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Part 8

ザーザーの雨、ヒョコヒョコの二人・・・(その2)  

              
                   
         
1999年 6月 27日(日)  

尾瀬ヶ原

 午前1時、
不吉な音で目が覚める。
雨が湿原を叩く音である。
奇跡的な回復を願いもう一度眠りにつくが、
無情にも雨は止まず、日の出の撮影を断念せざるを得なかった。

 その後雨は止むどころか、ますますその足を強め、
風を味方につけて二人の行く手をはばもうとする。
昨日とうってかわって撮影意欲を失った私は、
雨の尾瀬ヶ原には目もくれず、ただ黙々とひたすらゴールを目指していた。
小屋で調達した雨具ではこの雨をしのげず、
濡れた体からは、徐々に体温が奪われていく。

 そんな中、母に励まされ、中田代で写真を撮る。
三脚を立て、さざめく池塘にカメラを向ける者は、他に誰もいなかった。
小さな傘とタオルでなんとか雨をしのぎ、残っていたフィルムを全て撮りきる。
これにて撮影は終了である。
結局新品の三脚は一度も出番がなく、
ただただ私達の体力を奪うお荷物となっただけであった。
とことん間の悪い二人である。

 山の鼻小屋で暖をとり、少々生気をとり戻す。
残すは鳩待峠までの登りである。
こちらは昨日の苦労が嘘のようにゆるやかな傾斜、
しかも木道が続いている。
雨に濡れ、しっとりと薫る緑は胸に心地よく、
今までの疲れを癒してくれる。
ふとふり返ると顔面蒼白の母が、
一歩一歩ふみしめるように歩いている。
景色に目をやる余裕もないようである。
再び手をとり、最後の砂利道を登り切ると、
終わったという満足感と、
終わってしまったという淋しさが、
複雑に胸で絡み合う。
尾瀬に、何かを置き忘れてしまったような、そんな気がする。

 鳩待峠からは乗り合いタクシーに乗り、
そのまま沼田を目指す。
同乗の方たちとの会話も弾むが、
いつしか二人でもたれ合って寝てしまう。
この二日間で、一番安心できたひとときかもしれない。
しかし、リラックスしすぎたせいか、ずっと酷使していた足はパンパンに張り、
タクシーのたった二段のステップを降りるのにひと苦労。
そこから改札までのほんの数メートルを、
二人で手をとり合い、まるでロボットのようにヒョコヒョコ歩く。
そんな自分たちの姿に、思わず笑いがこぼれる。
ふり返れば楽しい尾瀬だった。

 また来るからね、尾瀬・・・。


                         

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林道突入直前、最後のショット! 
なぜか不吉な予感・・・

そして雨は降り続く・・・

                         
                         

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