番外編 京都一人旅   2007年3月某日

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◆2日目◆

目覚ましの1分前に起床、外はよい天気のようだ。何だか無性に仏像を見たくなって、朝一番に早速三十三間堂へ。ここには朝から団体や制服の中学生がゾロゾロ。・・・お堂に入るとひんやりする。ずらりと並んだ千体の千手観音。凄い迫力。
でもここには静かな時間が流れている。自然と手を合わせたくなる空間だ。

以前は裏に置かれていた国宝の二十八部衆が、千手観音の前に等間隔に並べられており、お気に入りの伽楼羅(かるら)像とじっくり対面できるのは嬉しい。
勿論、有名な風神雷神像もある。
これだけの数の仏様と向き合っているうちに自然と穏やかな気持ちになってお堂を出た。

外を歩くと、池のほとりに早咲きの桜が綺麗だ

<三十三間堂外観>

バス停に戻って次は祇園まで。先月の仮名手本忠臣蔵を思い出しながら一力亭を横目に歩いて行けば次は「都路里」の前で足が止まる。この時間なら誰も並んでいない。でも、今から抹茶パフェを食べてもなあ・・・と今回も諦める。

最近目が疲れるので、通りがかりの仲源寺(目疾地蔵)にもおまいり。さて、そろそろ自分にお土産でも、と井澤屋へ。ここで小物を買って、お隣の南座に立ち寄る。
今日は3階席ながら「橋之助・七之助 宙乗り相勤め申し候」の『霧太郎天狗の酒もり』(「さかもり」のモリは「酒」偏に「燕」。)を見るのだ!
ネットで購入済みの切符を発券機から取り出して、ちょっと安心。さて、これから4時までどうする?

趣のある通りを歩いてみようと縄手通りを白川まで歩く。なるほど、思わずレンズを向けたくなる光景だ。

対岸の家屋を見ながら川に沿って歩く。あれ、あそこにゴイサギ?(図鑑によると「アオサギ」のようです。) ・・・屋根にはシラサギも!

  

きっといつも餌を貰っているのだろう。ガラス戸の中を覗き込む姿がかわいい。川沿いに歩けばお目当ての甘味処「ぎをん小森」がある。元はお茶屋さんということで、評判のお店だ。
暖簾をくぐると早速靴を脱いで畳敷きの廊下には行灯が並べてある。夜も営業しているのだろうか。入ってみるとなるほどしっとりとした雰囲気で、川に沿った和室に通される。
既に数組のお客があり、静かに食べている。ガラス戸もぬくもりがあり、よしず越しの白川にはふくらんだ蕾を持った桜の枝が伸びている。

メニューは少ない。お勧めは「小森パフェ」と「小森あんみつ」。で、あんみつの方は黒蜜か抹茶蜜ということで、抹茶蜜で注文。ちなみにお値段は1200円。
この値段をどう見るかだが、私なりに納得。その内訳は、あんみつ500円+立地300円+お茶屋の雰囲気400円といったところ。

それなりに満足して店を出てから携帯を確認するとY君からまたメールが入っている。昨日・今日とまめにメールをくれる。芝居が跳ねた頃なら京都に行けるから、バスのお見送りするよ、と。
気持ちだけ有難く頂いて、お礼の返信しておく。

付近の古門前通からまた縄手通に戻り、さらにお土産を物色すべく、初めて錦市場に行ってみる。なるほど狭い通りの両側に様々な店が並んでいる。
湯葉や厚焼き玉子に食指が動くが、持ち帰るのは大変だし、クール宅急便では送料が勿体無い。・・・また今度、と諦め、今度は高島屋へ。

デパートの地下を彷徨すると、何とその一角に出町ふたばの豆大福が置いてある。
2個入りからあるが、皮が固くなるので当日に召し上がれとのこと。流石にいまあんみつを食べたばかりでは、一人で2個食べられない。是非次の機会に・・・。

