仙丈ヶ岳・アサヨ峰その2   2006年9月1日夜〜3日

<コース>
仙丈ヶ岳へ:北沢峠7:30〜7:45大平山荘〜8:35藪沢大滝(を臨む広場)8:48〜10:05分岐〜10:20馬の背ヒュッテ10:30〜11:25仙丈避難小屋11:35〜12:05仙丈ヶ岳(3033m)12:35〜13:22小仙丈岳13:35〜14:08五合目14:20〜14:58二合目〜15:27北沢峠

アサヨ峰:北沢峠5:20〜5:33登山口〜?休憩(朝食)6:30〜8:10栗沢山(2714m)8:20〜9:20アサヨ峰(2089m)9:43〜10:32栗沢山10:40〜11:55登山口


大きな鼾を聞き、軽い頭痛を感じながら、何となく寝たり醒めたりしているうちに、3時過ぎから順次出発して行く人たちにその都度起こされる。
百名山でアクセスもよいからか、山に余り慣れていない感じの人も多い。ヘッドランプを頭につけて、寝ている人の顔を照らしながら仕度する人が随分いるのには参った。
それでも時計をチラと見て、ギリギリまで寝ていることにする。

もう5時過ぎたよ、の声にしぶしぶ起き出す。ピストンと決めたせいか、何となくノンビリ気分だ。
朝食は弁当で、しかも小屋の中で食べるなとのこと。ちょっと不思議なシステムだが、1時間位歩いてからにしようというYさんの言葉にちょっと不安を覚えつつも、半分眠っている頭と体を無理やり起こして、涼しい北沢峠を歩き出す。静かだ。

今日は全員が初めての山、初めてのコースで緊張する。栗沢山に直登することにし、キャンプサイトを抜けて登山口へ。鬱蒼とした樹林帯だが、思ったほど暗くは無く、道もしっかりしている。
熊が怖いので今日も鈴を鳴らしながら。しかし、ザックは重いし、体も重く、足取りは遅々としている。やっぱり少しでも食べておかないと体が動かない。

もう少し、もう少しと言われつつも、もう限界、休憩したい、と早めに朝食タイム。疲れてしまって食欲もないが、ぬるいポットのお湯で紅茶を飲み、弁当の蓋を開ける。
みんなはおしゃべりしながら食べているが、加わる気力がない。やっとの思いで半分位食べ、もう1度お茶を飲んでから歩き出す。

暫くの間は傾斜もきつくはない。歩き始めると、少しずつ体が動いてきてほっとする。
Lilyさんとおしゃべりする元気も出てきて、やっとペースを回復。だんだん高度が上がって景色もよくなり、更に元気を増す。


北岳を臨む
樹間から北岳が姿を現す。いつ見ても綺麗なピラミッドだ。
反対側には甲斐駒も大きく姿を見せ、山頂での展望に期待が膨らむ。樹林帯の登りはだんだんきつくなる。しかし、今日は本当に静かな山。花はセリバシオガマが時々咲いている程度で寂しいが、それを補って余りある展望になりそうだ。

急登を頑張ると樹林帯を抜けてハイマツ帯に入る。一気に視界が開け、思わず歓声を挙げる程の甲斐駒、仙丈ヶ岳、北岳、そしてアサヨ峰も見える。
頭上をホシガラス?が飛び交う。どうやら木の実を食べているようだ。気分爽快、天気も絶好。

しかし、足元はガラガラしてきて、山頂は見えているが更に急登、喘ぎ喘ぎ上っていく。今度はかなりの大岩が重なり、ペンキ印も余りないのでルートを誤ると絶壁になり、結構怖い。

バランスを崩すと怖い所は3点確保で上って、ようやく山頂に。目の前の甲斐駒が一段と大きい。栗沢山だけでも十分な登り応えと収穫がある。今日も空が青い。稜線続きのアサヨ峰やその先の鳳凰三山も綺麗だ。

