ワールド・テニス
2013年3月1日
ピート・サンプラスは単に「良いプレーヤー」と分類された
文:Randy Walker


いったい誰が、ピート・サンプラスを史上最高の1人ではなく、単に「良い」テニスプレーヤーと分類した事があっただろうか?

そう、実際にあったのだ。

ただし、それは25年前の事だった。

1988年3月2日、元合衆国デビスカップ選手のエリオット・テルシャーは、インディアン・ウェルズで開催されたニューズウィーク・チャンピオンズ・カップ―――現在のパリバス・オープン―――2回戦で敗れた後、その対戦相手だった16歳のピート・サンプラスを「良いプレーヤー」と評した。

以下の文章は、その3月2日について『テニス史におけるこの日』という私の著書から、試合を要約した抜粋である。

1988年3月2日―――16歳のピート・サンプラスは、ATP ツアー大会には今回がわずか2回目の出場だったが、彼の初期キャリアにおける最大の勝利を記録した。カリフォルニア州インディアン・ウェルズで開催されたニューズウィーク・チャンピオンズ・カップの2回戦で、28歳の元合衆国デビスカップ・スター、エリオット・テルシャーを破ったのだ。第10シードのテルシャーは語った。「私は良いプレーヤーに負けたように感じた。彼は良いプレーヤーだ。つまるところ、そういう事だ。私は人生を懸けた試合をした訳ではなかった。少し消極的だった。彼はサーブも良く、ボレーも上手い。そして攻撃的だ。私は良いサーブを打ち、ボールを深く保つ必要があった。彼は抜け目がなかった。私のセカンドサーブを捕らえ、前に詰めてきた。短いボールを得るといつも、彼はそれを叩いて前に詰めてきた。彼をネットから遠ざけておくだけの深いボールを打たなかった時には、試合の間じゅう私にプレッシャーをかけてきた」

サンプラスは3回戦で、スペインのエミリオ・サンチェスに7-5、6-2で敗れる。そして30カ月後には、19歳という年齢で、USオープン男子シングルスの最年少優勝者となる。

2月29日(うるう年)、インディアン・ウェルズ1回戦で、予選上がりのサンプラスは ATP ツアーにおけるキャリア初の勝利を上げた。第3セットで5つのマッチポイントをセーブし、6-3、3-6、7-6で第37シードのインド人選手ラメシュ・クリシュナンを破ったのだ。

周知のとおり、サンプラスは全キャリアで、ATP ツアーレベルの試合で14のメジャー・シングルス・タイトルを含む762勝を挙げ、そして間違いなく、 テルシャーから受けた「良い」という評価よりもずっと高いプレーヤーと認められた。


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