【消えたり、現れたり、不思議の湖】



ノトランスカ地方のツェルクニツァ村に、ツェルクニシュコ・イェゼロという湖があります。
この湖は、湖の多いスロヴェニアでも、特に珍しい湖として知られています。
何がそんなに珍しいかというと、この湖は半年だけ現れて、後の半年はなくなるという、摩訶不思議な湖なのです。
ツェルクニツァ村では、冬の間、村の大部分が湖です。村人たちは、魚をとったり、スケートをしたり、
その豊かな自然の恵をたっぷりと味わいながら、湖を中心にした暮らしをしています。

ところが、春になると湖はだんだんと小さくなります。水面が少しずつ下がり、
今まで水中にあった地面が現れてくるのです。
その現象は夏に向かってさらに進み、湖がほとんど無くなってしまう年もあるそうです。
そして村人たちは、水のひいた地面を耕し、次の冬まで畑として利用するのです。

不思議な事に、冬の間湖底に沈んでいた木々も枯れることなく、水がひいた場所は豊かな林となっています。
そして、湖の真中には、湖を中央で分ける道路まで現れます。
人々はその道を利用し、農作業に通います。
そして、また冬の訪れとともに、水が増え出し、水面が上がって、
冬にはまた村一面が広大な湖になるというわけなのです。

これが毎年繰り返されるのですが、その不思議なからくりは、この村の地下にある巨大な地下湖にあります。
地上の湖の水は夏の間、この地下湖に吸い込まれているのです。
魚たちも水と一緒に吸い込まれ、そこで夏を越して、ちゃんと生きて、
また冬になると水とともに地上の湖に帰ってくるというのですから、自然は本当にすごいです。

6月のピカポロンツァのツアーでもこの湖を訪れました。
6月は水が随分とひいていて、湖の真中には道ができていました。ツアーの一行は、
この道を馬車で通り、湖の夏の表情を満喫してきましたよ。


前のページに戻る

サイトマップへ