漢拏(ハルラ)山と済州(チェジュ)島観光   2009年6月11日〜14日

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 山仲間で韓国(大韓民国)最高峰「漢拏山」に登ろうということになり、済州島(チェジュド:Juju-do)に向かった。個人山行なので、事前に資料を集め、ネットも活用したが、どうしても限界があり、現地でやっと判明したことも多い。
これから個人でハルラ山に登ろうという方の参考になるよう、後から調べたことも含め、少し詳しく紹介します。

*結論*
1.普段山を歩いている人、基礎体力に自信のある人は、完登可能。ただし、決して楽な山ではない。(健脚向き。コースタイムは10時間程度。)

2.登山技術は殆ど不要。コース上に危険箇所が無く、標識が多いので地図無しでも歩ける。(ただし、地図は何としても出発前に入手のこと。)

3.極力早く歩き始めること。しっかりした登山靴で歩くこと。(全行程、木道・溶岩石の上を歩く。足腰への衝撃が非常に大きい。)

4.入山・下山時の交通手段を確保すること。(城板岳コースはバスの利用が可能。観音寺コースはタクシー。)

5.現地の人は殆ど漢字が読めない。バスやタクシー利用時は、ハングルで地名が入った地図や観光名所の写真を示すと確実。


参考サイト:
済州島.COM・・・漢拏山登山コースの概要が分かる。
韓国観光公社(各支部案内あり)・・・資料の請求。漢拏山の登山地図を頼めば、コピーを送付して貰える。
済州特別自治道HP・・・チェジュ島の総合情報サイト。

*基礎データ*
漢拏山 Mt. Halla (ハルラ山)・・・1950m、登山ルートは4本あり、頂上(ただし最高地点ではない)まで行けるのは2本のみ。
・2007年より、入山料は徴収していない。日帰りに限るため、登頂できるコースには各地点で通過時刻の規制あり。HPで要確認。

『城板岳(Seongpanak:ソンパナク)登山路』
・登山口の標高750m、山頂まで 9.6km、登りのコースタイム4:30、下り3:30
・ほぼ全員がこのコースを登る。比較的平坦。
・平日でも人が多く、現地の人はここを往復する。
・有人の待避所あり。水場も複数。

『観音寺(Gwaneusa:カヌンサ)登山路』
・登山口の標高620m、山頂まで 8.7km、登りのコースタイム5:00、下り4:20
・登りに使う人は殆どいない。下山路として使う場合が殆ど。静か。
  (*但し、平日のせいか、ほぼ全て男性の単独行。有人の待避所もないので、女性1〜2人だとちょっと不安かも。)
・最後は急登で、竜鎮閣待避所へ至る沢には、現在立派な橋を建設中。
・変化に富むが、急速に登山道の整備が進んでおり、かなりの部分は実は木道と木の階段になっている。
・水場は1箇所、無人の待避所が2箇所(+現在「竜鎮閣待避所」は修復中)。

『オリモク登山路』と『霊室登山路』は山頂まで行けない。登山口の標高が高く、コースタイムが短い。

『交通機関』
・城板岳登山口までのバス・・・運賃先払い。帰路に利用したが、終点のバスターミナル(旧済州市街)まで1500ウォン(一律運賃?)
・タクシー・・・メーター制で、交渉する。

★コース上の標識は、ハングルと英語のみ。★
韓国特有の英語表記には注意。

結論から言うと、語幹の<G,B,J>は発音ではそれぞれ<K,P,Ch>に相当するらしい。それを踏まえてローマ字読みすると、大体現地の人の発音に近づくようだ。「済州」=(Jeju)→チェジュ、のように。
コース上の地名:
観音寺(Gwaneusa)→ヌンサ、Grin Cave(リン洞穴)、蟻項(Gaemimok)→ミモク、白鹿潭(Baengnokdam)→ンロクタム[Pen~]

