藤里駒ヶ岳・田代岳   2005年7月8日夜〜10日

コース:
藤里駒ヶ岳:黒石沢登山口8:18〜8:33分岐<湿原経由コース>〜8:34田苗代湿原〜10:23尾根コース分岐〜10:36駒ヶ岳山頂11:02〜分岐<尾根コース>〜12:03分岐〜12:15黒石沢登山口
田代岳


藤里駒ヶ岳1158m 

 藤里駒ヶ岳は秋田と青森の県境に程近い、白神山地の山である。当然ながらブナの自然林が素晴らしいことと、湿原も楽しみな山でありながら、コースタイム自体は非常に短く、楽々コースのようだ。

 しかし、何と言っても東京から秋田は遠い。マイクロバスの大遠征となれば、21時に出発して夜通し走っても、登山口に着くのは早朝とはいくまい。
長距離の夜行で、いかに体力を温存するかが鍵となる。
そこで今回は空気の座面クッションと低反発の腰枕をWで使って効果を試してみた。腰枕は前回使ってみて、効果を実感。枕にもなるしさほど重くもなく、結構使える。
座面の方も、なかなかの使い心地。これで腰痛予防となりそうだ。
 
 さて、目が覚めると外は明るいが、霧がかかって、町がすっぽりと覆われている。幻想的な光景だ。
お天気はどうだろう。
 高速を降りてみると、田んぼは青々と稲が育っている。タバコの葉も植えてあり、花が咲いているものも。

登山口まではまだまだ相当あるので、途中で道の駅を使ってトイレや洗面を済ませ、現地参加のCさんの車を待って、その間に朝食を取る。
 Cさんがようやく合流し、マイクロに乗り込んで登山口に向かう。
町からも相当遠く、長い長い林道の奥にあるのだ。未舗装区間も長く、結構揺れるが、山深く入っていくんだなあと実感。
満員のマイクロが重そうに走っている。
すれ違うのが大変そうな凸凹道だが、幸い対向車もない。

 ようやく辿り着いた黒石沢登山口はとても広い駐車場と立派で綺麗なトイレ舎があって、びっくり。
きっと沢山の登山者が訪れるのだろう。

案内板も大きくて詳しい。よく整備されていることが分かる。
それによれば、駐車場は10台可、登山口の標高は850mである。
  私たちはここからピストンの予定だが、山頂までは2つのルートがあり、一方は湿原経由、他方は尾根道となっている。 
アルペンガイドには湿原経由の道しか載っていなかったが、白神山地世界遺産センターがH15年4月に作成した綺麗なルートマップをHPでも見ることが出来る。

 黒石沢登山道(尾根道)山頂まで2341m 分岐まで436m、(湿原経由) 2125m と案内図に詳しく書かれている。
我々はまず湿原経由で上り、帰りは尾根コースとする。
湿原(藤駒湿原=田苗代(たなしろ)湿原)にはどんな花が咲いているだろうか。

 歩き出してすぐに何とショウキラン発見!見るのは2度目だ。(新潟の弥彦山で夏に初めて見た。)
まだ蕾といったところで、初々しい。これは凄い、と嬉しくなる。

すぐに分岐になり、まずはまっすぐ湿原コースをとる。さて湿原は・・・と思う間もなく視界が開け、思わず声を挙げる。
「わ〜綺麗!」

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←『尾根コース』  『湿原コース』↑


ニッコウキスゲが満開!

 一面のオレンジの洪水。ニッコウキスゲが咲き乱れ、キンコウカがこれから咲こうとしている。 まさに夏のお花畑だ。
 他には、もう巨大化してしまったミズバショウの"お化け"と花が終わって首を長く伸ばしたショウジョウバカマ、実をつけているミツガシワが多数ある。早い時期にはこれらが盛りだったはずだ。

湿原にへばりつくように、赤い粘液をつけたうちわのような葉を持つモウセンゴケ。

 白いちょっと汚れたホウキのような草は、ワタスゲに似たサギスゲ(鷺スゲ)という名らしい。
 それから、薄いピンクのトキソウ、花はまだのコバ・ギボウシ?とウラジロヨウラク、・・・

ウラジロ・ヨウラク

キンコウカ

春先から夏の終わり、そして草紅葉まで、ずっと楽しませてくれることだろう。
  本当に素晴らしい湿原である。

広い湿原を木道に沿って歩くが、まさに撮影タイム。時のたつのを忘れて激写。時間はたっぷりある・・・。

気の済むまで写すと、今度は稜線に上がってひたすら頂上目指して登っていくことになる。
湿原を離れると、ルートは左折、急に斜度が上がる感じだ。大きな岩がごろごろしていて、結構歩きにくい。
濡れた岩は滑るし、段差が大きいと足が上がらない。

