出会ってしまったものは仕方ないので、俺はサナちゃんと行動することになった。
捨てていくわけにもいかないし、捨てたとしてもついてくるに違いない。
まあ、一人より二人の猟は安全だし、楽だ。
賞金の分け前は減っちまうが、今日みたいな高い遭遇率の日はサナちゃんでもいないよりはいい。
「…最近、ここらへん、凄いって聞いてさ。儲けられるかなあって思って、来ちゃったんだけどね。
落っこちて迷ってるうちに、転んじゃってさ…」
サナちゃんが、俺の横を歩きながら話しかけてきた。
言い忘れてたが、サナちゃんの宇宙音悲鳴は地声じゃない。
人口声帯を喉に埋め込んでいるせいだ。
なんでも、ワーウルフが嫌がる波長の声が出せる特別誂えの声帯らしい。
さっき、サナちゃんを襲ってた人狼は、嫌がって耳を伏せてたが、あの声じゃ人間だって耳を塞ぎたくなるし、実際、人狼に、どれほどの効き目があるのかわからない。
と、何かが崩れ落ちるガラガラという音がやけに大きく響いた。
「キャー」
サナちゃんが普通の声で悲鳴をあげて、俺の右腕にしがみついた。
「ただ、ガレキがちょろっと崩れただけだろ。大分、あちこちゆるんできてるしな。」
でも、サナちゃんは離れなかった。
薄明かりでちらっと見えたサナちゃんの目は笑ってた。
っていうか、エモノを狙う目をしてた。
俺はイヤーな予感がした。
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