企業診断を読む(2005年5月号)

作成日:2005-05-27
最終更新日:

時系列分析と回帰分析

需要予測の手法として、例題と講座がある。これらを見てみよう。

例題では移動平均と指数平滑が取り上げられている。 見ると、どちらも右肩上がりのグラフが取り上げられている。 このようなトレンド(傾向)をもつデータに移動平均や指数平滑を施すと、推定した値は実際の値より下方になる。 そのため、正しい予測ができるとは言いがたい。これなら、 目の子でえいやと推定の直線を引くことがまだしも所期の目的に対して合致している。 需要予測を行なうなら、回帰分析を行なうのが筋である。

講座では、時系列予測法について述べられている。移動平均法が取り上げられているが、 こちらは、予測というより平滑化というのがいいのではないかと思う。 つまり、移動平均法は事前の予測に使うのではなく、事後分析に使うのがよい、ということである。 ちなみに、データに傾向変動がある場合は、二重移動平均法によって予測を行なうとよい、とあるが、 この二重移動平均法がどんな方法かは不明である。

さて、今まで私がけちをつけてきたことは既に著者によってお見通しである。 というのは「ウインターズの季節性線形指数平滑法(Winters' Method)」を紹介しているからである。 このウィンターズ法は、傾向変動(トレンド)を考慮している。そのため、先にあげた問題は生じにくい。 ただし、平滑化係数の決め方が大変である。

その他の予測として、回帰式による予測があることも紹介されている。最近では、 ベイズモデルによる季節調整モデルも紹介されている。これについては、 以前中小企業白書へのいちゃもんでも触れた。 いろいろWebで調べるといいだろう。(2005-04-27)


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MARUYAMA Satosi