それから村上重で漬物を買って、南座で食べる弁当を、と探すが適当なものがない。ぐるぐる回るうちに疲れてしまい、南座で何か売っているはず、とデパ地下を出て、今度は食堂階へ。
何だか歩きつかれてしまい、結局「田ごと」に入る。やっぱりさっき本店のほうに入るべきだったなあ・・・。
余り空腹でもないので軽いものを頼むが、これで十分おいしい。お財布を心配しないで入れる店が一番。

さて、南座の4時までまだまだ時間があるぞ・・・。
地図を開いて近場で探すと、もしかして初めて?の建仁寺がよさそうだ。今日は荷物を持ったままで、身動きが取れず、さりとて今更ロッカーでもないし、とイマイチ段取りが悪い。
冷たい風に震えながら、もう一度花見小路を歩くと舞妓さん?計3名に遭遇。ラッキ〜!

建仁寺は広い。法堂の天井画の双龍図を公開中とか。・・・

名刹の名に相応しい方丈は、襖絵も枯山水の大雄苑も素晴らしい。いくつも枯山水を見てきたけれど、何故かここが一番心が安まる。

大雄苑

坪庭「潮音庭」も含め、花も紅葉も無いこの季節でも十分素晴らしい。

さらに法堂(はっとう)の双龍図を見る。小泉淳作氏が2002年に描いたもので、迫力がある。新しいものはどうかなとも思ったが、創建当時はこういう感じだったのかもしれない。
最後に靴を履いて、戦乱の矢の痕が多数残るという勅使門まで足を伸ばす。柵はめぐらしてあるが、よく見るとなるほど多数のキズがある。

京都最後のお寺としては大正解。是非また季節を変えて訪れたいものだ。さて、ゆっくり南座へ向かおうかと思ったら、干支の亥ゆかりの禅居庵へという大きな標識がある。ま、ついでに寄ってみようか。・・・勅使門の横から外へ出てすぐ。古い感じのお寺(のはず)だが狛イノシシがいる。

  

建仁寺の塔頭(たっちゅう)の1つで、摩利支尊天を祭っている。この摩利支尊天像が猪に乗っているので狛イノシシがあるとか。
別の門から出ようとすると、別の狛イノシシが。ちょっと欠けたりしてカワイそうかな。

時計を見れば結構いい時間。急いで南座へ。やっとロッカーに荷物を入れて、身軽になって3階へ。

やはり歌舞伎座に比べると一回り、いや二回りほど小さい。3階席への階段が妙に急だ。必死に登り、席を確認して座ってみてびっくり。
最後列に近いのに舞台がよく見える。それに、花道とスッポンまで見えるではないか。・・・2階・3階の座席数(列)が少ないのと傾斜が非常に急なので、思いのほか舞台が近い。歌舞伎座では2等席でも2階だと花道がなかなか見えないのに。

さて、何かお弁当でもとうろうろ探すが、余り売店はなく、選べないのでとりあえず折り詰めを買って座席に戻る。
さて、復活狂言の霧太郎、天狗に扮した橋之助の他、愛之助もなかなかよい。勿論、勘太郎に七之助と贔屓の役者が揃って、双眼鏡片手に存分に楽しんで、終焉が8時とちょっと早い。

さてバスが出るのが23時、ちょっと間が空きすぎている。・・・結局、京都駅のリプトンでケーキセットで21時まで粘り、そのあとまたパブのような店で1時間ほど過ごしてからようやく車中の人となる。やれやれ。
今回は両日とも夕方早め(5時と4時)に予定が入っていたので何となく午後になると気ぜわしかった。できればもう1泊して、ホテルの滞在も楽しみたいところだが、余り家を空けられないことを思えばこれでも贅沢かもしれない。
あとは、夜行バスで帰るなら夜の時間を潰す方法を考えるか、「ドリーム&ひかり」にして帰りは新幹線がよさそうだ。
ともかくも、京都は一人歩きにぴったりの街だ。今度は南座の演目に合わせ、桜・祭り・紅葉の季節に来ることにしよう。



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