サン・フランシスコ・クロニクル
2011年2月6日
ピート・サンプラスのエキシビション・マッチで SAP オープンが開幕する
文:Bruce Jenkins


コントラストが魅力的なテニスのカギであるなら、今晩(午後7時)HP パビリオンで行われるピート・サンプラスとガエル・モンフィスによる大会幕開けのエキシビションで、SAP オープンはまさに人々の心を捉えるだろう。

サンプラスのゲームは過去への賛辞だった―――そして現在も。クラシックなサーブ&ボレーの攻撃は、彼を世代で最も勲章を授けられたチャンピオンとした。モンフィスは夢想家で、本人にだけ意味のあるショットを打つ事で知られ、目下のところ厳密には浮かれている。

現在39歳のサンプラスは、肩を少し丸め、爆発的だが秩序だったテニスをした。そして多くの視聴者の好みには少しばかり退屈すぎると見なされていた。モンフィスはひょろっとして、 しなやかで、すべてが即席と予測不能である。

サンプラスは視界に入るものすべてを勝ち取り、14のメジャータイトルを獲得した。ロジャー・フェデラーが抜く(16回優勝)までの最多記録だった。モンフィスはいまだメジャー大会で優勝していない。

サンプラスのトレードマーク:キレの良い決めのボレーで、ステファン・エドバーグ、トニー ・ローチ、ロッド・レーバー等の優雅な流れに連なる。モンフィスは自分に向かってくる型通りのボールを見るや―――確かにUSオープンでは―――空中に跳び上がり、脚の間から奇想天外なベースライン・ショットを打つと決心した。

それはオーストラリアン・オープン後の大会で、楽しみを生み出し、観客の心を引きつけるはずだ。確かに、大物はここにいないが、才能豊かな選手が何人もいる。

ホアン・マルティン・デル・ポトロ:2009年USオープン決勝戦でフェデラーにフルセットの末に勝利した事で知られる。現在は手首の手術からカムバックする途上である。オーストラリアン・オープンでは2回戦でマルコス・バグダティスに敗戦を喫したが、手術からほんの数週間で調子を取り戻しつつあり、評論家を驚かせた。

フェルナンド・ベルダスコ:昨年の SAP チャンピオンは驚異的なフィットネスの持ち主で、アンドレ・アガシと彼のトレーナーとともに、ラスベガスで徹底的なトレーニングを積んだ賜物である。オーストラリアン・オープンでは2セット・ダウンとなり、ヤンコ・ティプサレビッチに敗れるかに見えたが、挽回して5セットの勝利をつかみ取り、4回戦に進出してトーマス・ベルディヒに敗戦を喫した。スペイン人はサンノゼ大会を気に入っている。「ラテン系の人々が大勢いて、僕を応援してくれる。人々の存在を容易に感じ取れる」からだ。

サム・ケリー :昨年のサンノゼ大会では、第3セット7-6でアンディ・ロディックに敗れはしたが、32本のエースを炸裂させて強烈な印象を残した。ケリーの課題はモチベーションである。昨年のフレンチ・オープンでは「ホームシック」のために試合を落とし、オーストラリアン・オープンではダブルス専門家のルーカス・クボーに1回戦で敗れた。彼のボディ・ランゲージは多くの評論家を失望させた。しかし、彼はいつでも、誰をも破る事のできる可能性を秘めている。

ミロス・ラオニック:彼のオーストラリアン・オープンでの躍進は、ウクライナのアレクサンドル・ドルゴポロフが引き起こした大興奮に劣らぬほど、強い印象を多くの者に与えた。ラオニックは長年のアイドル、サンプラスのような滑らかで力強いプレースタイルを披露して、2人の非常に優れた選手、マイケル・リョドラとミカエル・ユーズニーを手早く片付け、4回戦で第7シードのデビッド・フェレに敗れたのだった。まだ20歳のラオニックは、ツアーでも指折りのビッグサーブを持つ攻撃的な選手である。

レイトン・ヒューイット:長年にわたってオーストラリアン・オープンのスターである彼は、2002年からサンノゼ大会に出場している。初年にはアガシを破ってタイトルを獲得した。オーストラリアン・オープンでは、スリル満点の5セットマッチでデビッド・ナルバンディアンに敗れたが、男子ドローのベストマッチと多くの者に見なされた。

錦織 圭:ブラッド・ギルバートはこの21歳の日本人に大いなる可能性を見いだし、パートタイムのコーチを引き受けた。錦織は5フィート10インチ、150ポンドと小柄だが、ギルバートは彼の動きと精神的強さに惚れ込んでいる。

ジェームズ・ブレイク:彼が最後に挙げた大きな勝利を、誰が思い出せるだろうか? 最近のグランドスラムでの結果については、あれこれ考えない方がマシな状態だった。しかしキャリアの終わりに近付いてはいるものの、ブレイクは今でも気迫と競技への熱意をコートにもたらす。ファンは彼への良き送別を祈る事が賢明かも知れない。


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