環状取引、または循環取引:企業診断を読む(2010年12月号)

作成日:2010-12-30
最終更新日:

環状取引とは

環状取引とは、本誌の記事から引用すれば次の通りである。

連続する売買契約において, 最初の売主と最後の買主が同一となる取引形態をいう。もっともシンプルな形態は, 「A 社→B 社→C 社→A 社」と売買契約が連続する場合である。

私はこの記事の前に、勤務先の関係者から循環取引ということばを聞いていた。 循環取引は環状取引と同じ意味である。 この循環取引について、どういう意味で行なうのかその理由を初めて聞いて驚いた。 また、本稿の説明を見たとき、さらに驚いた。私はどう無知であったのか。

私が最初聞いて驚いたこととは、売上高の水増し、ということだった。 そうまでして売上を水増ししたかったのか、ということへの驚きである。 更に本稿の説明で驚いたのは、環状取引は A 社にとって資金繰りに利用できる、ということだった。 つまり、A 社は B 社に売ると、A 社は代金を手に入れる。次に B 社 → C 社 → A 社と回るまで、 C 社から物を買い戻すまでその代金を資金繰りに回せるということだ。はあ。

そういえば、工業用米を食用米にまぜて売っていた事件があった。 このときは循環どころか長い経路を転売していが、 首謀者の意図は長い経路によって工業用の米という素性を薄めさせる、ということにあったと理解している。

環状取引に加担しないために

本稿は、B 社や C 社の立場で環状取引に巻き込まれないための処置について述べている。 結論は、商品が実在することの確認と、商品の流通についての全体像を確認することである。 私の勤務先はモノを作って売る会社なので、環状取引のような架空取引に加担することはまずないが、 それでも流通経路が複雑になっていることはある。 これは、モノを作る企業から利用者がいる納入先との間多くの制約があることが原因である。 納入先は、口座をもっている特定の業者からの納品しか受け付けないこともあるし、 モノを作る企業が小規模だとそのリスクを請け負う卸にあたる業者が限られることもある。 おまけに、中間に入った業者がなんらのリスクも負わないこともあるので頭が痛い。

ともあれ、商品実在と流通経路の確認を、今一度実業務ではっきりさせようと思う。 ( 2010-12-30 )

まりんきょ学問所中小企業診断士(休止中)勉強の部屋日誌≫ 環状取引、または循環取引:企業診断を読む(2010年12月号)


MARUYAMA Satosi