*山行記録*

<観音寺登山口>5:25〜7:05<耽羅渓谷待避所>7:10〜8:55<標高1400m>〜9:12<三角峰待避所>9:25〜10:30<1700m>〜(大休止20分)〜11:35<山頂>12:15〜12:44<1800m>〜13:40<ツツジ待避所>14:00〜14:44<水場>14:50〜15:11<「空地」?>〜16:30<城板岳登山口>

ハルラ山の記録を見ると、ほぼ例外なく城板岳コースから登っている。観光局から送ってもらった登山地図を見ると、なるほど観音寺コースは厳しそうだ(標高差 約1300m)。
が、登山では急峻なコースを登りに、緩やかな方を下山に使うのが「定石」なので、3人の意見が一致し、観音寺コースから登ることにする。この時期なら、時間制限があっても朝早く出て、ゆっくり登れば充分間に合うはずだ。

前日にEマートで買い込んだ水や食糧を(普段なら絶対あり得ないが)簡単なナップサックに詰め込み、極力荷物を軽くして歩くことにする。
ただし、コースタイムが長いので、暑さを見込んで各自最低1Lは水を持つ。お昼と水分で、それなりの重さはあるが、まるで「小学生の高尾山遠足」といった軽さだ。

コースタイムが5時間なので、ゆっくり歩けるよう早朝5:00にタクシーを予約済み。(旅行会社の現地係員の話では3万ウォンといわれたが、相場の2倍なので断り、ホテルのフロントを通してメーター制で予約。メーター制+5000ウォンで手を打つ。)

朝4:15起床。昨日も始発列車を乗り継いで成田入りしたので、2日連続の早起きは少々辛い。
部屋でパンや海苔巻きを食べ、久しぶりにアミノバイタルも飲んで準備完了。

ホテルの玄関に下りていくと、日の出が遅いらしく、まだあたりは少し暗い。予約のタクシーを呼んでもらい、観音寺登山口に向かう。
まだヘッドライトをつけて走っている。・・・20分ほどで順調に登山口に到着、15,000ウォンを払って降り、キャンプ場もある広い駐車場から案内所に向かう。


観音寺登山口

情報では5:00から開いているはずなのに、案内所の入口には鍵がかかっているではないか。
ここで入山料を払う代わりに地図を貰うつもりだったので慌てるが、入口にゲートがあるわけでもなく、登山口の案内図を確認する。
(*実際には入山料の徴収は廃止され、地図の配布は30人に1枚の割だと後で知る。)

日本から持ってきたコピーの地図が唯一の頼りとなってしまった。

さて、ここから約1.5km先のGrin Cave(クリン洞穴)までは自然観察路になっており、動植物の案内図などがある、と書いてある。しばらくは溶岩流の渓谷に沿って歩くようだ。
5:25、出発。まだ眠りから覚めぬ森に、私たちだけが入っていく。

静かな森の中は遊歩道のようによく整備され、現在地が確認できるよう標識がある。溶岩流跡の沢を渡るが涸れ沢のようだ。
ヤマボウシが白い花をつけている。体温調節を兼ねてここで10分休憩。(6:00〜6:10)
ようやく明るくなりはじめるが、私たちが一番乗りのようだ。鳥の声が響いてくる。本当に静かな森だ。

クリン洞穴  炭焼き場跡

また歩き始めるとすぐに洞穴があり、これがこの自然観察路の終点に当たるクリン洞穴(Grin Cave)のようだ。(6:11)

自然観察路に別れを告げ、少し山道らしくなるのだろうか。1.9km地点の標識を通過し(6:23)今度は炭焼き場跡が現れる(6:40)。
ここは標高780m、登山口から2.5kmとある。

森の中は相変わらず静かで涼しいのが何よりだ。カッコウ、ウグイス、ツツドリ、もしかしたらサンコウチョウ?!の鳴き声にキツツキのドラミングの音がする。
時折、鳥たちの姿を林の中に見かける。本当に自然の豊かな森だ。

