【あまのじゃくなおかみさん 〜スロヴェニアの小話から〜】

スロヴェニアの人は、笑い話が大好きです。

ちょっと皮肉まじりだったり、大人の笑いだったり、ブラックユーモアだったり・・・
ひとひねりしたジョークで落ちをつけるような小話を、誰しもたくさん知っています。
そして挨拶代わりに"そういえば、こんな話を知っているかい"
なんて言う調子で言い合ったりします。
そんな小話ばかりを集めた本もたくさんあり、毎年新版が出版される人気のシリーズもあります。

そんなスロヴェニアの小話の特徴は、オチを最後まで言わないこと。
最後のひとコマは言わなくてもわかるでしょ、という所で終わります。
話を聞き終わってから自分の中で想像を膨らませ、1,2秒後に笑いが出てくるという感じ。
このあたり、日本の古典落語のオチに通じるところがあるのかな…という気もします。

今回は、そんなスロヴェニアの有名な小話を一つご紹介しましょう。

あるところに一組の夫婦が暮らしていました。
そのおかみさんは、なんでも反対のことをする人でした。
ご主人がお腹が空いたと言えば、お茶を入れてくれました。
そして喉が渇いたと言えば、ご飯を用意してくれました。
暑いと言えば窓をしめ、 寒いと言えば窓を開けるという具合で…
とにかく、何でもかんでも、言われた事と反対の事をするおかみさんでした。

二人は何年も何年も、一緒に暮らしていましたが、
おかみさんのあまのじゃくは、何年たっても変わりませんでした。
ご主人はそんなおかみさんのする事をいつも黙って見ていましたが、
ある日おかみさんにこう言いました。
"この道の先には、崖がある。とても危ないので、絶対に行ってはいけないよ。
いいかい、絶対に行くなよ!"

さて、その後は…



おあとがよろしいようで!

 


前のページに戻る

サイトマップへ