【 スロヴェニアの農村の原風景 コゾレツ 】


麦畑や農家の庭に建つコゾレツは、もっともスロヴェニアらしい風景の一つ


スロヴェニアの田舎を旅していると、畑の真ん中や、
農家のそば、牧場の近くなどに建つ、独特の建造物が目につきます。

これはkozolec(コゾレツ)と呼ばれるスロヴェニアの農村に伝わる伝統的な建造物。
外国人に向けた英語の説明ではhayrack(まぐさ台、つまり家畜の飼料を置く台)と
なっていますが、スロヴェニアのコゾレツは、それだけにとどまらない多機能型まぐ
さ台とでもいうべき、農村の知恵の詰まった伝統的建造物なのです。

コゾレツはスロヴェニアで生まれました。世界中の80%のコゾレツがスロヴェニ
アにあり、イタリアやハンガリーなど近隣諸国にも少し広がりました。
もっともシンプルなタイプは、竿を並べて屋根をつけたような形で、
主に麦を干すために使います。
高さが人の背丈の2倍〜3倍もありますので、一人が上にのぼり、
竿に腰かけ台をひっかけて横にすべらせながら、下から投げられる麦の束を受け取っ
ては器用に竿にかけてゆきます。

また、このページの写真のように家の形をしたコゾレツもあります。
2階建や3階建の普通の家ほどの大きさがあり、1階部分は床がなく柱だけになっていて、
農機具等が置かれています。上の階には麦わらや干し草、穀物等を保存します。壁は板ではな
く、風通しのよい柵のような形になっていて、元々は人が食べるための食糧をここで
保存していましたが、今では主に家畜の飼料を保存しています。

小屋型のコゾレツには、壁や柱、手すりなどに美しい装飾がつけられたものも多く見
られます。装飾と言ってもきらびやかなものではなく、木の壁につけられた風通し穴
がかわいい図案になっていたり、手すりの木の組み方が模様のように美しかったり、
入り口がきれいなアーチ形だったり、という具合にまるで木工芸品のような
小屋が建てられてきました。

そんなスロヴェニア人の知恵と美意識がつまったコゾレツですが、古いコゾレツは老
朽化も進み、数が少なくなってきているそうです。ですが、自分たちの文化を守ろう
と、新しくコゾレツを建てる若者も少なくないようです。

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※コゾレツの形は様々です。
ネットで検索してみると、たくさんのコゾレツに出会えました。→コチラ


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