カエルの寝言201 年 月号



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鳥海山鳥海山   2015年8月2日〜3日

@鉾立7:07〜8:13賽ノ河原8:16〜8:45御浜小屋9:05〜9:29御田ヶ原分岐〜9:45七五三掛9:55〜千蛇谷〜11:35御室11:40〜12:00山頂(新山)12:05〜12:20御室12:55〜千蛇谷〜14:03七五三掛14:10〜15:05御浜小屋
*鉾立<1:35>御浜小屋<0:40>七五三掛<1:30>新山、御室<1:10>七五三掛<0:55>御浜小屋;鉾立〜新山〜御浜小屋[8:00*休憩含む]

A御浜小屋〜鉾立


コース:
コース:




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この夏の目玉、鳥海山。しかも初めて単独行(高尾山を除く)。穏やかな晴天が続かない独立峰、なかなか手ごわそうだ。
しかも山頂の小屋が満室で、御浜小屋の宿泊。夜行明けの初日に登頂し、御浜まで戻るには相当の体力が要りそうだ。
そこで、翌日の登頂も考え、帰りのバス(鳥海ブルーライナー)は最終便の16:20にしておく。いずれにせよ、どちらかは多分10時間近い行動時間になるのではないかと思う。 う〜ん、私の体力で登れるだろうか・・・。

東京駅からの夜行バスは象潟駅に5:15着。小さな駅ながら、綺麗なトイレと待合室前に椅子があり、そこで持参のおにぎりと飲み物で軽い朝食。前夜までに完全予約制の「鳥海ブルーライナー」で登山口の鉾立をめざすが、片道3000円!バスなのに何と言う価格か、と思ったら、現れたのはジャンボタクシー。人数によってはタクシー1台になるとか。つまりは、乗合タクシーなのである。
(ちなみに、3人なら登山口まで7200円程度で割安だが、結局、事前の予約がないと運転手の人数不足から、当日朝では無理だとか。ご注意あれ。)今回は途中の2人を含めて9人。(ラッキーなら、当日空きさえあれば乗せてくれる。)ともあれ、当然熟睡など無理な夜行明けでこの蒸し暑さ、かなり、不安。

何より事前のネット登山情報では、当日は強風に落雷の予報で、「登山には適しません」。翌日の方がまだよさそうだ。
登頂日はどちらがいいのか、いくら考えても答えが出ない。後は歩いてみて柔軟に考えることにし、兎に角歩き出す。辺りはガスっぽく、山が見えない。風もそこそこあって、上空では驚くような早さで雲が流されていく。やっぱり今日は無理かなあ・・・。

最初は石畳。階段状になっていて展望台まではサンダル履きでも行けそうだ。でも何も見えないので立ち寄らず、どんどん歩く。日曜日なので登山者を抜いたり抜かれたり。暫く歩くと「道を空けて下さい」、と20人位の制服を着た隊員たちが、担架を持って降りてくる。中高年の男性登山者2人も同行している。ちらっと見ると担架で運ばれるのは、成人だが、顔が見えないほどしっかり巻いてある。あ、これは・・・。
いきなりショッキングな場面に遭遇したものの、雑念を払い、周囲の花にレンズを向けたい衝動もぐっと抑えて、今日はひたすら歩き続ける。

すると、最初のポイントの賽の河原かと思われる地点に出る。昭文社では1:20所要のはず。あれ、もう着いた?
ガスの中、御浜小屋へ

ちょっぴり気をよくして、小休止の後、また歩いていくがガスの中で展望がない。少し登りになったかなと思いつつも、マイペースで歩いてたら、いきなり目の前に小屋が見えてきた。えー!これって御浜小屋?昭文社だと2時間になっているけど。(ヤマケイでは1:50)
どういう訳か、想定外の事態の。・・・これはきっと、今日登れってことだと勝手に解釈し、行ける所まで行ってみようと決心する。

実は乗合タクシー内の情報交換で、御浜小屋の予約時に「小屋に不要な荷物を置いて身軽に登頂して下さい」と言われたという。それならば、と私も いろいろ置かせて貰い、ザックはぐっと軽くなった。 とにかく16:30までに小屋に戻るよう言われていて体力勝負なれど、これだけ荷物が軽くなれば更に早く容易に歩けるというものだ。これって実は凄い『裏技』かも。

