ASAP スポーツ
2011年1月25日
SAP オープン記者会見
ピート・サンプラス


司会:本日は、殿堂入り選手で14回のグランドスラム・シングルス優勝者であるピート・サンプラスとの電話記者会見に参加していただき、ありがとうございます。ピートにはロサンジェルスの自宅から加わってもらいます。

ピートは1996・1997年の2回、SAP オープンで優勝を遂げました。そして6年連続で ATP ワールド・ツアー・ランキングの年末ナンバー1に在位した、歴史上唯一の選手です。またナンバー1在位286週で、史上最長のリーダーでもあります。

まずはトーナメント・ディレクターのビル・ラップをご紹介しましょう。

ビル・ラップ:ありがとう、ジム。そして、本日朝の電話記者会見に参加なさっている皆さん、ありがとうございます。ピート、あなたへの質問から始めたいと思います。あなたは過去に SAP オープンで多くの成功を収めました。サンノゼでのプレーについて、最も好ましい思い出を語ってくれますか?

ピート・サンプラス:ええ、たしか1996年にアンドレと対戦した事だ。彼はオーストラリアで僕を負かしたんだったかな。我々のナンバー1順位は定まっていなかった。そして僕は素晴らしい試合をしたと記憶している。彼に対して文句なしの勝利を挙げたんだ。
訳注:ピートは1996年の決勝でアガシを下してはいるが、その年の全豪では3回戦でフィリポウシスに敗れている。全豪決勝でアガシに敗れたのは1995年で、その年は本大会に出場していない。

翌年の決勝ではルゼツキーと対戦したが、彼は試合中に手首を傷めたんだ。まあ、優勝が転がり込んだって感じだった。だが僕はいつも、サンノゼでのプレーを楽しんでいたよ。自宅から近いし、観客も素晴らしかった。競技場もプレーに適していて、サンノゼの地域から多くのサポートを受けた。僕はあそこでプレーする事を楽しんできた。数週間後に参加するのを楽しみにしているよ。

Q. エキシビションでガエル・モンフィスと対戦するのは初めてですね。彼のゲームについてどんな事を知っていますか、そして試合はどんなふうになると思いますか?

ピート・サンプラス:
まあ、若い現役選手たちと対戦するのは、時とともに難しくなっているよ。ガエルについては、彼がプレーするのを何回も見てきた。彼は才能がありエキサイティングで、運動能力の高い選手だ。コート上で様々な事ができる。僕が彼を倒すのは容易ではないだろう。

競り合った試合になって、ファンが楽しめるといいね。だが彼は世界でもベストの選手の1人だ。そしてさらに向上し続けている。若いし、熱意もある。

僕としては、競り合った試合にする事がすべてだ。彼に少しばかりプレッシャーをかけられるかどうか、そこからだね。だが、僕はこのレベルではあまりプレーしていない。簡単ではないよ。

全力で当たらなければならないが、楽しみにしているよ。

Q. 現在のアメリカ・テニスは、明らかに低調です。原因は何だと思いますか? 変わってくると思いますか?

ピート・サンプラス:
なぜ低調になってきたかについては、確たる答えを持っていない。僕は低落だとは考えていないが、僕やジム、アンドレ、マイケルなどがいた90年代に起こった事は、かなり稀だったのだと思う。

現在もアイズナーやケリーといった、多くの可能性を秘めた若者がいると思うよ。そしてアンディは少し年齢を重ね、ジェームズ・ブレイクはそれほどプレーをしていない。

微妙な時期だ。ゲームが世界的な広がりを持ってきて、様々な地域でテニスが盛んになってきている。世界じゅうに才能ある多くの選手がいて、アメリカが支配的になるのは難しくなっているんだ。これは90年代に起こってきた事だと思う。各10年をそのまま繰り返すのは難しい。その事を現実的に受け止めねばならない。アメリカ人の陣容がそろうには、もう何年か必要かも知れない。だが、今でもアメリカ人選手はよくやっているよ。ただ、望むところにいないという事だ。サイクルとでもいうものがある。そして残念ながら、我々はそのサイクルの中で望むところにはいない。

つまり、2人の偉大な選手がゲームで優位を占めてきた。そしてアイズナーやケリーといった選手が、彼らと真に競り合うのは厳しい。彼らは他の皆より頭1つ抜け出ているからね。だから難しい時期なんだ。だが、この流れを変えられるよう望んでいるよ。

Q. ピート、 先頃マッツ・ビランデルは、数字を見るなら理論上はロジャーが史上最高だと思うと認めました。しかしロジャーがこの年月に直面してきた競争は、 ロディック、ヒューイットといった選手たちです。それは最もレベルの高い競争と言えるでしょうか? そしてビランデルがプレーしていた時代は、マッケンロー、コナーズ、ベッカー等々の選手たちが相手で、もっと厳しい時代でした。その事についてコメントし、またユーリ(誰?)やアンドレ等々、あなたが対決しなければならなかった選手たちと比較できますか? そして現在の時代と比較するとどうですか?

