庇を貸して母屋を取られる:RMC 東京ニュースを読む(2010年 8 月号) |
作成日: 2010-12-30 最終更新日: |
ある企業の起業者の講演と参加者の質疑応答記事を見た。 この記事で、 「資金繰りのために大手商社を入れると、軒先を貸して母屋が盗られる事例もあるので用心するように」 という助言があったことが紹介されていた。
「軒先を貸して母屋が盗られる」ということわざは含蓄深い。 通常は「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」、 あるいは「軒(のき)を貸して母屋を取られる」というのが普通だ。 こういうことは残念ながら生じやすい、ということはわかる。 しかし私が知っている例では、むしろ支援した大会社が起業者を生かすことができず、 共倒れしてしまう、ということが多い。どうしてだろう。
私がいうべきことは、しっかりと契約をしよう、ということなのだが、 考えてみれば契約時点から大手商社はしっかりと契約に関する知恵者がいる一方、 起業者には契約のプロがいることは希である。 中小企業診断士は、今は経営法務についても知識を持ち合わせているべきであるから、 適切な支援ができることが望ましい。
いつも契約というと、小さい企業では、あるいは立場の弱い企業は損をする。 たとえば、売主は代金がほしいために、リスクの多い契約を飲まざるを得ない。 また、時間がないからといって、どうみても契約としては不十分だったり、 必要な責任者への回覧を怠ったりして行なう契約もあったりする。 そんな契約だったらなしにしてしまえ、 という言いたくなる気持ちを堪えて、こんな契約が必要だろうな、 と思って準備をするしかないのが今の私の気持ちである。
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