鋳物と砲丸:RMC 東京ニュースを読む(2010年 9 月号)

作成日: 2010-12-30
最終更新日:

埼玉県富士見市の有名企業

埼玉県富士見市出身の知人がいる。 彼によると、富士見市の有名企業は有限会社辻谷工業という。 この企業は従業員6名であるが、砲丸投げの砲丸を作らせたら世界一である。 最近では、中国の北京オリンピック用の砲丸提供を断ったことで知られるようになった。

この辻谷工業の技術と理念には、全く敬服する。 しかし、気になることがあるのでここで書き付ける。

ホームページはどこへ行った?

この辻谷工業は、以前はホームページを公開していた。ところが、現在はない。 気になって www.archive.org で調べると、 2008 年 3 月 30 日時点ではホームページがあった。 砲丸のことはもちろん、ハードルについても言及があり、 ちいさな、小さな会社ですがより良い製品を造る事を目指し社員一同 頑張っています。 という主張が泣かせる。 2008 年 4 月 30 日時点でも、3 月 30 日と同じアーカイブが保存されている。 ところが、この日以降のアーカイブがない。何があったのか。

と思ったら、現在きちんとあるではないか。 ということは、他のページが更新されていないということか。 辻谷工業のホームページ(www9.plala.or.jp)

技術承継はどうする?

現在の砲丸はどのように作られているか。 下仕上は息子さんの友孝氏が担当し、最終仕上は社長の政久氏が担当している。 いつ、この最終仕上の技術を承継できるのだろうか。おそらく承継の対象は友孝氏だろうが、 タイミングを計らないとせっかくの技術が途絶えてしまいかねない。 参考:http://www.gijyutu.com/ooki/tanken/tanken2002/tsujitani/tsujitani.htm

鋳物は魔物

実は、辻谷工業のホームページが新しくなっていることがわかったのは、 「鋳物は魔物」ということばで検索をかけたからである。 www.archive.org に残っている旧ホームページを見たとき、 「鋳物は魔物」という言葉が紹介されていて、これが実際どういうことか知りたかったのだ。 「辻谷工業」の名前で検索してもホームページにたどり着けなかったのは、 辻谷工業を賞賛した他の方々のページが先に出たためだった。

鋳物が魔物である理由は、辻谷工業の上記ホームページを見てもらえばわかるだろう。 鋳物に使われるのは鋼(steel)というよりは鉄(iron)であり、炭素(C)を多く含む。 私がむかし学生だったころ、機械工学の授業を受けたとき「Fe - C の状態図(相図, phase diagram) を覚えておけ」といわれて、一生懸命記憶しようとしたことだけは覚えている。 この状態図はいろいろな鉄の成分が出てくるので、本当に困惑した。 他にも、冷却の仕方や、炉の上下による成分の変動など、私にはわからないことだらけだ。 だから、鋳物が扱える人は本当に尊敬する。

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MARUYAMA Satosi