番外編 京都一人旅   2007年3月某日

2日目


頑張り続けた仕事も生徒達の無事合格でようやく終了。やれやれ、これでゆっくり休めるかなと予定表を眺めると、だらだらと予定が入っている。
これではいつまでたっても纏まった休みが取れないので無理やり予定をねじ込み、慌しく京都行きの夜行バスの人となる。

3列独立シートを目一杯倒して寝ていたら、明け方脚と腰が痛くなって目が覚める。困ったな。・・・少しシートを戻してもう一眠りするともう京都駅。曇天の烏丸口に降ろされる。ちょっと寒い。

駅ビルの綺麗なトイレで顔を洗って、駅構内のロッカーに荷物を預け、朝ごはんは・・・7時まで30分ほど待つか、開いているマックで済ませるか。
今回はマックで我慢しよう、と注文するが何と席が空かない。店員が親切にテイクアウトに直してくれて、仕方なくまた駅構内へ戻る。
フラフラ歩くもののベンチもなく、折角のコーヒーも冷めてしまうので、物陰の僅かな腰掛スペースを見つけ、そそくさとハンバーガーを齧る。こんな筈では・・・。

さて、どこから歩こうか。この時間に空いているのは清水寺。朝6時から開いているのは有難い。
駅(烏丸口)前のローソンで市バス一日乗車券500円を買い、バスに乗り込む。
ちょうど中学生らしき修学旅行生のグループも2組ほど五条坂で降り、「近道」の標識に誘われて同じく茶碗坂を登り始める。(中学生が飛びつきそうなお店があるのは左の坂だよ、と教えてあげたくなったが、どうせまだ開店前だろうから黙っていた。)

清水寺は拝観料300円、訪れる人の桁外れの多さゆえか昔のままだ。
清水の舞台から街を望むと、京都タワーが醜悪だ。気を取り直し、奥の院までいってから戻って音羽の滝へ。
確か、三本の滝の水を飲むと、それぞれ「長生きする」・「頭が良くなる」・「美人になる」だった気がする。さて、今日はどの水を飲もうかなと考えたが、結局やめた。今更どれを飲んでも・・・。

手にした柄杓を返し、下から舞台を見上げながら戻る道には梅や椿が咲いており、メジロやヒヨドリ、シジュウカラなどが遊んでいる。まだ静かな時間だ。
さて、次はどこへ行こうか。

七味屋が開いていたので小さな七味を買い(ここのは香りが良くて辛すぎないので好きだ)、三年坂へ降りて行く。
まだ早いのでお気に入りのお店は閉まったまま。そこで八坂の塔でも、と左へ曲がると左手に小さいが目立つ社が。
派手な色合いの身代わりの猿が多数吊るしてある。面白そうなので入ってみると、八坂庚申堂。くくり猿と呼ぶらしい。


八坂庚申堂のくくり猿

八坂の塔は目の前だが、柵がめぐらされ、入口が・・・ない。時間が早すぎるからだろうか、残念。
じっくり見上げてから風情のある町並みを適当に歩いていると「はれま」(チリメン山椒の老舗。ここもまだ開店前。残念。)に出た。ここからまっすぐバス通りに戻る。
すると横断歩道の目の前が安井金比羅宮。「悪縁を切り良縁を結ぶ祈願所」と大きく掲げてある。脇の「金比羅絵馬館」の看板で思い出した。確か、有名人の絵馬が沢山あって有名だったはず。

切るほどの悪縁もないし、良縁をそこまで切望している訳でもないが、目の前に現れたからにはちょっと覗いてくるか、と吸い込まれるように鳥居をくぐる。
気のせいか薄暗くて余り気分がよくない。一応拝んでから周囲を見渡すと、なにやらおどろおどろしい物体が。
縁切り縁結び碑というらしいが、お札のようなものがびっしり貼ってある。込められた『怨念』のようなものを感じて早々と退散する。

神社を通り抜けると怪しげなホテル街。うわ、と思って足早に通り過ぎる。
いつの間にか8時を回り、バスを待って乗り込む。地図を広げて考えているとバスが停まってしまう。何とハーフマラソンによる交通規制という。よく見れば遥か前方を多数のランナーが通過中。まだしばらくかかりそうだ。

そこで、次は護王神社に決め、バスを乗り換えるが、またマラソンコースとぶつかったようで、烏丸丸太町で下車、あとは歩くことにする。応援の人波を掻き分けてようやく到着。
蛤御門と向かい合った神社で、亥年とあって知名度もアップしたようだが、ここは狛イノシシが珍しい綺麗な神社だ。和気清麻呂を祭り、足腰に効くという。
ちょうど富山の伯父が84歳の年男なので、機会があれば是非、と思っていた。

  

意外と参拝客は少ないが、亥串など独特の御守などがあって面白い。よくよくお参りし、伯父に御守を買って、ちょっとほっとする。
さて、次は晴明神社だ。少し距離はあるが、堀川通りまでは歩き、一日券があるのでほんの2つだがバスを待つ。
陰陽師で有名になった安倍晴明だが、山梨のセイメイバンに登ったこともあり、まずはご挨拶。いつもながら参拝客は携帯やカメラ片手の10代〜20代ばかり。