なだらかな扇子森を超え、御田ヶ原分岐を経ても何とまだ石畳。何だか韓国の山を登っているような感覚。外輪山がガスの晴れ間に迫ってくると、七五三掛(しめかけ)。ここまで1時間のはずが40分で着いた。凄いな、このタイム!雪渓の状態次第だが、これで登頂できるとほぼ確信する。
ここから少し外輪山を登り、道の途中の標識に従いって直進し、一気に谷まで降下してする。梯子もあるが、何より足元がザレていて、ちょっと気になる。
千蛇谷を望む

雪渓は本当に小さく、雪面にロープが張ってあり、すぐに渡れてしまう。後はしっかりした夏道のようだ。谷に降りたせいか、これまでの強風がぱたっと止み、上空には時折青空が覗くようになる。
すると一気に蒸し暑さが襲ってきて、驚くほどの汗。熱中症になりそうだ。これは気をつけないと。

少し気持ちの余裕が出てきたせいもあり、周囲の花に撮影欲を抑えるのが難しくなる。・・・ま、いいか、花を楽しむための山歩きなのだから。 秋田駒では出会えなかった花もあり、iさんの言う通り、鳥海山も花の山だと実感する。夏山っていいな〜。

どんどん晴れてきて、目の前にいきなりゴツゴツした岩山が見えてきた。あれが新山?
新山が見えてきた

ここからは急坂を登っていくようだ。しかし、ここまできてしまったせいか、大変そうだなというよりは、何だ、あと1ピッチじゃないの、と楽天的になるのが我ながら不思議だ。ザックが軽いお陰なのだが、「なんちゃって」健脚者気分を楽しむ余裕すらある。
ちょっと休んでから気合を入れ直し、いざ、目指せ山頂・・・じゃなくて、まずは御室。予想以上の水分消費(浪費?)だったものの、何とかバテずに辿りついてみると、 相当広い平地に沢山の登山者が三々五々休んでいる。鳥居も見える。あの先に鳥海山神社があるのかな。

御室

みんながザックをデポし、空身で岩山に向かっているので、私も一瞬迷ったものの、ままよ、とザックを降ろし、水をがぶ飲みして、空身で岩との格闘開始。 久々の「3点確保」で、多少の腕力も必要。
結構スリルを満喫しながら、ペンキ印に従って登下降を繰り返す。巨大スリットを通り、また登り返し、最後の岩場を必死に登りきって、やっと山頂。 ふー。
岩が累々と重なって、なかなか面白い光景だ。時計はちょうど正午。登山口から5時間なんて、凄いぞ、私!(笑)

周回コースで降り始めるが、初心者なら「泣き」が入る岩場の連続。ミニ雪渓を渡って、やっと小屋の裏に出て、やっと安心。広場で大休止。
チョウカイフスマがあちこちに咲いている。これも写さなければ。
岩陰でお昼とするが、風は強いし、時折暗い雲が流れてきて天気が気になる。今日は既に2機ヘリが飛ぶのを見たが、事故だろうか。
その後、改めて神社にお参りし、安全登山を祈念。さらに水を500円で買い(何でも飲み物は500円だが、ペットボトル入りは水のみ。)、下山開始。

本当は七高山〜外輪山を歩いてみたい。だが、と雲行きも怪しく、相変わらずの強風なので、迷わず最短コース(七五三掛)で戻ることにする。
谷に降りるとまた猛烈な暑さ。でも、見慣れた景色に安心する。下りも快調に降り、七五三掛で一服。ここで水をほぼ飲み切って、後は危険もないので、やっと普段の「撮影モード」で歩く。
花の山

見渡せば、どこもかしこもお花畑。ハクサンシャジン、ニッコウキスゲ、アキノキリンソウ、・・・。久しぶりのお花もあって、みんな綺麗だ。でも風が強くてなかなかピントが合わない。

