汗と涙のユーザー車検(2/3)


 仕方がない。テスター屋で短時間でも良いから、充電させて貰おう。
 一旦ブサを置いたままテスター屋を探しにうろつく。店はほどなく見つかったが、バイクの光軸調整は検査場から700mほど離れた本店でしかできない、とのことだった。
 …700mって、ハヤブサを押してかい! 200kgぐらいあるんだぞっ!(-_-;;;

 ぼやいてても仕様がない。覚悟を決めて押し始めたのだが、半分ほど歩いたところで、ふとスターターを押してみたら、なんとエンジンがかかった。やたっ、ラッキ〜!(^^)

 テスター屋さんでは光軸だけ見て貰った。
 まず測定。やっぱり左下方にズレている、とのことでハヤブサのアゴの下のカウルを外して調整して貰った。(カウル外しは自分で。6ケのプラスチック・ファスナーで取り外せるので、未体験の人は外せるように練習しておこう)
 ライトからは調整用の棒(?)は1本しか出ていなかったようだけど、あれは中にドライバーを入れたり、筒の方を6角で回したりして2通りの調整ができるみたいだ、見ていたところによると。

 調整費用は2000円ナリ。高いとは思わない。特殊な機械が必要だし、やり直しになったら、また見てくれるとのことだし。
 礼を言って店を出る。あれほど拗ねてたエンジンは、あっさりとかかった。なんだってんだ、さっきのは…。

 エンストを恐れ、そして充電効率をあげるため、スロットル調整レバーでアイドリングを2000回転ぐらいに上げておいた。検査場に戻ると、勝手知ったる余裕の面持ちで、検査ラインゼロに再出撃。こんどは車と二輪合わせて4〜5台並んでいたので、その後ろに付いて待つ。

 約10分後。
 さっきの検査官に「光軸再検査です」と告げると、外観検査やブレーキ検査はパス。このあたりのことも知ってたので驚かない。先行する四輪が光軸をやっていたので後ろで待っていたのだが、そのとき、水温計の異常に気づいた。警告灯が付いていて、いつもは真横あたりの水温計の針が、かなり上「H」を指している。

あー、ずっとエンジンをかけたまま待っていたからなぁ(充電したかった)、過熱しちゃったかな…

 どうしようかな、エンジン切りたいけど、順番すぐだしなぁ…、と、迷いながら水温計の写真を取ったその時、蒸気が!!

 えっ!?と思う間もなく、強烈な蒸気が上がってくる。慌ててエンジンを切ったが、車体の下部はじゃーじゃーと冷却水が吹いていて、止めたいのに止まらない、お漏らし状態。

 あっ、えっ、おわっ???
 どどどどど、どーしましょ?

 パニック、というか硬直。

 検査官が飛んで来て、
「ここは構わないから、とりあえずバイク何とかしてきて〜」と誘導してくれて、我に返る。 「液漏れ、冷却装置」なんていう最初パスしたところにペケを付けられちゃったものの、「2度目の検査はまだってことにしておくね〜」と、いくつかの印を消してくれた。(1日3度しかラインに並べないから、正直これはありがたかった。)

 ハヤブサを押して、最初のバイク置き場に停車。トホーに暮れる。
 JAFを呼ぼうか。でもそうしたら確実に今日中に車検を通すのは不可能になる。一番良いのはバイク屋さんに見て貰うことだが、さっき見て回ったところによると、辺りにないのよ、バイクが。
 現象は明らかにオーバーヒートだ。…となると、ファンが回ってなかったのかな? そしたら、エンジンが冷めてから、LLCだけ買って入れておいたらなんとかなるかも知れない…!

 ラジエーター・キャップをいじるには右のカウルを外す必要がある。
 ここでハヤブサをばらす覚悟を決め、バイクを検査場裏手の駐車場へ移動して、荷室から工具を出している時に気づいた。ダメだ、フレームスライダーを外すための17mmソケットレンチがない…。(14mmまでは持ち歩いてるんだけれどなぁ)

 どうしよう…