お昼の当てもあるので北野天満宮へ行こうとバス停のある堀川通りまで歩くと、大きな鳥居がある。見れば白峯神宮、サッカー選手が詣でるとガイドにあったなあ、と寄ってみる。
蹴鞠碑があって、碑に埋め込まれた石の球をまわすとご利益があるとか。サッカー少年には有難い神社だろう。ラモスらの色紙も飾られている。


蹴鞠の碑

面白いから回してみようかとも思ったが、指を挟まぬようにと注意書きがあったのでやめておく。

さて、バス停に戻り、次は北野まで。まず大将軍八神社へ行き、方除厄除のお札を買う。
小さいながらも由緒ある神社。私はここの八角お守りが好きだ。今回も買っておく。

それから近くの地蔵院(椿寺)へ。ここは初めて。・・・小さなお寺だ。門の外に椿は五分咲きと出ている。
入るとすぐに大きな椿が綺麗だ。「五色八重散椿」とある。なるほどちょっと色が変わっており、こんな小さなお寺にカメラを向ける人が数名。

こぢんまりした花の寺。ちょっといい感じ。
さて、そろそろお昼前。混み合う前にお目当てのランチへ。今出川通りに戻る。晴れ女のつもりなのに今日の天気は不安定。折畳み傘を広げたり仕舞ったり。

前回バスから行列が見えた派手な店構えの豆腐の藤野。入ったのはTO-FU CAFE FUJINO、まだ昼前なので人はまばら。(でも、このセンスの悪い外装はいただけない。)
で、お決まりの藤野プレート1050円を頼む。湯葉や豆腐が大好きなので、楽しみにしてきた。お味の方は、まずまず。次回はデザートも楽しみたい。
箸袋が可愛い。豆腐に関連したグッズも売っているが、このウサギのものはないようで残念。

お腹も一杯になって、メインの北野天満宮へ。梅苑に入るまでもなく境内には色とりどりの梅が満開。

  

さあお参りしようと奥へ進むと、そこには整然と並ぶ親子の長い列。そうか、お礼参りだな。
別に横からお参りしても構わないのだが、ちょっと不謹慎な気がして心の中で手を合わせて、そっと戻ることにする。・・・さすがは天下の天満宮。

大分歩いたなあと思うが、時間も早いので締めは糺の森、下鴨神社にする。出町柳で降りるので、是非「出町ふたば」で大福を、と思うが降ろされたのは川の反対側。
この時間ではもう売り切れだろうなと思い、諦めて糺の森を目指して歩き出すと、鴨川に飛び石が延びている。ちょうどここから川がY字に分かれ、糺の森はその真ん中にある。
子供達が渡っているのを見て、私も河原に降りてみると、飛び石の一部は亀になっている。

  <亀の上を歩く>

気に入った!と年甲斐もなく渡ってみる。浅瀬にはメダカが泳いでいるのは何だかとても嬉しい。
足元に注意しながら渡って中洲に上がり、糺の森へ向かうと高い塀の上から小鳥の声とプチプチと木の実を割る音が降ってくる。

じっと目を凝らすと・・・いるいる!イカルだ。
写そうと頑張るが、木々に隠れて結局断念。でも嬉しい気分のまま糺の森へ。

風水によればここが日本屈指のパワー・スポットとか。確かに、こうして背の高い木々の中を歩いていると何だか生き返る。自然に包まれているというこの実感が、やっぱり山オンナには一番効くらしい。

<下鴨神社>

世界遺産の下鴨神社、奥は干支ごとの小さな社がある。しっかりお参りして本日はこれにて終了。一旦宿に戻って夕方出直すことにする。
駅のロッカーから荷物を出して、ホテルへ向かう。14時過ぎに到着、まずはバスタブにお湯を張ってノンビリ浸かり、サッパリした後は目覚ましを4時にセットし、ちょっとお昼寝。

スッキリ目覚めて「夜の部」スタート。京都在住の先輩N氏と5時に待ち合わせのため、バスで河原町へ向かう。
昼には雪も舞う寒い1日だったが、夕方は少し風があるものの青空も覗いている。

さて無事にN氏と合流、初めて歩く先斗町で、表に手ごろなメニューが出ている和食のお店に入る。
事情により今日はY君が不参加で残念だが、とにかくも再会を祝して乾杯。湯葉や豆腐など京都らしい「おばんざい」を楽しむ。

話は自然と介護のことになる。N氏も父親の介護で京都と静岡を月に何度も往復している。楽しい話題にしようと思っても、気がつくとまた同じ話に戻ってしまい、お互いに苦笑い。
有難くご馳走になって、早目に別れ、ホテルの衛星放送で亀治郎を見てから就寝。

2日目につづく



戻る 山一覧へ