ピート・サンプラス:
彼の言っている事は分かるよ。そしてゲームで起きている事、それは、偉大なプレーヤーはほんのひと握りという事だ。たくさんの優れた選手たちがいるとは思う。だがメジャーで優勝した男の数は限られている。マッツの世代、僕の世代には、メジャーの優勝者はもっと多かった。ベッカー、エドバーグ、シュティッヒ、クーリエ、アガシ………と名前が挙げられる 。

現在はロジャーが何年にもわたって非常に支配的で、信頼に足る他の誰かがいない。たとえばソダーリング、あるいはベルダスコ、彼らは本当に、本当に優れたプレーヤーだ。だが、彼らがメジャー優勝できると信じているとは思わない。

それが、ロジャーがどれほど圧倒してきたか、そしてどれほど偉大かに対する答えだと思う。競争がさほどなかったとは必ずしも言えない。両方の要素が少しずつあるかも知れないとは思う。

だが、2人の男がこれほどテニス界を支配している時代は、これまで見た事がない。

そして競争は―――それについては、ロジャーには如何ともしがたいものだ。先日の夜に彼がバブリンカに対したようなプレーをして、1時間20分、1-3-1で勝利しても、彼がそれほど優っているのは彼の過失ではない。そして他の選手たちは、準々決勝まで進出して、ロジャーとラファを倒せると自己を信じていなくても、それなりに満足している。彼ら2人は明らかに世界最高の選手であり、精神的にも、他の男たちに対して本当に大きな強みを得てきたのだと思う。

Q. あなたはナンバー1の座に留まるため、6年間どれほど懸命に努めてきたかを語りました。あなたがあの時代にしなければならなかったように、彼も直面する競争に同じくらい努めねばならなかったのでしょうか?

ピート・サンプラス:
まあ、それは違う種類の―――彼はプレースタイルという点で、僕の時代とは異なるタイプの選手たちと相対している。僕の時代には、危険な、ビッグサーブを持ち、そのサーブで相手をコートから弾き飛ばせるプレーヤーがいると感じていた。

僕は、ある日にはそういった男たちの1人と対戦し、翌日には優れたリターナーと対戦した。それに対して、ロジャーはコートで恐れを感じる事がない。相手からそれほど大きなプレッシャーをかけられているとは感じていないと思う。

誰もが言わば同じようなプレーをしていると思う。ロジャーはそれが他の選手より優れているんだ。それとラファ、彼らは動きがより優れている。バックコートからの動きがいいんだ。精神的にも強い。僕から見れば、サーブで相手をコートから吹き飛ばす事もできる男たち、クライチェクやイバニセビッチといった大いなる脅威がいない事は明らかだ。

だが、この男たちが可能にしてきた事、これほど安定している事を称賛すべきだと思う。信じがたいほど素晴らしいよ。それが僕の見方だ。彼らは大した男とは対戦していないじゃないか、とは見ない。彼らは彼らの世代の競争をして、そして圧倒しているんだ。僕にはそれで充分だよ。

Q. ピート、ちょっとした好奇心です。現在の偉人と、彼らに先立つあなたの素晴らしいプレーへの言及で、もし時間を変えて、現在のフェデラーとナダルに全盛期のあなたを加えられるとしたら、比較をする事ができるでしょうか?

ピート・サンプラス:
自分の世代のトップ選手を挙げると、たとえば僕、アンドレあるいはベッカーだとしたら、僕は大きなタイトルを勝ち取るつもりだったし、彼らも大きなタイトルを勝ち取ろうとしていた。

世代を比較するのは難しいと思うよ。もし我々がみんな同じ時代にプレーしていたら―――という事だね。サーフェスごとに、全員がかなり対等だったんじゃないかな。優勝者の幅が広がっただろう。

1人の男が誰かに対して、明らかに10対1だったとは思わない。かなり対等だっただろうと思う。どんな世代でも、僕のゲームはそれなりのボレーゲームも加えて、キープできるだろうと思うよ。その手のプレーは絶滅したと誰もが言う。でも僕は、今でも効果的なプレー法だと思う。