そろそろ後ろから単独行の男性登山者に抜かれるようになる。

しばらく行くと、階段の上にベンチのあるちょっとした広場があり、折角なのでまた休んでいく(6:50〜7:00)。
後ろから男性が登ってきたが、登山という格好ではない。すぐ後から娘と奥さんらしき人が追いついて、やはりここで休憩。
ハングルを習っているMさんが少し挨拶し、こちらが日本人と分かると一層にこやかになり、片言の日本語を話してくれるのはとても嬉しい。

彼らはここから戻っていった。ハイキングだったようだ。


ちょっと一休み                   耽羅渓谷待避所                カンアオイ

デッキを進んで階段を登ると、僅かで耽羅渓谷待避所(Tamna Valley)に出た(7:08〜10)。トイレもあり、先行者が休んでいる。

ここは登山口から3.2km地点にあり、地図上の重要ポイントだ。地図ではここまで1時間のコースタイムになっている。
私たちはゆっくり歩き、休憩ばかりしているので1:40かかっているが、これは織り込み済み。焦らず、長丁場を乗り切れればそれでいいのだから。

目に付くのは、沢山のカンアオイやウスバサイシンのような地味な花が多い。

さて、地図上の次のポイントは、マークはあるが地点名はなく、区間所要時間は1:30となっている。
登山口から4.1kmあたりになるという、赤松地帯に入ってくると、様子が一変する。ガスがかかっているので展望はないが、涼しく、ひょっとして秋にはマツタケでも?!と期待してしまう(が、後で聞くとチェジュにはマツタケは生えないそうな。)

100mごとに標高を表す石があるが、1200mを越えるあたりから、ようやく花が目に付くようになる。
小さいスミレやマイヅルソウ,紫のスミレもある。

もう3時間も歩いているのだが、まだまだ序の口という感じだろうか。少しは山道らしくなったものの、余りも整備された道なので何となく軽井沢でもハイキングしているような感覚だ。

ピンクのタニウツギやノイバラ、また別の白いスミレが時折目に付くようになって、ようやくガスの先に尖った三角峰が飛び込んできた。もう少しで避難小屋のはず!

標高1500m地点を越えて、まっすぐに伸びた木道の先に現れたのは、ネットで見た「竜鎮閣待避所」のようだ。思わず駆け出したくなる。只今の時刻9:12、目の前の三角峰が素晴らしい。

★待避所(三角峰前にある)

大休止を兼ねて、立派な円形の建物の中に入ってみる。がら〜んとしている。建物を出て後ろにはまたトイレがある。先行者か、男性が1〜2人休んでいるが、外は少し風が強い。

★後で判明したのだが、この円形の建物は「竜鎮閣待避所」ではなかった。この沢の対岸が竜鎮閣待避所で、台風で被害を受けて閉鎖(改修?)中。
この待避所は手元の資料のいずれも記載がないが、標識の英語を良く見れば、最初からSamgakbong Shelter=「三角峰待避所」となっていた・・・。
上の地図の、緑の●の位置にこのSamgakbong Shelter「三角峰待避所」がある。

なお、「三角峰待避所」→10分→水場(=沢)という位置関係。

左手の谷の向こうにはまさにその名の通りに王冠陵(Crown rock)が聳えている。ここまで来れば、後90分で山頂に着けるはず!長い登路もあと一息だ。

そういえば、地図にGaemimok(ケミモク)という印があり、多分独特な地形なのだろうが、何を指すのか分からぬまま通過してしまった。

さあ、急登は残っているが、先は見えた、と思って進むと木にぽってりとした大きな白い花が咲いている。オオヤマレンゲだ!見事な花が芳香を放ち、至近距離で迎えてくれるではないか。思わず撮影タイム。


