企業診断を読む(2005年2月号)

作成日:2005-02-19
最終更新日:

全体として

特集に寄稿した皆さんの略歴が末尾に載っている。 それぞれ興味深いのだが、なぜ出身大学と学部が載っているのか、 不思議でならない。経歴は興味があっても、出身大学と学部と寄稿内容に、 どんな関係があるのだろうか。

IT経営 キーワード ニューワード

今月はシステム監査に関するキーワードである。 システム監査、システム監査基準、システム管理基準、ITガバナンスの4語が取り上げられている。

システム監査の説明では、「情報システムの構築・運用の全体最適のために…」と開始されている。 この全体最適ということばが曲者である。もちろん、全体最適を目指すことに異論はない。 しかし、全体最適といったときに、どの範囲を全体と捉えるかが大変である。また、 評価基準がはっきりしていなければ、何をもって最適ということかがわからない。

昔、高校の数学だったか、定義域x∈[a,b]と関数y=f(x)のグラフが与えられたとき、 値域における最大値と最小値を求めよ、という問題をさんざん解いた覚えがある。 このときは、数学という極度に抽象化された問題だからよかった。

実際の問題では、変数xが一種類だけということはありえない。 複数の変数のうち、どの変数がどの程度有効かということを考える必要がある。 また、関数f(x)そのものがどんなものか不明である。 さらに、判断基準yにしても一種類だけではない。利益極大化だけが最適化でないことは、 最近の動向からも明らかである。

だから、私は最近「全体最適」という言葉を聞くと、注意しなければと思ってしまう。 そして、個別の監査を行うにあたって、個別最適の観点での指摘に走ってしまう。 こんなことで大丈夫なのか、と心配される向きもあろうが、 「千里の道も一歩から」ということでお答えする。 (2005-02-19)

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MARUYAMA Satosi