面白い事になっただろうね。その問題に関しては、我々はみんな世代を比較したがり、ボルグ、マッケンロー、あるいはレーバーに対して僕がどうか、などを比較したがる。比較は難しいよ。ゲームは変化してきたし、テクノロジーも変化してきた。だが我々はみんな同じように感じていただろう―――全盛期に、僕は負け知らずだと感じていた。ロジャーもそうだ。レンドルも、レーバーも、そうだった。それが自分の世代への見方だと思う。そして1つの世代が他の世代よりも良いと言う事、比較する事は難しいよ。

だが僕は自分が、とても、とても強くて、そして層の厚い世代の出身だと感じていた。その事を誇りに思うよ。

Q. 気の早い予想ですが、フェデラーとナダルはメルボルン対決へと向かいそうでしょうか? 実現の見込みはどうでしょう?

ピート・サンプラス:
素晴らしいだろうね。ライバル関係とスポーツ界に1ページを加える事になる。我々は彼らが再び対戦するのを心待ちにしているよ。もちろん、彼らが決勝まで到達するには、もう少し仕事がある。

だが僕は、ロジャーのチャンスだと思っている。彼は序盤戦でそれほどエネルギーを費やさなかったよね。ジョコビッチ戦は難題になるだろう。でもロジャーは彼を倒せると思うよ。そしてナダルとロジャーの試合は五分五分だ。どちらかが明らかに優勢とは言えない。前回の事からいって、ラファがほんの少しだけ優勢かな。

とにかく、エキサイティングなものになるだろうね。(アメフトの)パッカーズとスティーラーズのように、最高の2チームがスーパーボウルでプレーするみたいだ。2人の最高のプレーヤーが、あそこで対戦する。ロジャーとラファになるだろうと思うよ。

Q. もしナダルがオーストラリアでも優勝して4大会連続優勝を遂げたら、テニスの業績という点でどう位置づけますか? レーバーの年間グランドスラムとの比較はどんなものでしょう?

ピート・サンプラス:
記録の上では、それは年間グランドスラムとはならないが、それに匹敵すると思う。彼がここでしようとしている事は、成し遂げたら、信じがたいほど素晴らしい事だ。

つまり、他に言うべき言葉が浮かばないよ。現代における、そしてレーバーがグランドスラムを成し遂げた頃よりも競争が熾烈な時代において、スポーツ全体の中でも最高の業績の1つだ。

正直に言って、彼がその実現に迫っている事、とても順調に連続優勝できてきた事は、信じがたいほどだ。その堅実性と、すべてのサーフェスでの優勝、それを競争が非常に厳しい時代にするのは、驚嘆すべき偉業だ。

彼をレーバーのグランドスラムと並び立たせるべきだよ。つまり、厳密には1月からUSオープンまでではないが、彼は続けて4大会すべてを獲得しようとしている。それはレーバー以降、誰もなし得なかった事だ。驚異的な事だよ。

Q. クーリエについてですが、彼はデビスカップの監督デビューをしようとしています。もちろん、デビスカップ・チームでの戦いから、あなたはジムの事をよく承知していますね。コーチとしての彼の資質について、話してもらえますか?

ピート・サンプラス:
彼は素晴らしい監督になれる資質があると思う。これから多くの経験を積んでいく。彼はチームの選手たちに、断固とした心構えを植え付けていくだろう。コート上での彼の存在感は、誰にも感じ取られるよ。彼はとても真剣な男だ。だが彼は、チーム内の異なる個性にも気付いていると思う。アイズナーであれ、ケリーであれ、ロディックであれ、彼は充分に長くそばにいたから、何を言うべきか、何を言わないべきかを承知している。彼は規律正しい、しっかりした組織を創り上げるだろう。

ジムは非常に厳しく鍛え上げた競技者、そして人間だが、同時にとても几帳面だった。素晴らしい監督になると思うよ。選手たちは彼を尊敬するだろう。そして彼は素晴らしい仕事をすると思う。

Q. ミディアム・ハードコートでナダル / フェデラーの決勝戦があり、そしてあなたがコーチだとしましょう。その前夜、あなたはフェデラーに何を、そしていかにラファを仕留められるかを話しますか? またラファに対してならどんな事を話しますか?

ピート・サンプラス:
そうだね、左利きと対戦する時にいつも感じてきたが、特にナダルとだと―――僕はアンドレと対戦する時に少しばかり実行してきたが、コート全体を使わなければならない。ただ彼のバックハンドを攻めるのではダメだ。ラファのフォアハンド・ワイドに攻めてオープンコートをつくり、そしてバックハンドを攻めるべきだ。

