アメリカ版TENNIS
2005年10月号
セカンドサーブ --- ピート・サンプラス
文:James Martin



1年前、ピート・サンプラスはテニスラケットを触る事さえ考えられなかった。テニス界トップで過ごした年月は彼を消耗させ、うんざりしていたのだ。

だが面白いことに、時は物事を変える。最近になって彼に会えた時、34歳のサンプラスは、カリフォルニア州ビバリーヒルズの新しい家に引っ越したばかりだったが、テニスに戻る事を考えていると語った。

大いに暇があるからという訳ではない。彼には妻のブリジット・ウィルソンとの間に2歳の息子クリスチャンと、生まれたばかりのライアン・ニコラスがいる。

シニアツアーでプレーする気がありますか?

ピート:オープンな立場でいる。僕は練習してないし、トレーニングもさほどしていない。だがある時点で、アメリカで開催されるシニアイベントでプレーすると思うよ。そういう思いつきを考慮するに至るだけでも、暫くかかったけれど、今は自分を忙しくし、何かに集中する1つの途として、プレーする事を考えている。

シニアツアーには新しいメンバーがたくさん加わり、かなり真剣に取り組んでいるプレーヤーもいます。あなたが再び競い合いたいと思う理由になっていますか?

ピート:実のところは違うね。次々と試合をこなすような状態には入り込みたくない。楽しみとしてやりたいだけなんだ。ジム・クーリエ --- 彼は僕のライバルで、過去には何度も接戦を経験してきたけれど --- 彼のような人と試合を続けていく気概はもうない。そういう日々は終わっている。シニアツアーの何人かのメンバーのような競争意識は持ってない。でも再び皆に会うのは楽しいだろう。もう勝つためにプレーするつもりはないけど。

ところで、あなたは今までどんな事をしてきたのですか?

ピート:ゴルフを大いにやり、ポーカーにハマった。2年かかって、もう充分にゴルフとポーカーを堪能したという気分になった。今はテニスのような、より満足がいくものを見いだす時だ。

(ゴルフとポーカーは)暫くの間は楽しい。だがそのうち少しばかり物足りなくなる。僕は職を得ようとは思わない。だが、たいていのプロのテニスプレーヤーは引退後、いつかはテニスに戻ってくる。 テニスが彼らのする事であり、彼らはテニス人なんだ。それは僕が向かっている道でもある。

ゴルフのハンディキャップは幾つですか?

ピート:6だよ。僕は基本的に、ゴルファーではなく、ゴルフをするアスリートだ。自分のストロークの微妙な調整をしたりしない。楽しむためにプレーし、時々はギャンブルも試みる。でも僕はマーク・マクガイアーのようではない。彼はヒッティング・コーチをつけているけどね。

ゴルフに関してもっと真剣になるかと考えてみたが、自分にはそれほど充足感を感じるものとは思われなかった。

どんなポーカーゲームをするのですか?

ピート:テキサス・ホールデム。何年も前に ESPN でポーカーを見た頃は、「テレビで何をしているんだ?」って思ったものだったよ。でも興味を持ち始めて、ゲームを学んだ。そして今は週に1度、家でゲームをする。

テレビでコメンテイターを務める事には興味が湧くでしょうか?

ピート:もしかするとね。やるなら良いコメンテイターになりたいね。勉強しなければならないだろう。ウインブルドンとUSオープンでやってみたい。ウインブルドンは懐かしいよ。でもまだ、あまり旅行をする気にはならない。ヨーロッパへの移動は、恋しくない旅だね。だが、僕はウインブルドンに戻るだろう。

プロテニスは追っていますか?

ピート:メジャー大会は見ている。現状は把握しているが、毎週毎週ではない。

ロジャー・フェデラーについて、どう思いますか?

ピート:彼は他の誰よりも抜きん出ている。素晴らしいゲームと、素晴らしい気構えを持っている。彼は勝つ事に全力を尽くし、そしてラケットに物を言わせている。

彼に匹敵する者はいるでしょうか?

ピート:誰も彼に迫っているとは思わない。サフィン --- 彼にはそれだけのゲームがある。彼が好調だと、フェデラーに対抗できる。しかしメンタル面では遅れをとっている。ヒューイット、 ロディック --- 彼らは及んでいない。


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