テニス.com
2012年10月18日
ピート・サンプラスとのQ&A:今なお勝つ事を望む
文:Jonathan Scott


ピート・サンプラスは引退といった些事に、自身の競技テニスを阻止させない。昨夜、シカゴで開催されたパワーシェアーズ・シリーズ第2戦に、彼は引退仲間のジョン・マッケンロー、イワン・レンドル、ジム・クーリエ等と臨んだ。41歳になってさえ、ピストルは今なおモンスターサーブを打つ事ができる。しかし昨夜は、決勝戦で元気のいいジョン・マッケンローを退けるには、あまりにも多くのダブルフォールトを犯してしまった。8ゲーム・プロセット4-7ダウンでのサービスゲームで、ジョニー・マックは勢いを盛り返し、続く4ゲームを連取して、タイブレークの末にシカゴ大会のタイトルを獲得したのだった。

私は試合の前にピートを掴まえて、ATP ツアーの現状、彼自身のゲーム、そしてポール・アナコーンの成功の秘密について、考えを聞いた。


Q: パワーシェアーズ・シリーズに対するあなたの意気込みはどんなものですか? このシリーズは、あなた達がシニア・グランドスラムを目指して競い合う、ゴルフのチャンピオンズ・ツアーといったものになり得ると思いますか?

まあ、メジャー大会にまでなるかどうかは分からないよ。我々は、異なる世代の4人の偉大なプレーヤー同士が対戦するツアーを行おうとしているんだと思う。ワクワクするひとときだ。それがメジャー大会にまで到達するかどうかは―――それが目標なのかも、よく分からないな。僕としては、若干の楽しみを得て、そして異なる個性、異なるゲームを見るためのものだと考えている。昨年も開催してかなりの成功を収めた。そして今年も行っているから、上手くいっているよ。

Q: あなたはこれらの試合を、どれくらい真剣に受け止めていますか?

僕は勝とうとしている。我々はみんな競争心が強いんだ。だからここでプライドがぶつかり合う。だが同時に、それが面白いもので、観客の皆さんがチケットに見合う楽しみを得られるものにしたいと望んでいるのだと思うよ。観客は優れたテニスを見たがっている。単なる冗談交じりのヒッティングではない。真剣なテニスだ。だから僕は準備をする。この数週間、僕はヒッティングをして自分のゲームに取り組み、さらに身体が強打に対処できるようにしてきたよ。

Q: 2008年、あなたはマジソン・スクエア・ガーデンのエキシビションで、ロジャー・フェデラーと対戦しました。白熱した試合でした! あなたは現在でもツアーでプレーできる筈だと思いますか?

いや、いや、いや。つまり、引退後の数年は、もしかしたら僕はもう少し長くプレーできたかなと思った時もあった。だが、今や僕は41歳で、この3〜4年は父親業の影響をしみじみ感じてきたよ。以前のようには動けないし、身体もかつてほど柔軟ではない。ツアーのゲームは明らかにずっとずっと若い―――25、26歳だ。ラリーはずっと長くて、体力を要する。だから僕は、今晩ここで彼ら(イワン・レンドル、マッケンロー、ジム・クーリエ)と対戦するので充分だと思っているよ。

Q: 数日前にノバク・ジョコビッチは、自分は恐らく史上最高の時代にプレーしていると思う、と語りました。あなた自身も素晴らしい時代にプレーしました。2つの時代をどう比較しますか? 比較されうるものですか?

時代を比較するのは難しいよ。僕としては、現在ほど4人の男が圧倒的な時代を見た事がないと思う。僕の時代には、複数のメジャー大会で優勝する選手が大勢いたと感じている。(ボリス)ベッカー、(ステファン)エドバーグ、僕自身。優勝できる選手が、恐らく1ダースくらいいた。現在は、トップの4人だけが複数のメジャー大会で優勝する男たちだ。トップが抜きん出ている。どちらの時代が良いか? 分からないよ。どの世代もタフだ。確かにノバクは、非常に厳しい時代に素晴らしいテニスをしている。(ラファエル) ナダルがいて、ロジャーがいて、今は(アンディ)マレーも加わってきているからね。だが、比較にならないものを比較はできない。すべての世代が少しずつ異なっている。時代を比較するのは難しいよ。

Q: しかし、より遅いサーフェス、新しいテクノロジーに関してはどれくらい重視しますか? 彼ら4人でも、あなたの時代のより速いコートを、現在と同じように一貫して支配する事はできそうもないように思われますが。

テクノロジーが助けになってきたとは思うよ。彼らはバックコートからでも多くのパワーを得られ、何回もの長いラリーをプレーできる。確かに僕の時代には、サーブ&ボレーヤーがたくさんいた。彼らがサーブ&ボレーヤーとの対戦を望むとは思わない。彼らはバックコートから打ちひしぐ事が好きで、僕やベッカーのような誰かが前に詰めてくると居心地が悪いだろう。彼らが我々を打ち負かす事はできなかったと言っているのではないよ。だが何らかの異なるプレーを見るのは面白いし、彼らに考えるべき何かを提示すると思う。彼らが非常に疲れるラリーでプレーしている方法、彼らは素晴らしいプレーヤーで、それは見るのは楽しい。個人的な好みでいえば、僕は多少のバラエティ、若干のサーブ&ボレーを望む。だが、その時代は恐らく終わったのだろう。

Q: 今年、あなたの元コーチのポール・アナコーンは、ロジャーがタイトル無しだった2年間を脱して、ウィンブルドンで17回目のメジャー優勝を果たす手助けをしました。何が彼をこのような特別なコーチにしているのですか?

ポールは個性の見極めに優れた男だ。彼は僕の個性を見て、何を言うべきか理解できるんだ。優秀なプレーヤーがどのように考え、そして感じるかを知っている。彼は頭脳明晰なコーチだ。自分の選手に何を話すべきか知っている―――多すぎる情報ではなく、試合に臨むに際して充分な優れたゲームプランだ。彼は他のプレーヤーが何を望まないか知っている。様々な異なる個性を見抜く事に長けている―――彼は(アンドレ)アガシとも、ロジャーとも、僕とも組む事ができるんだ。カメレオンみたいにね。それが素晴らしいコーチの証しだと思う。


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