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3.2 ガンブーの曲について
1999年6月13日 初版
2006年8月8日文言修正など
3.1 ガムラン・ゴン(グデ)の曲構造を読んだ方、ようこそ。次に、ガンブー劇で用いられる曲について、少し書いてあります。内容はほぼ、マクフィーの「バリ島の音楽」受け売りです。(誤解もあろうかと思われます)
1)ガムラン・ゴンとの差異
- 拍節構造(metric structure)の原則はガムラン・ゴンに似ているが、より一層叙情的な(lyrical)スタイルである。(←なんとなくわかるが、意味不明)
曲は登場人物のタイプや劇の場面と結びついている。
- ガムラン・ゴンの大小2つのゴングは、ガンブーにおいてはクンプルに相当する。同様にクンプリはカジャールに相当する。
このほか、楽器編成はずいぶん異なる。
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(ガンブーにおける)カジャールの役割:1.長い周期の曲においては、各パレッの開始を強調する。2.シンコペーションを用いてミピルmipilをなぞる。(←意味不明)3.短い周期の曲においては、拍を刻む。
- パレッ、ミピルについてはガムラン・ゴンの曲構造を参照。
2) 曲の周期(melodic period)を分割するシステム
プンガワは、通常1パレッ32拍である。(<==>グンディン・ゴンでは16拍)
(↑なんだか説明になってませんが)
3) 曲の形式
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タブ・トゥル(tabuh telu トゥルは3の意味)・・・2楽章(プンガワ+プゲチェ)で切れ目がない。が、バラバラに演奏してもよい。グンディン・アルス(gending alus)とも呼ばれ、高貴な登場人物の伴奏に用いられる。その際、プンガワは入場と会話、プゲチェは踊りに使われる。
Bandemの本によると、逆にグンディン・アルスにはタブ・パット(tabuh pat パットは4の意味)も用いられる。
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タブ・ベシック(tabuh besik ベシックは1の意味)・・・楽章は一つ。曲の長さは比較的短い。といってもプンガワとプゲチェから成る。テンポは等しく早い(プンガワが半分になることもある)。ふつう、プゲチェ、プンガワ、プゲチェ、(またはブバトゥランbebaturan・プガデンpengadeng・ブバトゥラン)の順に演奏される。グンディン・クラス(gending kuras)とも呼ばれる。
- 曲を開始する前にギノマン(gineman)によって曲のパテッが演奏者に知らされる。
劇中では、曲に切れ目はない。気づかないうちに次の曲に繋がっていたり、あるいは、ススンドン(sesendon)という繋ぎが挿入されたりする。(スリンとルバブのみによる半即興曲)。
4)タブ・トゥル
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ガムラン・ゴンのそれとは異なり1パレット32拍である(→2を参照)ので、1ゴンガンは128拍となる。ガムラン・ゴンで言えばタブ・クトゥス(8)になる。
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各パレッの頭には「カジャールのアクセント」がある。(カジャールがパレットの頭を強調する。) P K K K (P)(←具体的にイメージしづらいが)
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プンガワの3タイプ
A 1つの周期が128拍のもの。
B 128拍のユニットが2つ存在する(それぞれ4パレッ持つ)
C 2つの別々の部分から成るが、旋律的にお互いに関連性をもつ4パレッ(128拍)であるもの。
スリンとルバブによる短い間奏(INTERLUDE)によって繋がっている。
(↑門外漢でなくてもワケがわからん。)
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プゲチェの構造
(1パレット=8拍)X4=32拍となる(つまりプンガワのサイズの4分の1)P8 k8 k8 k8 (P)
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プンガワが倍のサイズ(8パレット)になったとすると、プンゲチェも倍になる。(64拍)
5) タブ・ベシック
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テンポが早めなので、踊りの伴奏に用いられる。
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構造
プゲチェ(8または16拍のオスティナート)
プンガワ:プゲチェと同じ拍節構造(P Kのことか)。時には拡大されて、タブ・トゥルのようになることもある。つまり、P K K Kで32拍など。スピードはプゲチェに同じかまたは二分の一。劇中では、会話の場面に用いられるのが普通。
プゲチェに戻って終わり。
7) その他の、ガンブー劇の曲
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8拍あるいは4拍のオスティナートの曲。脇役の踊りに使われる。 P・・・k・・・
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バテル Batel 2拍の繰り返し。Pk 劇的な場面で使われる。
8) 曲のいろいろ 〜 具体的な曲紹介
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スンバンバン(スマンバン)・バリ (Sumbangbang Bali):女王あるいは既婚の王女プラミスリ(pramisuri)の登場楽。タブ・トゥル。
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スンバンバン(スマンバン)・ジャワ(Sumbambang Java) :プトリ(putri)の登場楽。プゲチェが8パレットある。タブ・トゥル。
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トゥンブン(Tembung):ムラユ(Melayu)国の王子の付き添い?宰相?であるカディアン(Kadian Melayu)の入場楽。タブ・ベシック。
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ビアカラン(Biakalang):18拍(←16拍の誤植?)のオスティナート。タブ・ベシック。
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バパン・スリシール(Bapang Selisir):8拍のオスティナートのプゲチェ(踊りの伴奏)〜プンゲリッ(Pengelik)(またはプングンバンpengumbang)(歩き回る場面)〜プゲチェ。 パンジ(panji)とほかの貴族たちの劇的な場面での音楽。
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ジャラン・シリッ (Jarang Sirig):プラブ・クラス (Prabu kras)の登場、踊りの曲。プンガワ(実際はプゲチェ)〜プンゲリッ(つなぎ)〜プゲチェ〜プンガワ。(タブ・ベシック)
注
pp.127 『グンディン・ゴンの拍節的分類法から考えると、グンディン・プガンブハンのタブトゥルのプンガワは、3パレットの
旋律のかたまりから成ると思うのが普通であろう。しかし、(それとは異なり)32拍の4パレットから曲は作られ、グンディンゴン
の長さで言えばタブ・クトゥス8、つまり16ポコックX8パレットと同じ長さになる。(グンディン・プガンブハンでは)「タブ・トゥル」
という言葉は、クンプルの後に3回カジャールのアクセントがあることを指しており、各回が2,3,4番目のパレットの頭を
マーキングして旋律のかたまりを分割していることになるのである。つまり、以下のようにして。
P K K K 』
参考:Colin McPhee "Music in Bali"
, I Made Bandem "Ensiklopedi Musik dan Tari daerah BALI"
マクフィーの分析した村・・・タバナン(Tabanan)の宮廷、セセタン(デンパサール)(Sesetan,Denpasar)、バトゥアン(ギャニャール)(Batuan,Gianyar)。
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