鉾ヶ岳   2004年8月1日

コース:吹原登山口往復
登山口5:20〜5:45水場5:50〜6:50稜線〜7:20ロープ場〜7:45はしご〜1127m地点8:00〜8:10炭焼跡〜8:50山頂9:25〜11:50登山口


翌日に登るにある鉾ガ岳(ほこがたけ、新潟県糸魚川市)1316mには5つのルートがある。
山の東側(能生(のう)町側)から登る3ルートは
棚口(ませぐち)ルート(4,045m):柵口集落〜権現岳〜鉾ヶ岳、登り4時間20分・下り3時間10分
これがメインであり、他に
島道ルート(3,910m):島道鉱泉〜鉾ヶ岳、登り3時間10分・下り2時間10分
溝尾ルート(3,150m):溝尾集落〜鉾ヶ岳、登り3時間20分・下り2時間10分
がある。
山の西側からは2コースある。
吹原コース:登り3:00、下り2:00
大平コース:登り3:10、下り2:00
今回はこの吹原コースからの往復となった。ネットで調べてもこのルートを歩いた記録は1件のみ。ガイドブックも平成10年の山開きに歩いた新ハイの記録のみだそうだ。

糸魚川市のHPから資料請求ができ、無料で送ってくれたのは有難かった。雨飾山も鉾ガ岳も載っている1/5万地図に基づく「登山ガイド」に、この吹原コースが載っている。
しかし、流石に細かいことが分からない。登山ルートは、黒尾の峰と鉾ヶ岳を結ぶ稜線に出るまではほぼ一直線、あとは稜線を辿っている程度しか分からないのは少し困る。多分、登山口を探すのも一苦労だろう。

早川を上流へ向かって進み、左手に上早川郵便局を過ぎてすぐ、道路が登りにかかる上早川小学校の手前で狭いV字を左に下りていくが、その地点に木の柱に「鉾ヶ岳登山口」と彫った標識が立っている。

いくつかの分岐を経るが最初は小さいがはっきりとした文字で「鉾ヶ岳→」といった小さい標識が低い位置にある。次に迷う分岐では、直進か左折が迷うがまっすぐ行く。その次は左に入って鉾ヶ岳に向かって高度を上げる道を行く。(詳細は現地に問い合わせて下さい。)

この道はマイクロバスがやっと通れる幅で、しかも両側の草が伸びて側溝を隠しているので少し怖い。
目標は巨大な雪崩防護柵である。これが見える方向なら間違っていない。「30台停められる駐車場」となっているが、要するにその程度開けた野原がある、ということだ。

さて、4:45に宿を出て、マイクロバスにて登山口に向かう。聞きしに勝る雪崩防護柵の大きさに驚く。雪崩の莫大なエネルギーがひしひしと感じられる。
5:20出発。防護柵の一角に登山口の標識があり、「頂上まで3:30」と書いてある。
登山道の両脇は草が高く伸び、殆ど人が入っていないようだ。


登山口の巨大雪崩防護柵

しかし、手入れはしっかりしてある。のっけから急登。生い茂った蕨の間を登っていく。風がなく、暑い。何だか蛇でも熊でも出そうな雰囲気。
20分余で水場。ここでMさんリタイア。・・・水はちょろちょろ。でも冷たくて美味しい。40人が順番に水汲みをするので時間がかかる。
なぜかここには「頂上まで2:30、登山口まで15分」とある。計算が合わない・・・。


水場

ここから更に急登。とにかく直登という感じの道だ。昼なお暗い感じで花も余りない。春の花は終わってしまったが、オオイワカガミの葉が目立つ。あとはショウジョウバカマ、ツバメオモトなどの葉が残っている。

サブを務めるIさんが体調不良のため早々と下山。健脚のSさんもこの急登は辛いらしく、かなりゆっくり登ってくる。IさんからSさんにトランシーバーが渡るが、相変わらず音声は途切れ途切れなので、ちょっと見せてもらうと、黄色のランプが点滅中。これは電池切れのようだ。
そこで、リーダーに電池交換を頼もうと思って歩き始めたとたんに、ゴチン!・・・頭を強打。太い枝が出ていたのだった。「痛っ!」・・・思わずその場にへたり込む。
さっき「頭注意〜!」と復唱したばかりだったのに。トランシーバーに気を取られ、すっかり忘れていた。
追い討ちをかけるようにSさん曰く、「僕、トランシーバー嫌いなんだよね。これ持ってるとロクなこと無いんだもん。」・・・同感?!
結局電池を交換してもらって、トライシーバーは私が持つことに。

蒸し暑い中、黙々と急登を登っていく。視界が開けずちょっと単調だ。早く稜線に出ないかな、とそればっかり考えてひたすら登る。
時々ソバナの紫が目を楽しませる。あとは地味なオクモミジハグマなど。・・・しかし汗は噴き出してくる。

