仙丈ヶ岳・アサヨ峰   2006年9月1日夜〜3日

<コース>
仙丈ヶ岳:北沢峠7:30〜7:45大平山荘〜8:35藪沢大滝(を臨む広場)8:48〜10:05分岐〜10:20馬の背ヒュッテ10:30〜11:25仙丈避難小屋11:35〜12:05仙丈ヶ岳(3033m)12:35〜13:22小仙丈岳13:35〜14:08五合目14:20〜14:58二合目〜15:27北沢峠

アサヨ峰:北沢峠5:20〜5:33登山口〜?休憩(朝食)6:30〜8:10栗沢山(2714m)8:20〜9:20アサヨ峰(2089m)9:43〜10:32栗沢山10:40〜11:55登山口


300名山を目指しているYさんのリクエストで仙丈ヶ岳とアサヨ峰へ。
例によって計画と予約全般は私の担当で、Yさん、Oさん、Lilyさんの計4名。Oさんは個人山行にご一緒するのは初めてだが、全員同じ山の会なので、顔なじみ。

前泊も考えたが、甲府駅朝4時のバスに乗るには半端なので、途中仮眠付きの登山バスを利用してみる。新宿22時発、芦安で仮眠を取り、バスを乗り換えて広河原に入るもの。(なかなか良かった。畳の上で毛布を貰って雑魚寝だが、それなりに眠れてよい。)

久しぶりの広河原には登山者が溢れている。並んで切符を買うが、冗談みたいな小さなザック(18L)を示して「これ以上大きな荷物は+200円」という。ここまで来る人の95%以上に適用する料金なのだから、550円+200円ではなく750円(高いぞ!)と表示すべき。南アルプス市もこのバスで儲けているなあ・・。

流石に標高が高いだけあって、結構寒い。あわててザックからフリースを出して羽織る。東京の残暑が嘘のようだ。でも、抜けるような青空は嬉しい。

バスを乗り継いで北沢峠へ。本日のお宿、長衛荘に荷物を少し置いて、7:30にスタート。仙丈が初めての3人には、私も初めての藪沢新道を選び、お花に期待する。


双児山
大半の登山者が甲斐駒と仙丈ヶ岳(小仙丈尾根コース)へ回ってしまったようで、大平(おおだいら)山荘への道には誰もいない。道端のキタザワブシ(トリカブト)とアキノキリンソウ、ハンゴンソウなどが綺麗だ。
山荘に向かって降りていき、前を通って登山口となる。何とオオビランジなどが植えてある。サラシナショウマも綺麗に咲いている。
地形図では最初はずっとなだらかで、藪沢大滝あたりで急登のようだ。沢沿いで涼しそうでもあり、且つ花が多いと聞いて是非にと思ったコース。

なるほど、最初は歩きやすい。しかもとても静かだ。振り返ると最初に見えてきたのは双児山(甲斐駒の手前の山)のようだ。一応熊よけの鈴を鳴らしながら行く。

気持ちの良い道が続くが、樹林帯の急登にさしかかる。でも涼しいし、木の香りがしていて、頑張れる。1時間ほどで休憩にちょうどよい開けた地点に出る。滝の音が聞こえており、藪沢大滝のようだ。

この辺りの急登を頑張ると、また一度緩やかになり、沢沿いを歩くようになると日差しが眩しい。そろそろ先行者に追いついたり、後ろから団体が追って来たりで賑やかだ。
振り返ると甲斐駒が顔を覗かせている。変化があって楽しいルートだ。

花も沢山咲いている。ソバナ、ミソガワソウ、サラシナショウマ、ハクサンフウロ、グンナイフウロ、オヤマリンドウ、アキノキリンソウ、ウサギギク、・・・。挙げればかなりの数になる。流石、花の山だ。

各自カメラを取り出して、花や景色をカメラに納める。ゆっくり歩いているようでも、順調なペースだ。


沢沿いに進む

キタザワブシ

ハクサンフウロ

タカネナデシコ

センジュガンピ
大滝ノ頭への分岐から沢を離れて登っていく。少し日陰になるのでクロクモソウやダイモンジソウ、オヤマリンドウやセンジュガンピなども見られる。
すぐに馬の背ヒュッテになるが、折角なのでちょっと休憩。あたりはマルバダケブキやカイタカラコウが咲いている。もう少し頑張ると馬の背。
が、少しずつ体が重くなってくる。ザックも重い。そろそろ高度障害も出てきたようで、軽い頭痛がする。やっぱり3000m級の山は楽ではない。

