北海道大遠征Part3

   2005年8月10日(夜)〜17日

コース:
1日目:八甲田山
2日目:ペケレベツ岳(日勝峠)
3日目:トムラウシ山(トムラウシ温泉短縮コース往復)
4日目:赤岳(大雪山)
5日目:表大雪縦走(黒岳〜旭岳)


  さて、周囲の物音に目が覚めると5時すぎ。北海道が見えてきた!船内で持込の軽い食事をし、バスに乗り込んで6:30、いよいよ上陸。
今日は大移動の途中でペケレベツ岳に登ることになっている。

車窓から久しぶりの北海道の景色を楽しみ、道の駅ではトマトの試食をして1袋買ってみたり(実は結局全部みんなに配ってしまったので自分で食べたのは試食の1個のみ。)そのあたりは前の二回の経験が物を言う。

  天気が良すぎてカンカン照り。これは暑くなりそうだ。
車窓からは地震雲?

日勝峠にあるペケレベツ岳登山口に到着。ここは大きな鉄塔や建物が大きな目印である。除雪ステーションの大きな駐車場にバスを停めて、支度をする。
日差しが肌に痛いほど。



目の前に登山口の標識が見えるが、山頂はなんだか霞んでいて見えないようだ。

リーダーが登山口で記帳し、草原を歩き出す。<9:50>

マイナーな山のため、ネットでの記録程度しかなかったが、登り2時間下り1時間半となっている。ついつい「楽勝」モードと感じてしまうが、今日は猛暑と蒸し風呂のような湿気の中、ヤブ漕ぎとは言わないまでも、背丈ほどの草ヤブが何とも煩い。

しかし、ルートはしっかりついており標識もある。
ほんの少し歩いただけでどっと汗が噴出す。
一番暑い時間帯に風通しが悪い道を行くため、頑張ろうという気力が萎えていくのが分かる。ちょっと辛い。

30分で、もう顔も背中もびっしょり。そんな中、ツバメオモトの青い実が沢山あって、花の時期はさぞ綺麗だろうと想像して気を紛らわすしかない。


登山口のポスト


大きな鉄塔と建物が目印

  それでも、最初の休憩時にエゾスズランを発見。
とっさにカキランの色違いだと思ったが、すぐに思い出したのは、エゾスズランという名前。一度、大菩薩で蕾を見たことがある。

そのときお花に詳しいYokoさんに教えられ、覚えた花が今日ここに咲いているのだ。背丈も高く、色はみどりながら目立つ花である。

カメラを向けてもなかなかピントが合わない。
その内に休憩も時間切れ。慌てて水をがぶ飲みし、またザックを背負いなおす。

先が見えないとなんだか疲労度も上がってくる。



「母の胎内」地帯を行く

大きな岩の間を縫うようになると「母の胎内」という標識が出てくる。
足元はふかふか、時々穴あり、要注意。

ルートは尾根に沿って1343mのピークを目指すようについている。
その後は左に曲がってペケレベツ岳へ向かう。
もう暑さでバテバテである。

時間から見てももうすぐ頂上かなあなどと甘い考えを打ち砕くように、「ペケレベツ岳2000m」の標識が。え〜っウソ〜。


この1343mの小ピーク到着は11:37。小さなく開けている。ようやくここから(結構遠くに)山頂が見えてくる。

気を取り直して、更に進んでいくが、足元の根や横からの枝など障害物が多い。
足元注意、頭上注意、枝注意の声が絶えず木霊する。

もうすぐかな、との淡い期待を何度か裏切られつつも、ようやく先頭から「頂上!」の声が聞こえてくる。
12:40過ぎ、到着。2時間の楽勝コースのはずが、何と3時間近くかかっている。
暑さでへたり込む。



しかし、目の前は雲海だった。たった1500mほどの山なのに、眼下に広がる雲海は素晴らしい。
頑張ったご褒美だろうか。

山頂で記念写真を撮っているみんなを尻目に、お昼を食べながらもなかなか重い腰は上がらない。
それでも、飲み喰いした分だけザックは軽くなって、気分も少しだけ軽くなる。
集合写真を撮ってから下山。


さて、兎に角降りましょう。・・・あっちこっちから草に隠れて木の根が出ているので、ついつい足元が気になる。
暑さで思いのほか消耗し、みんなも結構無口である。これが足慣らしなんてとんでもない。
明日のトムラウシ、大丈夫だろうかと思いは、声に出さずともみな同じである。

小ピークでまた小休止。まだまだ時間もかかりそうだ。
草を掻き分け、木の根・枝に気を取られ、ああ帰り道も長いなあ〜と思ったとたんに、あ!

何と思い切り右手と両膝をついて転んでいた。こんなに見事に転んだのは、もしかして山を始めてから初めて?

・・・幸いにもどこも怪我は無く、地面もふかふかだったので打った膝は何とも無かった。
が、自分も周囲も一瞬凍りつく。よく見ると、ほんの少しだけ張り出した木の根の角に躓いたようだ。

やはり疲労で足が上がっていないのだろう。もう1つはこの新しい登山靴のせいかもしれない。まだ革が足になじまず、紐もすぐ緩んでしまって、足裏の感覚が狂っているようだ。

やっとの思いで下山すると15:15になっている。結構5時間以上かかった計算だ。やっぱり楽な山というのはないのかもしれない。

さて、  今日はこれからまだ大移動。そう、トムラウシの登山口、トムラウシ温泉まで行かなければならない。
途中のコンビニでいろいろ仕入れ、一路お宿の国民宿舎「東大雪荘」に向かう。

幹線道路からどんどん林道を奥に入って行く。
道路の幅は思いのほか広く、時々舗装と未舗装が繰り返される。

道端にはホコリをかぶった大きな大きなフキやハンゴンソウが黄色い花をつけている。

途中キタキツネが道を横切り、バスが停まると、葉っぱの陰に隠れて、不安そうにこちらを眺めている。さすが北海道。

随分走った頃、広い林道の奥に大きな建物が出現。国民宿舎『東大雪荘』である。もちろん、温泉。
綺麗な建物にびっくり。早速部屋に分かれ、入浴と荷物整理。毎度の作業である。

お風呂はとても広くて開放感に溢れている。これはいい。
食事もなかなか。

お土産もトムラウシの名入りグッズがいろいろあって、結構迷うほど。
買うなら今日しかないが、でも登頂できなかったら・・・。皆さんとそんな話をしていると現れたIリーダーが一言。
「だいじょうぶだよ!」
え〜い、じゃ、これと、あれと、・・・。

朝食用のおにぎりを手に、部屋へ向かう。明日は3:45に出発だ。

トムラウシ山へ続く→*


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