【そうまでして、飲む!これぞスロヴェニア人魂?】

スロヴェニア人は3つの種類に分かれる、とよくイゴールが言っています。その3つ
の種類とは、詩人、天才、酒飲み。どのスロヴェニア人も必ずこの3つのどれかに当
てはまるのだそうで、当のイゴールは全部に当てはまってるみたいです。。。
その説が正しいかどうかはさておき(笑)、スロヴェニア人はお酒が強い人種なのか
もしれません。私が今まで出会ったスロヴェニア人で、お酒が飲めないという人は
一人もいなかったような気がします。食事の時にはワインを飲むのが当たり前ですし、
果実などから作る蒸留酒も昔からさかんに飲まれています。今回はこの蒸留酒にまつわるお話を。


スロヴェニアの伝統的な蒸留酒は、プルーン、洋梨、りんご、などなど、様々な果物から作られますが、
どれもアルコール度数はかなり高めです。市販のもので40度前後、
自家製の物だとさらにアルコール度数の高いものが多いそうです。
40度くらいのものなら、グラスにそっと鼻を近づけるとくだものの芳香が感じられます。
そして、口に入れるとカッ熱くなるような刺激があり、相当お酒の強い人か、
飲みなれた人でないと一息に飲み干す事はできません。
これが自家製のものとなると、さらにアルコール度数が高いですから、
まずグラスに鼻を近づけた時点で鼻がつんとして息が詰まったり、むせたりしてしまって、
ちょっと飲みにくいのです。だけど、酒は飲みたい。この鼻につんとくる感じを取り払って、
存分に酒を味わいたい!というスロヴェニア人魂(?)が、
ついに特別な形のグラスまで生んでしまいました。
フラケル(frakelj)と呼ばれるこのグラスは、首の長いビンのような形をしていて、
飲む時はラッパ飲み状態。グラスの口からアルコールの臭気が広がることがないので、
鼻につんとくる感じに邪魔されずに、グビグビと飲めるというわけです。
さすが に大きさは小さく、ぜいぜい50ほどしか入りませんが、
それでもこの手のお酒にしては十分な量 (笑)。
一見、お酒を保存するためのかわいいミニボトルにしか見えませんが、
実は酒飲みが生んだ、酒飲みのための究極のグラスなのです。



これがフラケルです。写真のものは、リュブリャナの紋章であるドラゴンがレリーフされています。


果物から造る蒸留酒は、ただアルコールが強いだけではなく、とても美味しいお酒です。
甘くないのにフルーティーで、上質の物ほど、
新鮮な果物の風味をそのまま封じ込めたような独特の味わいがあります。
スロヴェニアの 田舎のお宅などにおじゃますると、 “ま あ、まあ、まあ”という感じで
果実の蒸留酒が出されます。いける口のスロヴェニア人たちは、
この強いお酒を本当に一口で飲み干してしまいますから、驚きます。
また、お年寄りのいらっしゃるお家で、ちょっと体調が悪くて、などというと、
“そんな時にはこれを飲んだら調子がよくなる!”と言って、蒸留酒をすすめられます。


フラケルに果実のお酒を入れて、コルクをしたものもお土産として売られています。

そういえば、スロヴェニアの国家は“乾杯の歌”。
友よ杯を酌み交わそう、という感じの歌です。
スロヴェニアの人たちって勤勉でちょっと理屈っぽいところもあるけれど、
人懐っこくて根っこが明るい感じがするのは、
お酒を上手に楽しむ習慣が根付いているからなのでしょうか?


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