雪倉岳・朝日岳   2008年7月25日〜27日

コース:
1日目:栂池自然園12:00〜13:15天狗原13:25〜14:25乗鞍岳14:35〜15:10白馬大池山荘
2日目:白馬大池山荘4:45〜6:35小蓮華山6:55〜7:35三国境7:45〜8:20蓮華温泉分岐〜9:35避難小屋9:45〜10:30雪倉岳10:50〜13:40水平道分岐(水平道)〜15:30朝日小屋
3日目:朝日小屋5:00〜6:00朝日岳山頂6:15〜6:45栂海新道分岐〜9:20花園三角点(付近)9:35〜10:45白高地沢11:10〜12:30鉄橋〜兵馬ノ平〜[休憩10分]〜14:20蓮華温泉
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この夏のメイン・イベント、北アルプスのお花のプロムナード大縦走にいよいよ参加である。
実は10年前の同じ時期に、ほぼ同じコースを歩いている。当時はまだ何もかも初めての経験で、買ったばかりの6本爪アイゼンで登った白馬大雪渓は、夜行明け(急行アルプスで)には本当に辛い登りだった。最後は、目の前に見えた白馬山荘までが何と遠かったことか。

そんな記憶を胸に、この10年の自分の経験が生かされているか、試される気分でバスに乗る。今回は、無事に歩き通せるだろうか・・・。

都内を早朝に出発、中央道を順調に進んで栂池へ。リフトとロープウェイを使って一気に栂池自然園まで上がる。
梅雨明けと言うのに何だか空が重たい。目の前に見えるべき山々はガスの中。午後には雷も予想され、ちょっと嫌な雰囲気だ。

さっきリフト乗り場で量ったザックは9キロ。縦走ともなれば、最低でもこの程度はある。しかし今日は短いコースゆえ、水の量は控えめ。明日以降のザックの重さが思いやられる。やれやれ・・・。

歩き始めは1850m。日差しはないものの、蒸し暑い。ベニバナイチゴ、キヌガサソウ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ・・・と早速多数の花のお出迎え。どんどん標高を上げて天狗原(2240m)に至る。

天狗原

木道を歩けば、ヒオウギアヤメ、ワタスゲ、ホソバノキソチドリなどが咲いている。鮮やかに目を引くのはピンクのタカネバラ。
花は枚挙に暇がない。チシマギキョウに迎えられる頃、乗鞍岳(2456m)のケルンが見えてきて、初めてコースゆえの緊張から解放される。

乗鞍岳へ(中央の小さなケルンが山頂)

ザックを降ろして大休止していると、ポツポツ空から落ち始める。合羽を上下着て、慌てて歩き出すが、すぐに眼下の白馬大池と小屋が目に入る。
なあんだ、もうすぐじゃないの、と思うが池を回りこんでのゴロゴロした岩場歩きで、列の後方は大渋滞。
本格的な降りの前に小屋に入りたいと気が焦るが、慣れない岩場で難儀する人を追い抜くのも、とじっと我慢のノロノロ歩き。ようやく本降り前に小屋に辿り着いてほっとする。

今日は「畳1枚に3名」の大混雑。トップシーズンの山小屋の常とはいえ、9000円も出すのに、とつい愚痴の1つもこぼしたくなるもの。
ただ、我々はグループで一室与えられ、狭いながらも仰向けに寝るスペースだけは確保できるのは有難い。
布団を並べて寝場所を確認してと、外は土砂降りに。慌てて窓を閉める。

荷物整理が終わると、持参の小さな花の図鑑を開き、今日のお花の復習。
雨の合間に外へ出れば、小屋の前はお花畑。コイワザクラ、アオノツガザクラ、チングルマ、ハクサンコザクラ、ハクサンイチゲが、夏山にようこそ!と笑っている。

夕食はエビフライ・カレー。海老以外はお代わり可能。ちょっと品数少なめだが、こんなものだろう。
断続的に雨が降る中、居場所もなく、部屋に戻って早くも寝る準備。(何と歯ブラシを探すと、無い!入れ忘れたようだ。が、親切なSさんのお陰で歯間ブラシを頂き、何とか凌ぐ。)
早速忘れ物にがっかりするも、今回は、汗を拭いて着替えるゆとりもあって、初日としてはまずまず。問題は明日のロングコース。
と言う訳で、まだ6時過ぎだが、「早く寝た者勝ち」で、全員早めに就寝。

熟睡したなと思ったが、囁き声に目を覚ますとまだ消灯前。「外は星が綺麗だった。」・・・ホント?
これは見過ごせない、と重たい体を何とか起こし、小屋のサンダルを引っ掛け、暗い足元に注意しながら外に出ると・・・

おー!!!

見上げると一瞬、雲かと見まがうほどはっきりとした天の川。
星座の判別をも惑わせる、煌めく無数の星星。
目を凝らすうちに更に浮びあがる星たちの中から、ようやく探り当てたのは大きなS字のサソリ。振り返って北斗七星。
ひと際輝くのは木星だろう。(*−2.5等でした。)
キラキラというよりシャラ〜ンと音でもしそうな大迫力。独り占めはもったいない、とみんなを起こし、また飽かず眺める星々の大饗宴。
こんな星は人生で3回目。何よりのプレゼントだ。

明日はきっと素晴らしい展望が待っているだろう。

◆本日出会ったお花◆
ピンク〜紫系統
ベニバナイチゴ(紅花苺)、タカネバラ(高嶺薔薇)、コイワカガミ(小岩鏡)、ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)、アカモノ(赤物)、イワナシ(岩梨)、ショウジョウバカマ(猩猩袴)、ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)、ミヤマアカバナ(深山赤花)、ヒメクワガタ(姫鍬形)、ミヤマリンドウ(深山竜胆)、チシマギキョウ(千島桔梗)、ハクサンシャジン(白山沙蔘)、タカネシュロソウ(高嶺棕櫚草)、ヒオウギアヤメ(檜扇菖蒲)
白系統
シロバナハナニガナ(白花花苦菜)、ミヤマツボスミレ(深山壷菫)、ゴゼンタチバナ(御前橘)、キヌガサソウ(衣笠草)、イワイチョウ(岩銀杏)、ツマトリソウ(端取草)、ズダヤクシュ(喘息薬種)、チングルマ(稚児車)、マイヅルソウ(舞鶴草)、ハクサンイチゲ(白山一華)、ミヤマカラマツ(深山唐松)、モミジカラマツ(紅葉唐松)、ミツバオウレン(三葉黄蓮)、アオノツガザクラ(青の栂桜)、ワタスゲ(綿菅)、ネバリノギラン(粘芒蘭)、ミヤマコゴメグサ(深山小米草)、オオヒョウタンボク(大瓢箪木)、ナナカマド(七竈)
黄色
タカネニガナ(高嶺苦菜)、オオバミゾホオヅキ(大葉溝酸漿)、キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)、オトギリソウ(弟切草)類、ミヤマダイコンソウ(深山大根草)、メタカラコウ(雌宝香)、ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)
緑系統
ユキザサ(雪笹)、タカネアオヤギソウ(高嶺青柳草)、ホソバノキソチドリ(細葉木曾千鳥)、タケシマラン(竹島蘭)
茶色
エンレイソウ(延齢草)

<<2日目に続く>>


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