RMC 東京ニュースを読む(2004年1月)

作成日: 2004-01-12
最終更新日:

生産現場から考えた「理論についての考察」

プラスチックの成形工場を経営している診断士が、自身の現場について考えたことを、 理論として紹介している。 その理論とは、多くの注文、製品群、加工方法を無視して、すべて同一の商品を売っていると考えるものである。 その単価は同一であり、毎日の生産個数にのみ着目して採算に乗っているか否かを判断するという。

この理論の正しさを傍証するものとして、著者は物理学の例を出している。 特に、物理学の中の古典力学では、 物体の運動は真空中の質点(質量のみを持ち、大きさはなく位置のみがあるという抽象的な概念)の運動として 単純化される。このことから、運動の本質が理解できる。

私には、最初ずいぶんと強引な近似に思えた。しかし、読みなおしてみて、 なるほどこれは役に立つ方法だろうと考えを改めた。なぜなら、実際にうまく機能している、 と著者がいうからである。何もせずにぼんやりするより、また複雑なデータで頭を抱えているよりは、 毎日の生産個数を数えるだけで、損益分岐点に達するかどうかがわかるのだ。

もちろん、個数だけで割り切れるわけではない。引き合いに出された物理学でも、 運動法則が成り立っているのは理想の条件のものである。実際には質量が分布している、 固体、流体との摩擦がある、光速に近い、スケールが原子オーダーであるなど、条件を違えば、 理論から明解な答を得るのは難しくなる。 だから、成形工場を経営に関して、この第一近似である個数が成り立たなくなる条件が強くなれば、 また理論を吟味する必要があろう。ともかく、コンサルタントをしている診断士は多いが、 経営をしている診断士はわずかだろうから、このような考え方を知ることができたのは幸いだった。

実は、私も似た状況にある。といっても、自前で工場を経営しているのではない。 自分の勤務先が似た状況にあるというのでもない。私のホームページについてのことである。

私のホームページのトップ(「まりんきょの部屋へようこそ」と「まりんきょ学問所」)には、 カウンターをつけている。このカウンターを伸ばしたいというのが、私の目標である。 この増え具合は、それほど変わらない。「ようこそ」のほうは1日30くらい、 「学問所」にいたっては、フォローしていない。 カウンターを計っていないのに増やしたいというと、「何をバカなことを言っているのだ」 と叱る諸兄も多いだろう。その通りである。反省している。

去年の暮から、カウンターを含めてアクセス履歴を調べられるようにした。 その結果、けっこう私のページのあちこちがアクセスされていることがわかった。 特に、この「中小企業診断士(休止中)勉強の部屋」のアクセス数が大きい。 どういうことかというと、検索エンジンからヒットするらしい。 具体的には、「中小企業診断士」という名称では20位から30位の間に位置する。

ともかくも、多く見られているということだけで励みになる。 叱咤激励をお願いする次第である。(2004-01-12)


飲食店への提言

城北支会の「旬の会」の活動が紹介されている。「旬の会」では飲食店の料理を客として味わった後、 提言を店主に対して行なっている。

今回は山手線の駅近くの、あるトンカツ屋の老舗についての事例である。 ヒレカツに絞り(註)、味がわかるお客のみを対象にするという店主に対して、 ドメイン(事業領域)を変革すべきという意見と、おおむね保持すべきという意見に分かれたという。 私だったらどう考えるか、答は出なかった。

食にこだわる(いじきたないともいう)つれあいにどう思うか尋ねてみた。
「まずこのトンカツがうまいか」が第一声だった。私は、
「食後感は書いていなかったが、食材は店主の職人気質が移り込んだように隙のないものであった、 と書いてあった」と答えた。
「それだけ?おいしいかわかんないとなあ。それで店の人は困ってるの?」
「困っているかどうかは書いていない。ただ、子供連れの客や価格志向の客は相手にしない、といっている」
「そう。そこのトンカツを食べて満たされるかどうかが大事なことだからねえ」
つれあいのいう「満たされる」というのは、お腹いっぱいということだけではなく、 食べて満足して充実感が得られるということである。
「うーん、それでトンカツに満たされるのかな」
「そこが問題ね。ほら、私はラーメンを食べても満たされないし」
「じゃ、フランス料理とかイタリア料理じゃないと満たされないのか」
「フランス料理とかイタリア料理で、こういう場所で食べたから満足、というのはあるかも」
つれあいは、食事の種類にはうるさい。何でも食べるといっているくせに、 外で食べるとなるとフランス料理かイタリア料理でないとダメである。 おかげでフランスの国旗とイタリアの国旗は識別できるようになったほどである。 日本料理は好まず、あえていえばうどんの店くらいだ。そば屋はだめなのだそうだ。 タバコ臭いからだという。

つれあいは、トンカツ屋にサラダとコーヒーが出てくればいいと思っているらしい。 こういう店もあっていいと思うが、どうだろうか?

註:姉妹店はロースカツ専門。名前を共有しているようだ。

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MARUYAMA Satosi