雨飾山・鉾ガ岳   2004年7月30日夜〜8月1日

コース:雨飾山  <小谷温泉口往復>
5:25登山口〜(4/11地点)6:25〜7:10荒菅沢7:20〜8:30岩場〜渋滞〜9:00笹平〜9:40山頂10: 00〜11:55荒菅沢〜13:30下山
鉾ガ岳  吹原登山口往復


今回は百名山の雨飾山。夜行で行き、翌日は鉾ヶ岳にも登る、夜行1泊の遠征である。さすがに百名山とあって参加者も40名、マイクロ2台となった。
当初は雨飾山荘側からの予定が諸事情により小谷温泉側からに変る。宿の関係もあるが、荒菅沢の残雪がルート上全くないということもあったそうだ。(通常はかなりの雪がスノーブリッジとなって、崩壊の危険が大きいため、避けるのが賢明。)

かなり早く雨飾キャンプ場まで入ったが、しばし仮眠タイム。5時には出発、の予定が何と全員がやや寝過ごしてしまった(日の出が遅くなっているので)。早朝の空は綺麗だ。


朝の雲

広い駐車場にはトイレなど施設も整っているが、この時間で既にかなりの車(20台位?)が停まっているのには驚く。流石に百名山だ。
40人の列は長い。今日のサブは個人山行でもお世話になるIさん。いつも山頂でコーヒーを沸かして振舞ってくれる。それからご常連のSさん。気心のしれたメンバーと一緒に登る山は心強い。

さて、5:25出発。今日はどんな花に会えるだろうか。
最初は湿原というか小川沿いに木道を歩く。シシウドなど背が高い植物が生い茂って、道がくねるとすぐに視界を遮ってしまう。平坦な道を暫く行くと20分程で最初の標識が出てくる。
「2/11、800m」(山頂までの4400mを11等分して400mごとに1/11等の標識があるそうだ。)という木柱と、 「荒菅沢へ60分、雨飾山頂へ150分、登山道口へ30分、小谷温泉へ90分」と書かれた木柱が並んで立っている。


2/11の標識


ここからいよいよ山道へ入るのだが、なかなかの急登が続く。

登山口から1時間で「荒菅沢へ30分」地点に来る。ブナ林の緑が嬉しい。花はお馴染みのものばかり。
急登が少し緩んで更にしばし平坦な道を行くようになると、急に沢へ向けて降下し始める。
「4/11」地点の標識の「1600m」を見て、思わず標高かと思って高度計を修正してしまったが、地図を見ると一致しない。何だか変だ、変だ、とよく考えたら、これは登山口からの距離のことだった。数字がちょっと、紛らわしい。

さて、このあたりでようやく雨飾山が姿を表す。雪に削られたのか、岩肌が磨かれて荒々しい。


笹の根が張っていたりして足元が少し不安定な上、急下降するのであたりを見回す余裕が無いが、左右にたくさん蕾をつけているのは何とジャコウソウだという。こんなに沢山あるとは。(沢を渡った先にも沢山あった。)


ジャコウソウの花

これから咲きそろったらさぞ見事でしかも芳香がするに違いない。
傾斜がゆるくなって視界がぐっと開けるとそこが荒菅沢。みんなが思い思いに休憩している。
ネットで調べたときには、8月半ばでもこの沢にかなりの残雪があり、見るからに危険そうだったので、もしかして軽アイゼンでも要るのかと思ったが、今年は暑いからか、残雪は渡渉地点よりはかなり上流に見えた。


荒菅沢上部を望む
    
荒菅沢を渡る

このあたりは花が沢山ある。久しぶりにツルニンジン(ジイソブ)や、沢山のオオバミゾホウズキを見た。

ツルニンジン

    
オオバミゾホウズキ

冷たい沢の水にほっと一息。ここから見上げると雨飾山は随分険しい山のように見える。
休憩もそこそこに、また登り返すがこれがまた大変な急登だ。ロープのある箇所もあり、滑ることもあってすぐに息も弾んでしまう。なかなかキツイ山である。でも、ジャコウソウがまた少し咲いていて、花に励まされる。夜行明けには厳しい登りだ。

遠い台風の余波か、上空では雲があっと今に流されていく。地図上では稜線に大分近づいているはずなのに、急登続きのせいか、とても遠く感じられる。


急登を行く

急登は続くよ、どこまでも。岩場は案外手がかりが多くて怖くはないが、何と一気に強風にさらされることになる。だんだん登山者も多くなり、追い抜きやすれ違いには一苦労である。


岩場も急登
    
滑るためロープあり

それにしても物凄い風だ。尾根幅が狭くなると風に煽られて足を踏み外すのが怖い。風に抵抗するために、体力も要る。
狭く急な尾根のすれ違いに40人は多すぎる。間にどんどん他の登山者が入るが、それも仕方ない。
猛烈な風に不安を強めていると、早くも降りてきた人たちがいる。
「風が物凄いから、山頂は諦めた。」と言う。う〜ん、私たちはいけるのだろうか・・・。

