汗と涙のユーザー車検(1/3)

 早いもので、ハヤブサに乗り6年。3度目の車検がやってきた。

 今回は諸般の事情によりユーザー車検で通すことにした。事前に情報収集したところによると、「思ったより簡単」「拍子抜けした」など、存外にイージーなようだった。

用意するべきは、
 車検証と納税証明。
 事前の整備と、12ヶ月点検の整備簿。
 あとは当日購入して書き込めば良い。

 整備簿が敷居が高かったのだが、なんのことはない、メンテナンスノートに「チェックした〜 交換した〜」と斜線だの、ペケだの自分で付けていくだけだ。用紙はネットで拾った。

 車両の整備は、フロントスクリーンを純正に戻して、タンデムシートをセット。(コブのままでは1人乗り登録になってしまうのだ) やっかいなのはマフラー。せっかく換えてあるのを純正に戻さなければならない…と思っていたら、リプレイスでも車検を通ると友達のブサ乗りが教えてくれた。マフラーにインナーバッフル(音を小さくする部品)を取り付けるだけで良いみたい。これは嬉しい誤算。

音はほとんど違和感ないけれど、
スクリーンの違いは歴然。
スクリーンが邪魔となり、
ウィンカー・インジケータが見えない。
ETCのダイオードも見えない。
風は1.5倍(当社比)。
なにより、降りて眺めるとカッコ悪い...

■         ■          ■

 問題の日の朝。
 いつになく出番が少なく、よく眠れた夜勤明け。一度帰宅し、朝食とコーヒーを平らげるともう一度書類を確認し、出発した。
 多摩の陸運支局は、以前にも車やバイクの名義変更の為に訪れてたから、道に迷うことはない。でも今日はちょっとドキドキの気分…

 さて、いつもならメインの建物(?)に飛び込んでいくのだが、 今日の僕はひと味違うぞっ。
 事前の予習通り、ナンバーセンターにて用紙一式を買う。3枚で25円。続いて、隣の窓口で重量税4000円と車検代1700円分の証紙を購入。所定の位置に貼ってくれた。

 サッ、と出て、陸運支局に突入。
 入ったところに書込み台があったので、サンプルを求めてキョロキョロしてみたが、どうもこれは違う雰囲気。 結局近くの職員さんに訪ねてみたところ、ユーザー車検専用の窓口ってのがあって(5番窓口)、果たして、その近くにはちゃんと書類の書き方の見本が掲示されていた。

 書類の書き方は、別段難しいことはない。代書屋なんか、全く必要がないレベル。
 ただ一点、継続検査申請書、というこれだけ鉛筆で書く書類があるのだが、ここに「車体番号の下7ケタだけ」書く欄がある。全部書かせないところが、ちょっと戸惑った。(あげくに、念のため尋ねてみたのだが「下3ケタくらい書いておけばいいのですが、念のため5ケタくらい書いておいて下さいね〜」と言われて更に混乱。)

 窓口に並んでいると、嫌でも気づかされることがある。それは客のほとんどが「常連さん」で、自分が「一見さん」だってことだ。
 ユーザー車検が認知され、比較的一般的になってきたとはいえ、それでもほとんどの人がディーラーに車検をまかせる。よって、作業ツナギだのメーカー名入りの上っ張りだのをひっかけたオッチャン達がぞろぞろ居て、しかも窓口職員とも親しく言葉を交わしたりしている。なんと言うか、自分の場違い感は否めなかった…。

 さて書類がパスすると、次はいよいよ検査ラインに向かうこととなる。うおー、とうとうこの時が来たぞぅ!と武者震いする。(いや、大げさではない。本当に、ブルっと来た。)

 バイクのところに戻り、メットを肘に通したままエンジン始動。今日はたまたまバイクのラインが工事中とのことで、0番というラインに行くよう指示された。
 ノーヘルのまま構内を(公道じゃないから、これでいーのだ!)、工場の様な大きな建物のいくつかをぐるりと回り込み、ラインの入り口にやってきた。

 前にちょうどバイクが1台だけ並んでいたので、観察。
 前ブレーキのテスト、次いで後ろブレーキのテスト。そして光軸。あっと言う間にこれらのテストにパスすると、そのバイクは走り去って行った。

 次は僕の番だ。
 検査官に素直にユーザー車検が初めてであることを告げる。
「ヨロシクオネガイシマース」「はい、はい」という感じで丁寧な対応で検査が始まった。

 最初は外観から。車体番号をフレームで確認して、ライト、ハイビーム、前後左右のウィンカー、前後のブレーキランプ、ハンドルロック、と確認していく。この辺は問題ない。

 マフラーを社外品に変えていたので、音量チェックが入る。騒音計(?)をマフラーの高さに合わせ設置。検査官がアクセルを煽り、5000回転あたりまで一瞬エンジンを吹かして、終了。4500回転、と聞いていたけど、かなりアバウトな印象。結果は94dbで余裕でパス。

 さていよいよラインのなかに進入して、まずはブレーキテストから。
 フロントタイヤを、ローラー台に乗せると、支持が下がって行く。見てたから分かっているとはいえ、ぐぐぐっ、っと車体が下がって行くのはすごく違和感。
 ローラーが回り始めて…のはずだが、見ていない。この時視線は指示器に釘付け。(ブレーキを)ふむ、のランプがついた瞬間に、Fブレーキをロックさせる勢いで握る…と、すぐ「○」の表示が点灯した。続いてリアもつつがなく終了。

 年式のせいか、排ガスチェックはない。
 それと、あるはずのスピードメーター検査も無かった。
(二輪ラインじゃなかったせいかしらん?)

 お次ぎは光軸検査。
 そのままじゃまず通らない、と言われている光軸だけど、あえてそのまま受検。
 白線にまっすぐ乗せて進入すると、「ピピッ、ピピッ」と警告音を響かせながら、測定機が横からせり出してきた。測定機はハヤブサの前で止まり、ちょっと戻ったり、やっぱりまた進んだり、上に上がったり、下がったり、首を曲げたりして、いかにもロボットらしい動きを見せる。

 うわぁお。
 もう興味しんしん。

 ところが、というかやはりというか、結果は不合格。
 ライトが下を向き過ぎだと言う。続いての2回目の測定もダメだった。(しかも下向きかつ左向き、って悪くなってた)

 ま、ここまでは織り込み済み。
 じゃぁ近所のテスター屋さんに持ち込んで調整して貰いましょうか! と、余裕を見せてたのだが、ここでトラブル発生。キタ━(゚∀゚)━ !

 なんとエンジンがかからない。
 セル・モータの勢いがない。

んぎゅんぎゅんぎゅ…。
んぎゅんぎゅんぎゅん。

 もうちょっとのようなのだが、ダメ。
 途方に暮れ、あーだこーだ考えて、10分ほどしてからもう一度試してみたのに、やっぱりダメ。

 あー、もー!!
 この3日間乗り続けていたのに、今朝も機嫌良かったのに、どうしてこのタイミングで拗ねるですかー!(そんなにネタを作りたいのか、ブサ君よ?)