テニス・スペース
2012年6月16日
近代のトップ10サーバー
文:Steve Utton


アンディ・ロディック:正統的ではないかも知れないが、ロディックのサービスモーションはこのショットを成功させるカギとなっている。A-ロッドはボールに向ける脚の押し上げをフルに利用して、サーブを打ち下ろす。それは必ずと言っていいほど時速140マイルにまで達するのだ。2011年序盤まで、最速サーブ(時速155マイル )の記録を保持していたロディックは、USオープン・タイトル獲得と、3回のウィンブルドン決勝戦進出を果たした。

ピート・サンプラス:サンプラスのサーブは、あらゆる点から見て堅実だった。ナンバー1だった頃でさえ決して最速ではなかったが、サンプラスはピンポイントの正確さで、平均的に時速120〜135マイルのサーブを放ったものだった。時にはセカンドサーブでさえも。彼のサーブは、しばしば「リターンしにくい」と描写され、テニス史における最高のサーブと見なす人々もいる。

サミュエル・グロス:この名前を聞いた事のない人々もいるかも知れないが、 グロスは5月に韓国の第2級チャレンジャー大会で、最速サーブの記録を更新した。身長6フィート4インチのオーストラリア人は時速163.4マイルの超強力サーブを放ち、 イボ・カルロビッチの時速156マイルという以前の記録を抜いたのだった。この記録はトッププレーヤーの間で論議をひき起こし、ロジャー・フェデラーは「信じがたい数字だ」と述べた。カルロビッチは「テニス・スペース」に、グロスがそれほどまでに記録を延ばしたのは「驚異的だ」と語った。

ロスコー・タナー:1970年代、彼は時速153マイルのサーブを放ったと記録された。記録装置の正確さについて若干の揚げ足取りはあったものの、彼が手ごわい左利きのサーブを持っているという点では、皆が合意していた。

ボリス・ベッカー:1985年、当時17歳のベッカーはクウィーンズクラブで初のキャリアタイトルを獲得した。3週間後、彼はウィンブルドンで優勝した初のノーシード選手となった。この優勝は彼を史上最年少ウィンブルドン・チャンピオンとし、現在に至るまでこの記録は破られていない。ベッカーのゲームは速い、そしてプレースメントの良いサーブを中心に組み立てられ、「ブーンブーン」というあだ名がついたのだった。ドイツ人は翌年と1989年に、再びウィンブルドン・タイトルを獲得した。

マーク・フィリポウシス:サーブは疑いなく彼のゲームの基盤であり、2003年のウィンブルドン決勝戦進出における重大な役割を果たした。彼はその途上でアンドレ・アガシ(史上最高リターナーの1人)を破った。強力なサーブゆえに、このオーストラリア人には「スカッド」というあだ名がついた。フィリポウシスのサーブは平均的に時速135マイル、あるいはそれ以上を、時にはセカンドサーブでさえ計測した。

ジョン・アイズナー:身長6フィート9インチのアイズナーは、1試合に最も多くのエースを放った世界記録を保持している。2010年、彼とニコラス・マウーはテニス史上最長の試合を戦った。この記録は恐らく今後も破られる事はないだろう。アイズナーは11時間以上にわたった試合で113本のエースを放ち、最終セットは70-68というスコアでアメリカ人が勝利した。しかし次のラウンドでは、彼はティエモ・ド・バッカーにストレートセットで敗れ、1本のエースも打てなかったのだった。

イボ・カルロビッチ:クロアチアの巨人はかつて時速156マイルのサーブを放ち、サミュエル・グロスに破られるまでは最速記録だった。6フィート10インチというカルロビッチの身長は、不可能と思われる角度をサーブにつける事を可能にし、ATP ランキングで最高14位まで到達した。2009年、彼はデビスカップでラデク・ステパネクに対して78本のエースを放ったが、第5セット16-14で試合に敗れた。

ミロシュ・ラオニッチ:カナダ人は2011年のオーストラリアン・オープンで、予選上がりとしてテニスシーンに躍り出た。見事な勝ち上がりで4回戦まで達したが、そこでデビッド・フェレに敗れた。彼の最速記録は時速155マイルで、ランキングの急上昇に大きく貢献した。昨年のウィンブルドンでは、2回戦で途中棄権を余儀なくされたが、今年は立ち直って2週目への進出を果たすべく狙ってくるであろう。

テイラー・デント:恐らくテニス史における最強のサーブを持つ1人として有名で、サーブに関するテイラー・デントの独特なスタイルとテクニックは、テニス界のほぼ誰にも見分けがつく。極端に上半身をひねる彼のサービスフォームは背中の問題を引き起こし、2007年には外科手術を受ける事となった。デントは2008年に怪我から復帰したが、2005年にキャリア最高の21位に達したプレーの水準まで戻る事はできなかった。2010年、デントはノバク・ジョコビッチに対して時速148マイルのミサイルを放ち、ウィンブルドンにおける最速サーブの新記録を樹立した。


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