時々目の前に花がこんにちは〜と顔を出している。コキンレイカ(ハクサンオミナエシ)はいつ見てもかわいい。ヨツバヒヨドリも花がもうすぐ咲くだろう。
岩場の最上部あたりになるともう風が凄くて花を探す余裕も無い。笹平から山頂方面が良く見えるが、確かに吹きさらしになると、歩行は困難かもしれない。
折角来たのに、撤退かなあ・・・と思うが、とにかく列は進んでいく。下りもいやらしい場所だが、とにかくリーダーについて行くしかないだろう。

強風と、渋滞とで時間はどんどん過ぎていく。ようやく9時過ぎに稜線に出て、笹平を望む。なるほど、景色は一変し、穏やかな山稜は笹に覆われ、道が一本延びている。


笹平の展望

笹平に入ると、笹の背丈がかなり高く、その分風も遮られ、何とか歩けそうだ。それに、何よりお花畑だ!
オトギリソウやシャジン、秋の花トリカブトも。しかし、写真を撮るには風が邪魔だ。


シャジンの花

笹に守られて山頂を目指す。よく見ると山頂に立っている人影も見える。これなら何とか登頂できそうだ。


笹平を行く

さっき渡った荒菅沢のちょうど上部をトラバースする。風もあり、ちょっと怖いが、素晴らしい光景だ。


眼下に広がる荒菅沢

平坦でも石車に乗って滑ったら、沢へ転落である。くわばら、くわばら。

最後に斜面を登るが、吹き上げてくる強風で動けない時もある。足元が滑るので余計に怖い。慎重に、慎重に。
それでも何とか山頂に。9:40になっていた。
山頂には沢山の先客がいる。山頂は小さな双耳峰になっており、360度のその展望は最高だ。
でも立っていると本当に飛ばされそうだ。誰かが帽子を飛ばされている。


双耳峰の山頂

山頂で小休止。みんなで写真を撮る。久しぶりに私も写真を撮ってもらう。
一服していると、更にどんどん登ってくる。ツアー客がいくつも来ているようだ。「○○のお客様〜、降りますよ〜!」と叫んでいる。

十分休憩後は、下山開始。下りの岩場でこの風、どうしよう・・・。
ストックをつく手に力が入る。余りの風にしばし"耐風姿勢"。・・・なかなか前に進めない。
それでも何とか笹平は通り抜け、難所の岩場を下り始める。下からどんどん登山者が押し寄せ、狭い岩場は大変な混雑だ。

背後でズルっという音とともに「痛い!」の声。「何やってんだ!」の怒声はIさんだ。
後ろにいた軽装の老夫婦の夫が、渋滞を抜けようとルート以外の場所を通ろうとして滑り、Iさんの腕の上に落ちてきたらしい。
落石も怖いが人が落ちてくるのはたまらない。Iさんが怒鳴るのも無理は無い。百名山で繰り返される光景でもある。

砂埃で顔はじゃりじゃり。・・・ようやく岩場を終え、樹林に入ると荒菅沢・・・と思いきや、水音が聞こえてくるまでには随分あった。ロープがあって、滑る足元。そうそう、一番の急斜面だったっけ。
なかなか気の抜けないコースである。
それでも沢に出るとほっとする。花も多いし、水の冷たさが嬉しい。手ぬぐいを濡らして首に巻く。あ〜幸せ。

さっきまでの強風が嘘のように照り付ける太陽にジリジリと焼かれるようだ。蒸し暑い。
沢からの登り返しが辛いが、何とか上りきって、あとは少しだけ楽な道となる。
危険箇所を過ぎてしまえば、あの強風も何のその、登頂の喜びが沸いてくる。余裕も出て、花は?と探しながら歩いていく。

とうとう木道まで来ると、皆の足取りは更に軽い。私はここぞとばかり植物採集(といってもカメラで。)
アカバナやここにもジャコウソウが咲いている。あとで図鑑で調べようという花を撮っているとあっと言う間に取り残される。あ〜、待って〜!・・・何だかどこかかからひょっこり熊が出てきそうな雰囲気さえあって、独りになると急に怖くなる。
撮るだけ撮ったら追いかける。やっとSさんの姿が見え、皆に追いついたかと思うともう駐車場だった。
じっとりと汗をかく。さあ、これから温泉だ!

小谷温泉の選択肢は3つ。清掃協力費100円という露天風呂、村営の雨飾荘のお風呂300円、そして栃の樹亭の600円。人数も多いので、各自希望のお湯に入るべく、順次バスを降りる。バスは雨飾山荘前の駐車場に停めるので、入ったらここに集合とのこと。
結局私は優雅に栃の樹亭・・・とも思ったが、村営の方にした。
入ってみるとなかなかのお湯。源泉かけ流しにあえるとは思わなかった。洗い場は狭いが、いいお湯だ。さすが源泉。300円は本当に徳をした気分だ。
露天の方は何とアブが歓待してくれたとのこと。でも毎日お掃除してあって綺麗だそうだ。

さて、能生(のう)町の民宿へ向かう。何故か道の駅の中で夕食を取るよう依頼されたとか。入ってみると広いお座敷で、日本海を見ながらお膳にはカニが。
夕日が沈むのを眺めながら、お風呂上りのひとときを過ごす。海水浴客が多い。短い夏の海を楽しんでいるのだろう。

宿は少し高台にあった。明日の朝も早い。おにぎりを作ってもらい、宿で食べて出かける。出発は4:45。
鉾ヶ岳に続く。


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