2005年度 中小企業診断士一次試験問題

作成日:2009-02-01
最終更新日:

経営情報システムを見て

一次問題については、統計の問題を見て文句をつけるのが恒例行事である。 そのなかで、経営情報システムの第20問を見てみよう。 問題はここには掲げない。 過去の問題などを見てほしい。 設問は、二元配置分散分析表の検定に用いる、自由度の概念である。

二元配置の分散分析では、要因Aと要因Bが表の形で並べられている。 要因Aのカテゴリーの数がa個、要因Bのカテゴリーがb個であれば、 Aの自由度は(a-1)個、Bの自由度は(b-1)個、ABの交互作用の自由度は(a-1)(b-1)個である。 したがって答えはおのずから明らかなのだが、 これがわかることと実際の分析ができることとは異なるはずだ。 出題者の意図が、わからない。

次に、第21問を調べよう。確率分布についての問である。私はわからなかった。 手近な本で見てみよう。

αを正の実数、p>0、q>0はp+q=1を満たす実数とする。 確率関数が
p(r)=(α+r-1)α、r=0、1、2…
で与えられる分布をパラメータα、pの負の二項分布といい、NB(α、p)と表す。 特にα=1のとき、すなわちNB(1,p)を幾何分布といい、G(p)と表す。

硬貨投げの例で説明する。 表が出る確率がp、裏が出る確率がqであるような硬貨を投げ続けるとき、 表がα回出るまで裏が出た回数の分布がNB(α、p)である。(後略)

表が不良品、裏が良品と考えれば、求められているのは幾何分布である。

ここで疑問が生じる。第1の疑問は、なぜ、「幾何」という名前なのかという由来だ。 第2の疑問は、なぜ不良品探索で幾何分布が出てくるかという必然性だ。

第1の疑問に関しては、 小針晛宏の「確率・統計入門」にあるとおり、 G(p)が幾何数列(=等比数列)になることから来ている。つまり、
初めて表が出るまでの確率分布は次のようになる。
裏が0個出る確率=p
裏が1個出る確率=p(1-p)
裏が2個出る確率=p(1-p)

裏がr個出る確率=p(1-p)

このように、初項p、公比(1-p)の幾何数列になっている。

等比数列をなぜ幾何数列と呼んでいるかの謎は残るが、その追求はやめておこう。 Wikipedia の「等比数列」に、1+(1/2)+(1/4)+… = 2 になることの幾何学的解釈があるので、 それで納得したことにする。

第2の疑問に関しては、わからない。 少なくとも、 不良率 0.1%、100個目までは良品、101個目に不良品が初めてみつかる確率は、 幾何分布など知らなくても求められる。

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MARUYAMA Satosi