ああ、縦走したら本当に楽しいだろうな、と一瞬思う。が、やっぱり高度のせいか、残る疲労のせいか、体は重く、足元も何となく心もとないので、今日はピストンに決めて正解。

しかし、北沢峠12:55のバスに乗らなければならないので、思いのほか時間は厳しい。30分は休んでいたい気分だが、早速アサヨ峰を目指す。
積み重なった大岩の上を適当に歩いて行くが、時々道は幾重にも分かれ、歩いた人の数だけルートが出来ているようだ。


甲斐駒ヶ岳

アサヨ峰への縦走路
見た感じでは案外近そうで、これはコースタイム(60分)を短縮できるなと思ったが、甘かった。
岩場には印が殆どないし、うっかりすると絶壁に出てしまう。ハイマツ帯もルートははっきりしているものの、枝が伸びていると意外と時間がかかる。しかし展望のよさはピカイチ。

ルートは地形図で感じる以上に厳しく、やはり高度障害か、もたもたして遅れてしまう。


仙丈ヶ岳

岩場を登る
すいすい前を行くLilyさんだが、時々振り返って待っていてくれる。やっぱり若さには勝てないということか。

途中に1箇所、鎖でも欲しい岩場があり、一瞬ひるむが、何とか手がかり足がかりを見つけて登りきる。ここを降りるのは嫌だなと思うが、今は山頂を目指すのみ。

だんだん目指すアサヨ峰が近づくが、手前の急登も手ごわい。結構登り甲斐のある山だ。

でも、あと一息!富士山も顔を出している。頑張ろう。


手を振るLilyさん

栗沢山に戻る縦走路
最後の急登を登りきって、ようやく到着。大岩の上にアサヨ峰の標識がある。
その下で大休止。ちょうど1時間かかっている。

Yさんがグレープフルーツを、Oさんが梨を切ってくれる。重いものを、有難いことだ。

やっとほっとする。これで後は来た道を戻ればよい。疲れてはいても、頭の中では既に時間は読めた。これで急がなくてもバスに間に合うはず。

時折単独行の人が通るが、静かなコースだ。それに、稜線に出てからは短い距離でも変化に富んで、歩き甲斐がある。

ああ、少し遅れたけれど、最高の夏休みだ!


早川尾根と富士山
目的を達成し、アサヨ峰を後にする。足場に気をつけながら戻るが、なかなか絶景。Yさんは更に早い足取りだ。そんなに急がなくても間に合うんだけどなあ・・・。
さっきの岩場も、何とかクリア、再度の登り返しが少しきついが、今度は50分で栗沢山に戻る。最後の大展望に別れを告げて、栗沢山を降りる。
樹林帯に入るまでは先にいくよ、とYさん。

確かに気を抜けないルートではあるが、下りは体力的には楽だ。私も例によって「下りは別人」になり、どんどん降りていく。ガレ場が終われば後は何でもない。

昨日の仙丈ヶ岳は殆ど足元は岩か石で、下りは膝に響きそうだったが、今日の樹林帯は足に優しい土の道。木の根は縦横に走っているが、ストックを補助に楽々下りて行く。

多少はコースタイムを短縮しようかと欲が出て、やや飛ばし気味に先頭を歩く。時計をちらちら見つつ、50分で休憩しようか、それとも60分歩こうかと気にしていると、Lilyさんから休憩コール。

5分休んで、多分あと少しだから、と元のペースで降りていくとすぐにカラフルなテントが見えてきて、あっという間に登山口へ。コースタイムを15分も短縮。
あとは北沢峠までの僅かな登り返しながら、案外これが最後に効く。長衛荘に戻って荷物を回収、お昼を食べてバス待ちの列に加わる。

広河原行きのバスに乗って少し進むと、斜面の上にカモシカ立って見送ってくれた。やはりここは山深いところなのだ。

広河原でバスを乗り継いで、甲府駅へ。空いている銭湯に寄って、駅前で「ほうとう」を食べ、充実した個人山行を締めくくった。
皆さん、お疲れ様でした。


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