topPondok Semar Pegulingan3.スマル・プグリンガンの曲について>3.1 ガムラン・ゴン(グデ)の曲構造

3.1 ガムラン・ゴン(グデ)の曲構造

スマル・プグリンガンの曲の構造(形式)を説明するためのご参考に。3.2 ガンブーの曲について、に行く前にどうぞ。

1999.6.14.編集
2006.8.7文言修正など

1) 曲の二分類 
(1) トロンポンが用いられる曲(純粋な器楽曲。祭儀の重要な局面で演奏される。)
   (1)-1 グンディン・アグン(gending ageng)またはグンディン・ルランバタン(gending lambatan)(※lambatan < lambat 「遅い」←曲の出だしが遅いから)
二部形式。その第一部は長さと拍節のパターンにより8種類に分かれる。
すなわち、トロンポンのソロに続いて、プンガワ(pengawak)〜プゲチェ(pengecet)
   (1)-2 グンディン・ガンサラン(gending gangsaran)
グンディン・アグンの間に挟んだり、プログラムのオープニングに使ったりする曲。
(2) トロンポンが用いられない曲("for formal plays and ritual dances")
一部形式。単純な構造。短い旋律単位、モチーフを特に限定なしに繰り返す。

2)プンガワ(pengawak)と曲の形式との関係(ここが重要)
プンガワでは、ゴング(Gong)で終わるメロディを数回繰り返す。このメロディをアパダ(apada)またはゴンガン(gongan)という。
拍節の単位は、核となる旋律16個分(16ポコッpokok)を1パレット(palet)と数え、1パレットのうちにクンプル1回、クンプリ1回がそれぞれ鳴る。また4ポコッごとに1度ジェゴガンが鳴る。(つまり1パレットに4ジェゴガン)
曲の分類はこのpaletの数で決まる。つまり1apada(=1gongan)に何度クンプル(あるいはクンプリ)が叩かれる(=tabuh)かである。頻度は1回から8回まであるので、曲の種類もタブ(tabuh)1〜8までの8種類あることに原理上は、なる。
(昔はさらにタブ 12などもあった、とか。)
例:1ゴンガンに4パレッ(つまり4クンプル4クンプリで16X4=64ポコッ)のときは、この曲の形式をタブ・パット(tabuh 4(pat))と呼ぶ。
図にするとこうなる。
Pokok 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
                            p                      K
            J      J     J     J
       17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
                         p                      K
            J      J     J     J
       33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48
                         p                      K
            J      J     J     J
       49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64
                            p                      G、K
            J      J     J     J
(Jはジェゴガン。Kはクンプリ、pはクンプル、Gはゴング)
3)タブ・ピサン(Tabuh 1)の特徴
ところでタブ 1はタブ2-8とは異なる構造を持つ。
プゲチェ -- プンガワ(ここは曲によってかなり自由)--プンギワン(pengiwan後述)--プゲチェ
このときのプゲチェは、
プガラス(Pengarasユニゾン。cengceng,kendangが強い)+ プギサップ(pengisep)trompong。ceng2,kendangしづか。)+ プニバン(peniban)
の三部分からなる。

4)プンガワの詳説
*Gはゴング、Pはクンプル、Kはクンプリを示す。
最初のGとPとの間はトロンポンとクンダンkendangのみで演奏される。
テープを聴いてクンプルを数えるときには注意しましょう。
Kの間隔
グンディン・アグンにおいては16ポコッごと。その他のグンディン・ガンサランやプゲチェでは8ポコッ,4ポコッ,2ポコッごと、といろいろ。1ゴンガンの最初は必ずGと同時に鳴る。
Pの位置は、Kのウラ。
すなわちGの拍から言うとシンコペーションになる。
プンガワはプギワンpengiwan(プニバンpeniban)が現れると、終わる。
つまりこれはプンガワの変奏の一つで、コーダと見なせる。
プンガワの前弾きトロンポンのソロはススンドン(sesendon)またはギノマン(gineman)およびプンガウィッ(pengawit)という部分からなる。プンガウィッは、プンガワの最後のパレッの後ろ半分(これをミピルmipilという)に繋がるように作られる。
つまり、(プンガワの)導入部分は自由に演奏されても、プンガワ本体の直前にはミピルと同じに演奏される。



とりあえず、ここまで。
参考書:"Music in Bali" by Colin McPhee.
ホームページへ