目の前に小さく小屋が見えているが、遠く感じる。ペースがぐっと落ちて、ストックを頼りにやっとの思いで歩く。
それほどの急登でもないのに、小屋に辿り着くのが本当に大変だった。しかし、待っていたのは大展望!左には穂高、右には八ヶ岳、後ろに甲斐駒・・・。素晴らしいパノラマだ。

11時をまわっているのに、ガスに邪魔されずにこれだけ見えるのは珍しい。本当に今日はラッキーだ。
山頂は見えている、もう少しだからと最後の急登を頑張ることにするが、がっくり落ちたペースで歩いていると、先行者が立ち止まっている。
何と、雷鳥がいる!
真昼間、登山道脇を悠然と歩いているとは。何度もカメラを向けても気にしない。やがてハイマツの中へ歩き去ったが、これは思わぬプレゼントとなった。

嬉しくなって足取りも軽く目の前の山頂を目指す。ちょうど正午過ぎ、山頂到着!笑顔で握手を交わす。大休止。

狭い山頂には人が溢れているが、何とか場所を確保して、3033mのランチタイムを楽しむ。目の前は北岳から間ノ岳、その向こうに富士山等、これまた大展望。小仙丈からもどんどん人が登ってくる。


雷鳥の親子

北岳と富士山
およそ4時間半で登頂。標高差はちょうど1000mほど、利尻岳の1600m余りと比較すれば大したことはない(?!)ものの、私は高山病にかかりやすいようで、馬の背あたりからはヨレヨレだった。
Lilyさんも軽い頭痛がするというので、私一人ではないことに少しほっとする。

今日はもう思う存分展望も楽しみ、期待以上のお花に迎えられて大満足。あとは、北沢峠を目指してひたすら降りるのみ。

本当に久しぶりの3000m。雲の上は気持ちがいい。すぐ手の届きそうな範囲にこれだけの名山が並んでいるのも凄いことだ。

さて、ザックも気分も軽くなって、また歩き出す。

このあたりは砂礫地だが、トウヤクリンドウがあちこちにある。殆ど開いていない状態で、この花は大体いつもこんな感じなのだが、この大変な数ゆえに、開いていたら・・・とちょっと残念。

暫くは砂礫の細かい起伏を越えて小仙丈(2855m)を目指す。意外と距離がある。辺りはあっという間にガスに包まれて、周囲の高山が姿を消してしまう。

小仙丈で少し休憩。後はどんどん下るのみ。小仙丈尾根は一度歩いているので安心感がある。


トウヤクリンドウ
余り面白くない樹林帯に入り、ひたすら下る。頭が少し痛い。花も余りないのでわき目も振らず、あっという間に五合目(分岐)へ。喉が渇く。
さっきと別人のような速さだね、と言われる。下りもストックを活用し、転ばぬ程度に急いで降りる。

一旦開けた場所に出ると眼下に色とりどりのテント村が見える。駒仙小屋(旧北沢長衛小屋)のキャンプサイトだ。
大分降りてきたことを高度計でも確認し、地形図を確認して、もう一息とLilyさんに言う。時計も15時を過ぎ、時間的にもそろそろだろう。
それにしても、ここを登っても結構きついなあと思う。藪沢を登るのは大正解だった。
そろそろおしゃべりを楽しむ余裕が出た頃、下から音が聞こえてきて、長衛荘前に降りた。15:27、長い1日も終わり。
流石に疲れて、まず毛布の上に横になる。・・・少し休んでからようやく荷物整理。そして間もなく夕食。余り食欲なし。軽いがまだずっと頭痛がする。

Lilyさんも、明日の長い縦走は厳しいかなと、結局ピストンすることになる。これで少し荷物を減らして歩けることになり、ほっとする。今回は見送るが、何とか近い内に早川尾根を縦走し、早川小屋に泊まってみたいものだ。

アサヨ峰へ☆


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