 オオヤマレンゲ                    ナツトウダイ             クサタチバナ

思いがけない豪華な花に気をよくして歩き出すと、すぐに断崖をへつるようなコース(整備され危険は無い)になり、カラマツソウやクリンユキフデ、ナツトウダイなど見慣れた花が咲いている。

ほんの少しだけ足場が悪い箇所をゆっくり降りると、そこに仮設の橋があり、渓谷では立派な橋の建設中だった。

ここで沢に出て、渡ると一気の急登が待っているが、左手に小さな小屋と、トイレがあるがロープで規制され、入れない。(これが地図にある「竜鎮閣待避所」)

橋の工事中(沢を渡って振り返る)

立派な橋が完成すれば、増水時にも安全に通過できるだろう。

ここからいきなりの急登となり、石は階段状に組まれ、足を上げるのが大変。しかし、すぐに多数の作業員が登山道の整備に当たっており、鉄骨を組んだ足場の上に枕木のような溝のついた木を渡して、歩きやすい木道に改修している。これが無ければ確かに道はどんどん荒れてしまうだろうが、ある意味で味気なさは残る。

急登が続く登山道の整備中

どんどん高度を上げながら、厳しい登りが続く。一時は雷か、と心配した空も今は晴れ渡り、日差しが眩しい。これは最後の胸突き八丁か、と休み休み登っていくが、確かにぐんぐん高度を上げ、竜鎮閣が遥か眼下に見える。
樹林帯を抜けたせいか、ようやく涼しい風も吹き、ああ山に登っているなあという実感がわいてくる。昼に近づき、汗を大分かいている。


カッコウの声やウグイスの声に励まされ、また登っていくと、開けた場所に出る。かなり風が強いが目の前がぱ〜っと開けて、木道が続いている。
見渡すと、木道を下りて草地の中で韓国の親子がお弁当を広げている。あらまあ、と眉をひそめつつ、足元を見ると、ピンクの花が!
コザクラ? ユキワリソウ?(*ユキワリコザクラらしい)だ。色が濃くて花つきも良い。
予想だにしなかった花が私たちを待っているではないか。花はツツジしかないのかと思っていたので、嬉しい驚きだ。
このあたりから、城板岳コースから縦走してきた団体やハイカーが急に目立つようになり、雰囲気が変ってくる。
すぐに1700m地点を通過し、また急登が続く。樹林帯の中に入って涼しいが、厳しい登りを頑張っていると・・・。

見事な紫のエゾオオサクラソウ!登山道の両脇堂々と咲いている。よく見ればあっちにもこっちにも・・・。

もう山頂はすぐだろうし、急ぐ必要も無い。ハルラ山の自然がくれた素晴らしい贈り物を堪能する。大休止を兼ねて20分も眺めてしまう。
さあ、元気百倍、一気に山頂を目指してまた歩き出す。上から日本人の団体が降りてくる。聞けば、上にも沢山花があるという。

11:00になり、いよいよ1800m地点を過ぎると山頂の火口壁らしきものが見えてくる。階段は続くがもう少しだ。山頂に近づいて、コースは左へ巻いていくが、このあたりはもうかなり人が多くなってくる。
見れば、溶岩の岩肌の合間に沢山のユキワリコザクラが咲いている。道はほぼ水平になり、韓国の女性グループも降りてくる。
みんな体にフィットしたジップアップのシャツを着て、それがまた鮮やかな色のものばかり。サンバイザーの人も多い。
声が大きくて元気一杯。

火口に沿って回っていくと、白いリンドウが大きめの花を開いている。また、白いスミレが美しい。山頂付近は見事なお花畑!