ひと頑張りすると、何とまたショウキランが咲いている。今度はちょうど見ごろのようだ。気をよくして歩いていると更にまたショウキラン!
何という贅沢。

他にはユキザサ、とても大きなマイヅルソウ、ズダヤクシュ・・・花を数えていると尾根コースとの分岐に出る。
標識はしっかり設置してあり、「→駒ヶ岳山頂0.3km、←登山口2.2km」となっている。

 
 ショウキラン

ズダヤクシュ
    

歩きやすい道を進むと山頂。小さめの八角形の花崗岩?の方位盤と二等三角点のある少し開けた山頂である。
眺望を楽しんで大休止。

下山には分岐から尾根コースに行くことになる。あの湿原をもう一度楽しみたいな〜という気もするが、新しいルートにまた別の花を期待する。

山頂からすぐの先ほどの分岐から右に折れ、稜線沿いの気分の良い道となる。

新しく開かれたルートの様子で、足元はふかふか。
比較的なだらかな道が続く。

展望を楽しみながら、土留めの階段を下りていく。
なだらかな稜線にはシャクナゲが少しだけ咲いている。

もう新しい花はないかなあと思っていると、先頭から「コケイラン!」とリーダーの声が上がる。お目当ての花の1つが、ようやく見つかったようだ。

これで別ルートを歩く意義があったというもの。
折りしもこのルートを登ってきた登山者とすれ違う。出発した時は駐車場には我々のみだったが、夏とあれば12時からでもまだ楽しめる山なのだ。

もう何か珍しい花はないだろうか・・・。
余り欲張りすぎてもいけないかな。

山頂からちょうど1時間で、湿原との分岐に出た。もう一度覗いてみたい気にさせられるが、後ろ髪を引かれる思いで登山口に戻る。
ここからはすぐだ。

駐車場には他の車も数台停まっている。春には山菜取りの人が沢山入り、にぎやかだという。

もう一度標識を詳しく読むと、尾根ルートの方が少し距離が短い。もしかすると湿原を通らない人もいるだろうか?(勿体無い!)

コケイラン
花一杯の駒ヶ岳を後にして、今度は帰り道の岳岱(だけだい)で『400年ブナ』に会うことになっている。
以前の山行で、このブナには感動したそうだ。楽しみ!
駒ヶ岳からまた林道を暫く戻ると「岳岱 自然観察教育林」がある。気軽にブナの自然林を誰でも楽しめるように遊歩道がつくってある。
駐車場もあり、いわゆる観光客も来るようだ。
何と言ってもお目当ては森の巨人『400年ブナ』だが、ほかにも沢山のブナが見られるらしい。
(今になって案内の紙(HPもあり。)を読んだら、なんと入り口近くのブナは「カメの横顔に似ている『ガメラブナ』」と書いてある。あ〜見落としちゃった!残念。)

そう言えば、夜叉ヶ池へのルートにも「森の巨人」トチの巨木があったなあ、と思いつつブナを探すと、あれ〜という声。
確かに見事なブナが立っているが、何だか脇に太い幹が折れて倒れている。
これが、400年ブナ?
       
太い幹が折れて倒れたまま。
う〜ん、400年というよりは
250年位に細ってしまったかも。          


上の方は葉がよく茂っているが・・・・。→
ちょっと残念が姿に変ってしまったようだ。もっとずっと幹が太くてそれはそれは立派だったそうだ。

しかし、自然のなせるわざ、仕方ないことかもしれない。

教育林の中をそぞろ歩く。何とここにもショウキラン。
ブナの林はショウキランに適した土なのだろうか。土壌の豊かさの象徴なのかもしれない。


細いブナも太いブナも、岩を抱いたブナも、それぞれ個性がある。
静かな森林浴を楽しめる、とても良い場所だ。

杉やヒノキの植林と比べると本当に明るい伸びやかな林でとても嬉しい。

・・・後はバスに乗り、街中にある世界遺産センターに立ち寄る。
立派な展示のある世界遺産センターを見学の後、温泉に向かう。なかなかいいお湯で、長い長い1日の疲れを癒し、宿へ。

この宿は面白いことに、1人部屋が殆どで、しかもベッドの部屋に当たった。狭いながらも必要なものは全部揃っていて、壁は薄くて筒抜けだが居心地のいい宿だ。

そうはいっても、夜行明けで夕食時にはもう体が重くて眠たい。ぼ〜っとする頭のまま食堂へ。
豚カツに甘エビのお刺身、茶碗蒸しに焼き魚、デザートに青いけど甘いパイナップル。・・・もう満腹。とっても良心的で家庭的ないい宿だ。

階段の登り口に大きなぬいぐるみの招き猫があり、通るたびに頭を撫でてみる。
(もっとも I リーダーは"かわいがっているんだよ"といいながら、ホコリが立つほど"叩いて"いたが・・・。)
パチンコの景品だったらしい・・・。

明日は早い。林道がまた長い上、東京まで帰らなければならない。
田代岳に続く・・・。


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