してあるのはこの3社のみである。 次に、値ごろ感があるのは32型であるということだった。 このサイズが一番よく売れるので価格も安く、これより小さいサイズでは、 小さくなった分の価格の下げ幅が小さくなる、ということだった。 会社別ということでは、先の3社のうち、パナソニックは少し高めである、ということだった。 画質では、シャープは色を少し抑えている、と説明されていた。
ここまで聞いて、先の3社のパンフレットを持ち帰った。 テレビと、ブルーレイのレコーダの1冊ずつだから、合わせて6冊である。
以上の情報をもとに、夫婦は議論した。 夫は、シャープでいいが、32型ではインターネットにつなげない。37型ならば、 インターネットにつなげられる。大きくなるがどうか、と提案した。 妻は、了解した。シャープがいいのは、デザインが落ち着いているから、ということだった。 ブルーレイのレコーダも自動的にシャープのものに決まった。
さて、以上の品を買う決心をして、一週間後S店に行った。 このとき出てきたのは女性店員であった。この店員は、夫婦の顔を知っている。
店員は、夫婦の希望を聞くと次のように薦めた。 このアクトビラのベーシックでは、ビデオ・オン・デマンドができませんよ。 ぜったい、つながっているほうがいいですよ、というのだった。 それを聞いて、夫は心が動いた。やはり、アクトビラのフルがいい。 この瞬間、妻は怒った。あんなにシャープがいいと決めていたのに。 しかし、夫は考えを変えない。シャープのアクトビラのフルに対応する機種は、 サイズが大きくなってしまい、問題外となってしまう。
そうなると、パナソニックかソニーか、という問題になる。パナソニックは高い、 というのでソニーになった。店員は、「大きい画面がいいですよ」といい、 40型を薦めたのだが、結局「今自分たちは14インチの画面ですから」といって、 ソニーの32型を買うことになった。
ビデオも変更になった。結局、SONYの一番安い、ブルーレイ録画のタイプだった。
この一件で、妻は夫を詰り続けた。夫は見るも可愛そうである。
そして、おそらく、店側から見ても失敗だったのではないかと思う。 というのは、夫婦は納得してシャープの37インチにしている。 これは、ソニーの32インチより高い。ということは、それだけ見入りが多かったのではないか。 それなのに、夫の妙なインターネット癖を炊きつけてしまったがために、 そして、夫婦が32インチで十分だ、を通してしまったために、 より高い商品を売ることに失敗してしまったのである。(2009-07-23)
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