6:50、ようやく稜線に出る。といっても相変わらず樹林の中。背後に黒尾ノ峰が三角形に尖っているのが見える。しばしの間、道はなだらかになり、休憩にはもってこい。

暫く行くと渋滞が始まる。すかさずIリーダーから連絡。先頭はロープ場に着いたようだ。
何せ38名の大所帯、最後尾はずっと待たされる。記録によると山頂まで13本のロープがあるというが、最初のロープは無くても困らない箇所にかかっている。2本目はトラバース気味の斜面に、落下防止のために張ってある。が、だんだん手がかりの少ない箇所や、急斜面も出てきて、補助的に使う場面も出始める。


ロープ場

登りなら、なくても何とか大丈夫かもしれないが、ここを下るには絶対に必要だろう、という感じだ。
とはいえ、特別に危険箇所が連続するという感じでもなく、慎重に足を運べば大丈夫。こういう箇所は他の低山でもよくあるケースだろう。
今年新しくはしごをかけたという箇所に来る。ここは、はしごの最下段に足が届くまでは最初はロープに頼って登るしかない。


はしご場

上りきると左右にロープがあるが、左を掴むのが正解。
とにかく、難所を沢山過ぎれば過ぎるほど、先頭と最後尾の間はどんどん空いていく。これは仕方ないことだ。
はしごを上ったら山頂は近いのかなと思ったら、これは甘かった。地形図の1127m地点を過ぎて、しばらくは平坦な道が続き、突然目の前が開けて鉾ヶ岳が姿を現す地点に「炭焼跡  山頂まで40分、早川山の会」の標識がある。

もう2,3回ロープ場を過ぎるとようやく「山頂10分←→登山口1時間50分」の標識柱がある。目の前にこんもりした山頂が見える。とうに着いた先頭から相当遅れて、ようやく鉾ヶ岳山頂へ。8:50になっていた。展望はよいが、とにかく暑い・・・。


雨飾山を望む

画面中央部の小さな小さな富士山形のピーク(少し雲がかかっている)が昨日登った雨飾山になる。この暑さと照り返しでぐったりだ。みんな傘をさして日よけにしている。登ってくる人もおらず、貸切状態である。


山頂

いまだに噴火のため登山禁止の焼岳や、火打山などがよく見える。


山頂からの眺め

山頂には三角点もあり、避難小屋も立っている。

山頂の三角点

休憩を終えてまた往路を下ることになる。今度はさっきよりずっと注意しなければ、と思う。急登に喘いでいたときは余り気づかなかったが、山葡萄に覆い尽くされんばかりの斜面や、見事な蕨畑?など山の豊かさを感じさせる山だ。(採取は禁止!)

今日初めて他の登山者とすれ違う。地元の方で、我々が東京から来たというと、驚いていた。帰りに温泉に入るのかと聞くので、入らずに帰る、と言うと、地元にいい温泉があるのに、と言う。
昨日小谷で温泉に入ったというと、小谷よりずっといい温泉だ、と言う。

時間的に入る余裕が無いので仕方ないが、またこちら方面には来るので、機会はあるかもしれない・・・。

さて、下りは滑るし落ちたら大変、と思うとついつい足運びは慎重になる。しかも、最後尾なので先頭との距離は離れるばかり。難所を過ぎると、前との間を詰めるべくみんなが走っていく。
私は走らないし、危ない所は慎重の上にも慎重に、と決めているので、難所を全て降りたときには、相当な距離が開いてしまった。
トランシーバーで「誰か遅れていますか?先頭に来るように言ってください。」との指示がきたが、遅れているのは何を隠そうこの私。そう言うとリーダーは笑って「あわてずに来て下さい。」

・・・しかし、ようやく休憩地点に辿り付いた時には、みんなは恐らく15分以上待っていたのではないかと思う。(ごめんなさい。)

休憩場所は、稜線を離れる直前の地点だったので、この先は急とはいえ危険は少ない。体も楽なのでようやくほっと出来る。
でも今日は今ひとつ足元が不安定だ。靴のせいだろうか。石車に乗ってヒヤッとする場面が数度。それでも再び水場に戻るまで転ばずには済んだ。水場は往路とは打って変わって水量も多く、冷たくて美味しい。お土産代わりに汲んでいく。
後で聞くと、先に降りたサブのIさんが水場の手入れをしてくれたそうだ。水場からは樹間に雪崩防護柵の巨大な姿が見える。あと一息で登山口だ。それにしても蒸し暑さは変らない。風が欲しい・・・。

もうすぐ登山口かなという頃、先頭がもう着いたと連絡が入る。先に降りたIさんがいつものコーヒーを入れて待っていてくれるはず。「Iさんに、コーヒーを取っておいてと頼んでください」と伝言する。
チラッとコーヒーのことを思い浮かべたとたんに、ズルっと尻餅。Yさんが笑いながら手を引っ張ってくれた。
平らな所で転んでしまったが、枝で頭を打ったのに比べれば何でもない。笑いながら降りていくと防護柵の両側で男性陣が休憩していた。
「はい、お疲れさん。」・・・熱いコーヒーを貰って飲みながらバスに向かう。11:50、下山完了。登り応えのある山だった。

登山道はよく手入れされているものの、入る人が非常に稀?のようなので草がすぐに生い茂って分かりにくくなる箇所があるかもしれない。入山に際しては関係機関にしっかり問い合わせる必要がある。


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