さあ、ようやく山頂へ。11:35、大休止が多かった割にはまあまあのコースタイムか。(6時間10分かかったが、うち休憩が70分・・・。)

山頂は平日だというのに人々で一杯。しかも、若い人も多い。思い思いに記念撮影をしたり、座ってお昼を食べている。
頑張った甲斐もあり、お花にも天気にも恵まれ、充実感で一杯。まずは、私たちも記念撮影。


<山頂にはデッキがあり、みんな腰掛けている。/ 山頂の火口湖「白鹿潭」の水は僅か。>

観音寺コースには登山口の(5-1)〜山頂の(5-34)まで、数字と非常連絡用電話番号が入った杭が打ってあり、現在地は常に把握できるのは良い工夫だろう。
5は観音寺を指す番号らしい。城板岳コースは4(山頂が4-36)になっている。

見晴らしのよい山頂で、昨日スーパーで買ったパンや果物を食べる。部屋にポットがなく、熱いコーヒーが飲めないのはちょっと残念だが、遥々韓国は済州島までやってきて、ハルラ山に登れたことを天に感謝する。そして、それは頼れる仲間がいればこそ!

大展望の開ける城板岳コース

溶岩でゴツゴツした山頂の岩場を歩いて、立ち入り禁止の向こう側を覗いてみる。火口壁を回りこんで進む踏み跡がある。
柵の手前には小さな小屋があり、怖そうな監視員がいて見張っている。恐らく、制限時間が来ると、山頂のハイカーを強制的に下山させるためだろう。

大半の人が登ってくるこの城板岳コースは確かに見晴らし抜群だ。5月にはツツジでピンクに染まるらしいが、よく見ると少しまだ残っている。
しかし、何より目に付いたのはキスミレ。そして、ミニミニサイズのアヤメ。これは日本にもあるエヒメアヤメ(愛媛菖蒲)のようだ。

整備された木道を下りながら、至仏山から山ノ鼻への下りみたいだなと思った。沢山の人が汗を拭きつつ、喘ぎながら最後の階段を登ってくる。日差しが厳しく、これはバテそうなコースだ。
くだりと行ってもどんどん人が登ってきて、すれ違いもあるし、また足元が岩になってくると衝撃が直に足腰に響く。これは後から効きそうだ・・・。

まだエゾオオサクラソウが見られて嬉しい。
一気に下るが、足元に神経を集中させないと転びそうだ。危険箇所というものは一切ないし、ロープが張られて迷う心配もないが、誰も地図を持たず、下手をすると水さえ持たずに手ぶらで登ってくるのには驚かされる。

この下のチンダルレ(ツツジ)待避所(Jindallaebat Shelter)は有人で、カップラーメンなどを売っているというので、食料も持たないのだろうか。

ようやく眼下に屋根が見える。あれがツツジ待避所のようだ。太陽電池の大きなパネルが見える。下から来る人は、ここを13:00までに通過しないと、山頂には進めない。そういえば、もう上がってくる人に出会わないのは、この規制のせいだろう。現在の時刻、13:40。


<チンダルレ待避所。  13時以降は登れません、とルート上に看板が出ている。英語の看板もあり。>

待避所に立ち寄ると、売店にはいろいろなものを売っている。中のベンチで長々と寝そべっている人が沢山いる。皆さんお疲れのようで・・・。

たくさんある簡易トイレに寄ってから、暑さの中、また降りていく。もう時計は2時だ。
ピンクのタニウツギが沢山咲いている。でも、まだ先は長いなあ・・・。

時々ヤマボウシなどの木の花が綺麗だ。家族連れのようなグループや、若者が走るように降りてくるが、携帯片手にしゃべりながら降りていく人を散見する。こんな山の中で通じるのも不思議だが、何より街中のように話しながら降りていく姿には違和感を感じる。

道は広く、何だか公園の中でも歩いているようだ。こうなると、何だか眠くなってくる。3人でおしゃべりしながら歩いているが、足元の砂交じりの石が曲者だ。

地図上の次のポイントは40分後のサラ待避所(Sara shelter)となっている。建物を探しながら歩くが、先に泉に出た。(14:44〜50)

日本と同じような水場で、ベンチもあるので喜んで休んでいく。ひしゃくが置いてあって、若い子たちも水分を補給している。
しかし、この水場は地図のどこ?・・・水場といったら紗羅(サラ)待避所のはずだが、建物は・・・?

