事件の概要  

 2010年12月8日、さいたま新都心郵便局において集配課社員Tさんが、始業まもない午前8時28分に集配作業事務室の4階から飛び降り亡くなりました。享年51歳でした。奥さんと当時12歳、11歳、10歳の3人のお子さまが残されました。
 当時、そして今も、さいたま新都心郵便局の職場は、異常でした。2003年に全国に先がけて埼玉県越谷郵便局にトヨタ生産方式が導入され、翌年にはさいたま新都心局もモデル局となりました。Tさんは2006年(平成18年)に岩槻郵便局から異動させられましたが、さいたま新都心局の集配課作業が立ち作業で、厳しい目標管理、時間管理、徹底した自己責任論が充満していることは周囲の郵便局に知れ渡っていました。
 そうした環境にさらされる中で2008年にTさん(48歳)は「抑うつ状態」と診断を受けます。一ヵ月後に復帰しますが約半年後再び長期の病気休暇になるなど発症と復帰を3度繰り返しました。その間かれは社員申告書に異動希望を書き続け、産業医の面談でも訴え続けましたが「まだそんなこと言っているのか!」と一蹴されていました。Tさんの死亡の原因が高密度の作業管理と高圧的労務管理にあること、メンタルヘルス疾患に対する不適切な対応にあったことは明らかです。
 Tさんの奥さんは看護師です。Tさんの発症を受け自ら心療内科の病院に勤務をかえ、やがてTさんもその病院で診療を続けました。その上での事態でした。懸命に働いたTさんの無念をなんとしても晴らしたいという強い覚悟で努力を続けておられます。
 2013年6月には「さいたま新都心局過労自死事件の責任を追及する会」が結成され、法的措置に向けての取り組みも開始されました。二度と郵便局で同様の悲劇を繰り返さない職場をつくるためにみなさんのご協力をお願いします。
        Tさんの略歴と経過

1959年8月25日 南埼玉郡白岡町で誕生
1984年 2月6日 岩槻郵便局採用 25歳
1994年8月10日 父親を亡くす。闘病中は深夜
           の送迎など熱心に看病する。
1995年10月22日 Aさんと結婚 36歳。3人の
            子どもに恵まれ、育児・家事
            に元気な毎日。
2006年5月22日 さいたま新都心郵便局へ異動
          46歳。第2集配課9班所属
2008年2月   抑うつ状態の診断を受け休む。
     3月 復帰、当初5割軽減勤務。
     9月 受診、3ヶ月の診断書、後に1ヶ月
        延長。市内の病院で受診。
2009年2月 復帰、当初2割軽減勤務
2010年4月 受診、6月末までの診断書。
        7月復帰、当初から定時勤務
2010年12月8日 死亡。 51歳   
2011年4月17日 お連れ合いさんより(旧)郵政
           ユニオンにメール相談。
2013年2月7日 東京法律事務所にて弁護団と
          の初会合
     4月2日 さいたま新都心郵便局での証
          拠保全手続き