エネルギー政策:RMC 東京ニュースを読む(2011 年 8 月)

作成日: 2014-07-20
最終更新日:

原子力発電所に関する論調

お二方が意見を述べている。ある方は、原発よ自立せよと説く。 その必要条件は2つあるという。

  1. 全原発に対する耐震性の視点からの徹底した総点検実施と 耐震基準にかなう原発についての地域市民からの信頼回復
  2. 原発に関わる全ての経済的コスト・リスクの電力会社による負担。 および原発事業に関する取り組みを自己決定できる仕組みの構築。

私見ではどちらも極めて困難であろう。第1については、耐震性だけでなく津波被害も想定しなければならないことが抜けているだけでなく、 実際に福島で事故が起こってしまってからは信頼という積極的な意思表示を地域市民は見せないであろう。 第2についても、リスクを一企業で負担するということには正気でなければ耐えられないはずだからだ。 もしこの必要条件を認めるとしても、どちらの点においても原発は撤廃するという結論になる。

もう一方の意見は、化石燃料、原子力、再生可能エネルギーを適切に組み合わせたエネルギー・ミックスこそが、 日本の活力を維持しつつ、安全・安心な暮らしをもたらしてくれるというものだ。 エネルギーミックスの考え方は私も肯定するが、そのなかに原子力が取り入れられることに私は反対する。

この論者はいう。

原子力制御の理論、 日本企業群の精緻なものづくり技術が生かされた原子炉など安全に運営する素地はあると思います。 今回はそれを生かす政府/電力会社一体となったマネジメントが欠如していました。 その点は真摯に反省し得られる知見を今後の原発の設計や運転管理に反映することでより安全な原子力を実現すべきです。

私も技術者のはしくれだから、そう思いたい。しかし、あまりにも原子力発電所は危ない。事故が起こればこれはすぐに苛酷事故となる。 言葉で安全な原子力というのは簡単だが、残念ながら原子力の制御は人知を超えていると私は判断する。 また、単一エネルギー源に依存するのは危険ということも論者は述べている。私もこの意見そのものには賛成だ。 まず、化石エネルギー、なかんずく石油は地政学的なリスクがある。では、原子力発電に使われる原料、 すなわちウラン鉱石に地政学的なリスクやはないのだろうか。 Wikipedia で見る限り、ウラン鉱石の埋蔵量は多い順にオーストラリア、カザフスタン、カナダ、南アフリカ、アメリカ合衆国となっている。 少なくとも産油国とはぶつかっていない。しかし、これらの国々が結託してウランの輸出を制限すれば石油と同じことである。 それに、ウラン鉱山の労働者も放射能による被害に苦しんでいると聞く。

とはいえ、エネルギー問題は考える範囲が広い。ここまでにする。

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MARUYAMA Satosi