地図に無い水場にしては立派だあなあ、といぶかしみながらさらに降りていくと、立派な丸い建物が現れる。簡易トイレや水飲み場もあるようだ。
ここが紗羅(サラ)待避所なら、また地図と位置関係が逆転している、と思う。
(*どうやら、紗羅待避所は私たちが見落としたか、今は無いのか、これは時間と距離から見て、次のポイントである「空地」に小屋が建ったものではないだろうか・・・。

丸い建物が好きだなあ、と思いつつも、先が長いので通過する。時刻はもう15:11、流石に疲れてきた。

単調な下りに飽きてきたが、もう少し頑張らねば・・・。あたりは針葉の樹林に変り、なだらかになってきた。

Mさん曰く、「(白馬)乗鞍岳から栂池に降りる道みたいね。もういやになっちゃうわね!」・・・同感。ホントに長い。こんなに荷物が軽いのに、延々と林道を歩いている気分だ。

文句を言いながらも、とにかく足を前に出せば、必ず登山口に至るはず、と少し無口になりながらも歩き続ける。
「比較的」なだらかで歩きやすいと言われるこのコースだが、クッションがない石の上を延々と歩きながら降りてくるのは、日本の山道と比べて負担が非常に大きく、また足元を気にして思うようにはスピードアップできない。

その意味でも思いのほか下山路としても厳しく、もしもまた来るとしたら、きつくても観音寺を往復するほうがいいか、やはり城板岳コースを登って観音寺へ降りる方が楽か、考え込んでしまう。
いずれにせよ、決して楽なコースではない。久しぶりの長丁場、足腰が悲鳴をあげている。

そうこうするうちに、ようやく車の音などが聞こえ始め、登山口に出た。時計はもう16:30。行動時間は11時間に及ぶ。


朝と違って本当に人が多くて賑やかだ。案内所の前を歩いていくと、「お疲れ様でした!」の声が。びっくりして振り向くと、窓口から若いお兄さんが顔を出している。何と日本語観光通訳案内士の金明三(キム・ミョウサム)さんだった。

沢山のハイカーが降りてくる中から、どう私たちを探し当てたのか、嬉しそうに建物から出てきてくれる。

私たちも思いがけず日本語で声を掛けられて嬉しい。
彼の流暢な日本語で、隣の建物の中で写真の説明を受け、地図上の疑問を解いたりする。さらには豊富な植物の知識を披露してくれ、もしやと思った葉が、やはりミスミソウだったり、ウスユキソウも咲くなどと花の情報を得る。

彼はガイドもしているそうで、城板岳コースの登山口案内所に問い合わせれば、連絡が取れるだろう。なかなかの好青年で、登頂の達成感と共に、爽やかな気分も味わうことが出来た。

バスは12分ごとに来るという。前払いの1500ウォンを払い、とにかくバスに乗りこんで旧済州市街へと向かう。

途中で沢山の大学生を載せて、30分ほどで旧市街のバスターミナルに着いた。さて、ホテルまでどう帰ろうかと地図を見ていると、親切に声を掛けてくれた男性が、タクシーまで同行し、行き先を韓国語で伝えてくれた。

地元の人が本当に親切で、有難かった。

今日もまたEマートで買出し。疲れた体を引きずって、焼肉屋さんを探し、乾杯!

総括:山頂を12:15に出て、16:30到着、行動時間は4:15だが、うち休憩は35分。歩行時間が3:40になる。
歩行時間の合計が9:40、ほぼコースタイムか。でも、下りも意外と歩きにくく、結局どこをどう歩いても休憩時間は必要だし、大幅な時間短縮は無理だろう。

日の長い時期に、早く出てゆっくり写真でも撮りながら歩くのがやはり正解だろう。

観光編につづく*


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