中小企業診断士(休止中)勉強日誌(2008年10月) |
作成日: 2008-10-19 最終更新日: |
中国産の乳製品に、有害なメラミンが混入していたという報道があった。 一方で、サブプライムローンの焦げ付きによる大手会社の破綻が相次いでいる。 両者を結びつけるものは、悪いニュースという観点のみにみえる。
ところが、両者を結びつける観点がある。それは、 分割して混ぜてしまえば一見わからない、という考えである。 乳製品のメラミンは、粉ミルクという形では明らかに人体に害を及ぼす。 しかし、別の食品の添加物という形になれば、 人体に害を及ぼしているかはわからなくなる。少なくとも顕在化はしない。 一方、大手会社の破綻は、リスクという害を及ぼす要因を金融商品に分散した結果、 顕在化した害である。リスクは薄まりこそしたが、総量は変わらなかった、 ということである。
私はこの相似性を発見して嬉しくなった。悪いニュースなのに嬉しくなるのは不謹慎だが、 勘弁してほしい。
では、私たちはどうすべきなのか。中小企業はどうすべきなのか。 解答は持ち合わせていない。でも、考えることはできる。
まず、金融工学はこれからも発達させなければいけない。 今回、大手会社の破綻が引き起こした金融危機は金融工学のせいだ、という評論家がいるが、 不正確と思う。金融工学というものがあったから起きた、というべきではないと私は思う。 正しくは、金融工学が未成熟だからゆえに起きた、というべきだ。 工学を名乗るからには、予測がつかなければならない。 機械工学の分野では、破壊力学という分野がある。 欠陥、亀裂のある構造物が破壊に至る過程や現象を研究するものである。 また、欠陥や亀裂を調べる検査も、破壊的検査や非破壊検査があり、 有用である。これらを発達させる必要がある。
もっとも、金融工学に対する貢献は、私のような凡人にはできない。 伊藤の確率微分方程式もわからないし、 ブラック・ショールズ方程式さえちんぷんかんぷんである。 しかし、これらを理解しようとする好奇心は持ち続けていないといけないだろう。
そうなると、リスクを正しくこわがるということだろうか。 寺田寅彦は、こういっている。 「 物事を必要以上に恐れたり、全く恐れを抱いたりしないことはたやすいが、 物事を正しく恐れることは難しい。 」(2008-10-19)
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