企業診断を読む(2006年1月号) |
作成日:2006-01-09 最終更新日: |
標題の記事を読んでみた。 記事の筆者は、フリーターを賛美している。 その主旨に共感できるところと共感できないところがある。
共感できるところは、 フリーターは多くの職業体験を経ていることを長所と見ていることだ。 フリーターは世間を知らない、という人がいるが、 これは大嘘だ。職業をもち、それで銭を稼いでいる人たちは、 程度の差こそあれ、世間を痛切に感じているはずだ。
私は、ろくな職業体験を経ずに社会に出て行った。 経験した職業といえば、家庭教師、塾講師、八百屋店員、 工場事務員のみである。 これにくらべれば、 世のフリーターは、遥かに多くの職種を経験しているはずであり、 その後の自身の暮らしによい影響を与えるに違いない。
共感できないところは、フリーターの境遇と正社員の境遇の対比が、 誇張されていることである。 フリーターの失敗例はないが、定職に就いたサラリーマンの失敗例は 枚挙に暇がない、と言っている。 この事実は疑わしい。 ただし、事実かどうかは検証しないとわからない。 ただ一つ言えることは、 フリーターは若者が多いということだ。 そして、フリーターからサラリーマンになる道はあるが、 サラリーマンからフリーターへの道は閉ざされているということだ。
アルバイターとして雇われる対象は若者がほとんどである。 これは事実である。そして、背負うべき物が多いのは高齢者である。 その結果、サラリーマンの失敗例が多くなるのは道理である。 フリーターだから失敗例が少ない、という理屈はない。 記事の主張を検証するには、フリーターと正社員の層を、 それぞれ若者と年配者に分けること、 そしてそれぞれの失敗例の割合を統計的手法を用いて調べることが、 必要である。
最後は硬い物言いになったが、私の考えは、 フリーターもまた立派な職業であり、 正当な評価をすべきだ、ということである。
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