母親が緊急入院したときに私に求められた役割は、 造影剤使用について同意書にサインすることでした。
今は造影剤も改良され、副作用の頻度は減りましたが、 アナフィラキシーショックが起こる可能性はゼロではありません。
検査で患者さんが死んでしまっては後から言い訳できません。 なので事前の同意書が必要です。
私が医者になった頃、CTは頭部用だけで、 しかも限られた大学病院にしかありませんでした。
エコーも探触子で体表をゆっくりなぞって、 オッシロスコープの残像を見るような研究段階でした。
腎臓の画像検査といえば、腎盂造影。 ウログラフィンという名前の造影剤を静脈注射して、5分後、20分後にレントゲンを撮ります。
9時半、10時、10時半、11時、という枠に予約が入っていて、 外来をやりながら、呼ばれるとレントゲン室に行って注射していました。
時々、じんま疹が出る方、吐く方、本当に稀ですが血圧の下がる方がいらっしゃいました。 呼吸が止まる方は私は経験せずに済みました。
当時はヨードショック、と呼んでいましたが、 造影剤が改良されて、吐く人の頻度が減り、 吐き気は高浸透圧製剤の副作用だったのかも知れません。
今はヨードショックとは呼ばず、薬剤によるアナフィラキシーショックと呼ばれます。
2014年3月19日の院長ブログ原稿