充実感一杯で小屋に到着。行動時間は8時間。新記録達成〜♪
小屋では、朝タクシーで一緒の3人組の1人が待っていたので挨拶すると、「早いわねー!登頂したの?凄い!!」・・・他の2人はとにかく16:30に戻れるよう、行ける所まで行ったという。戻ってきたのが16:00過ぎ。何と、新山に登り始めてすぐ「時間切れ」で引き返してきたという。荷物を軽くしたのに、無理だったという。ああ勿体ない。 昼寝でもしたかったが、食事前に毛布を出すなとの厳命もあり、壁にもたれて休む。
夕食も朝食も5:30というので、しばらく他の登山者と会話を楽しむうちに分かったのが、8月の第一日曜・月曜が地元の小学6年生の恒例登山だということ。 道理でこの日は山頂の小屋が早々「満室」扱いで、何度電話しても「キャンセルありません」だったわけだ。

何はともあれ、今日登頂できたので、ちょっと疲れたし、明日は早く下山しようと電話で1本早いブルーライナー(12:25)に変更。酒田に良い美術館があるとiさんから聞いたのでガラケーで検索すると、行きたい美術館があった。そのあとは、勿論お風呂!
何しろ、余りの汗で体が・・・。必要最小限しか持ってこなかったことを今になって悔やむばかり。あれもこれも、持ってくればよかったなあ。



さて、気になる夕食はおでんがメインで、まあまあの内容。お腹は一杯になった。素泊まり4000円、食事は朝も夜も1500円、お弁当が700円。この値段ならこんなものだろう。
で、こちらの小屋もほぼ満室なので、畳3枚に4人と言う感じ。全体に毛布を敷きつめた後、各自1枚の毛布を半分に折って、その中に入り込むだけのスペースしかない。枕もないので首が痛く、また寝がえりを打ってもあちこち痛くて、結局余り眠れなかった。まあ、これも想定内。

朝5:30の食事と言うのにお隣の団体さんは4時すぎからガタガタ起き出して煩い。近頃はマナー云々に無頓着なのか、リーダーがいないのか。

余りに早く食べ終わって時間をもてあます。本当はゆっくり池の周りでお花探索と思ったが、外はガスが深く、風も強くて外に出る気がしない。徐々に出発していき、残った10人弱でお喋りをしているうち、私が酒田に行って美術館でも見たいと話すと、その中の1人が地元の名士で、何と車で直接送ってくれるという。有難くお願いし、バスをキャンセル。諸事情で出発がかなり遅れたものの、電車を乗り継いで行くよりは早く送って頂けたのは何とも有難かった。これもひとり旅ゆえの出会いだろう。

酒田見学の後は電車で象潟に戻り、適当なバスが無いので歩いて温泉施設(道の駅象潟にある、ねむの丘)へ。25分ほど到着。まずは夕食、それから休憩室が使える、1日券500円でお風呂に入ってさっぱり。ソフトクリームを食べながら、21時の閉館までノンビリ過ごす。

7号線を夜風に吹かれてまた25分。駅に戻り、また夜行バスで東京へ。思い出に残る山旅もこれにて終了。

鳥海山は海に近い独立峰ゆえに、なかなか登山に適した天候が望めない。強風の日も多く、ガスが深いこともある。その意味で、多少の風でも行くしかないが、雪渓が大きい時や強風時は外輪山コースを避けるなど、判断が求められる。山頂の岩登りも、久々の3点確保で腕が痛くなった。なかなかに手ごわい山である。


見た花:クルマユリ、タカネサギソウ、イワギキョウ、ハクサンシャジン、ハクサンフウロ、ニッコウキスゲ、コバノギボウシ、チングルマ、ウサギギク、チョウカイアザミ、ウゴアザミ、アキノキリンソウ、キンコウカ、ヨツバシオガマ、イワショウブ、タカネアオヤギソウ、ツガザクラ、チョウカイフスマ、トウゲブキ、ウメバチソウ、イワベンケイ、エゾシオガマ、コキンレイカ、オヤマリンドウ、イワブクロ、オクキタアザミ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマホツツジベニバナイチゴ、コイワカガミ など。

画像はブログでどうぞ。(花もあとでアップ致します。)

*情報サイト*
総合:鳥海山登山ガイド
アクセス:鳥海ブルーライナー、食事・おみやげ・入浴:道の駅象潟(ねむの丘)*鳥海ブルーライナーで戻る際の終点です。


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