危機の不連続性:RMC 東京ニュースを読む(2010年 7 月号)

作成日: 2010-12-30
最終更新日:

資金繰りか、地震対策か

中小企業は危機に弱い、そうなのかもしれない。 ただ、目先の資金繰りに追われ、将来の危機への備えなど考えられないところも多いだろう。 そんな中小企業を「危機意識が足りない」といって責めることなど、どうしてできようか。

ある BCP (事業継続計画) 関係の記事を見て、そう思った。 私が勤務している会社は中小企業ではないが、 かといって大企業というには金も資源も足りない。

この会社で一時期、地震が来たらどうしよう、ということで計画を立てた。 それがたぶん5、6年前だと思う。 緊急時の連絡先や 東京にある事務所が機能しなくなったときの大阪連絡先などを書いたカードを持つように定められた。 また、災害時のマニュアルも定められた。

ところが、そのあとカードの更新はいっこうになされなかった。 また、災害時のマニュアルも放置されたままだった。 そして最近、新型インフルエンザの流行があったが、このマニュアルの改訂にはいたらなかった。 その代わり、緊急時連絡用のシステムが導入された。 これはいいが、阪神淡路大震災並みの災害があったら、 電気も止まり回線も通じなくなるのではないか。

どんな危機があるのか

私はある事業部で経理にからんだ仕事をしている。経理の担当者がいるのは東京だけで、 システムも東京でしか使えない。したがって、人かシステムが東京でダウンしたら、 それだけでアウトである。 知恵を絞れば人は東京にいなくてもよいはずだが、まだそのシミュレーションはしていない。

そんなことで、事業継続計画を立てろ、という命令が本社組織から来た。 私は「事業部の経理がうまくいかないときは本社組織でやってくれ」とつき返した。 それに対する回答はここでは割愛する。

この事業継続計画の回答の中で私は初めて、人がいないという状況は結構日常でもあることに気付いた。 4人が3人になればあまり気付かずになんとかやっていける。 しかし、3人が0人になったらどうか。もうだめだ。 4人が3人になったときに仕事をどう分散するか、 誰が代わりを務めるかなどを定めておくことが大事なのだ。 災害時の計画を立てることも大事だが、 その前に必要なのは、今そこにある小さな危機の延長に大きな危機があるかもしれない、 という意識を持つことだ。(2010-12-30)

まりんきょ学問所中小企業診断士(休止中)勉強の部屋日誌≫ 危機の不連続性:RMC 東京ニュースを読む(2010 年 7 月)


MARUYAMA Satosi