毎ゲームではないが、ロジャーはセカンドサーブを回り込んでフォアハンドで叩き、そしてチップ&チャージを仕掛けてみるのはどうかな。ロジャーが引きずり込まれたくないのは、長い、骨の折れるラリーだと思う。回復するのが厳しいし、5セットマッチになると影響も出てくる。そしてラファはそれを続ける事ができる。彼は時折サーブ&ボレーを織り交ぜてみるべきだと思う。時にはセカンドサーブででも。ラファははるか後方に構えているからね。ちょっと違った様相を見せるんだ。いつもと違う事をするのは、ロジャーにはあまり快適ではないと知っているよ。だがラファに対しては、他のプレーヤーに対してなら必要のない事をするよう強いられると思う。ラファは彼にとって、とてもタフな相手だろう。

だがコート全体を使うんだ。チャンスを掴みにいく。少しばかりネットへと前進する。それ以外には、とにかくプレーして、それら1つ2つの事について考え、やってみる事だ。

彼が長い、骨の折れるラリーを望んでいるとは思わないよ。それも得意で、その方法で多くのポイントを勝ち取る事ができるけれどね。だが3時間以上、5セットとなると、ラファに対してそれを続けるのは、肉体的にも精神的にも厳しいと思う。

Q. ラファがロジャーを仕留めるには、何をしなければなりませんか?

ピート・サンプラス:
ラファは自分の得意な事を望むと思う。それは長いポイント、骨の折れるポイントをプレーする事で、ところどころで何本かのエースを打つ事も可能だ。

ロジャーに全力を尽くさせる。もちろん、彼のバックハンドへ多めに。だがラファのゴールは彼を疲れさせる事、そして持ち味であるカウンター・パンチャーに徹する事だ。

そしてラファの攻めどころだが、ステイバックして、堅実であるべきだと思う。そうすれば、多分ロジャーは少しばかりミスをするだろう。ラファは好調そうだから、その日、ロジャーが彼より好調であり得るかがカギだ。ラファはあまりミスを犯さないからね。いつも通り、マシーンと化すだろう。

Q. ラファが相手を根負けさせるのと、暑い日にアンドレが試みた事との間には、何か類似性があると思いますか?

ピート・サンプラス:
別物だよ。アンドレはもう少しベースライン寄りでプレーした。それが僕のゲームとかみ合うと―――アンドレの動きが良くて、リターンも好調なら、僕には長く厳しい日となった。似てはいるが、彼らは異なった方法でポイントを勝ち取る。

ラファは強烈なスピンで相手のバックハンドに高く弾ませる。一方でアンドレはもう少し早い段階で攻撃を仕掛け、ベースライン近くで構えていた。

だからアガシもカウンター・パンチャーと言えたが、早めにボールを捕らえていた。 ラファは相手にもう少し時間を与えるが、アンドレよりもはるかに動きが良い。そして、恐らくアンドレよりもう少し激しく競う。

Q. もしあなたの武器に誰かのストロークを魔法のように付け加えられたとすれば、どんなストローク、どの選手のどんな特質を加えたかったでしょうか?

ピート・サンプラス:
難しいね。もしナダルからなら、フォアハンド、そしてクレーでのすべてだね。そうなると、言わばサーブを失う事になる。どんなストロークというよりも―――ナダルの持つ精神的・肉体的強さ、それを選ぶかな。サーブとかフォアハンドとかではなく。

精神的な強さは、親から与えられたものだろう。見つけたり、教えたりするのは難しい。

彼は頑張り抜くという、まさにマラソン・ランナーの心構えを持っている。僕もそれを持っていたが、彼のはまったく新しいレベルのものだ。

Q. ラファとロジャーの対戦について質問しましたが、ナダルのフォアハンドによってロジャーがバックハンドに釘付けにされる時、打ち込まれる状況からどうやって脱する事ができるでしょう?

ピート・サンプラス:
とても難しいね。それがラファをあれほど偉大にしているものだ。その時点では、主導権を得るのは難しい。そしてラファがひとたびバックハンドにボールを打ちだすと、難しくなる。片手打ちのプレーヤーとして言えるのは、我々にとっては最もタフなショットという事だ。

厳しい―――何ができるっていうんだい? とにかく深く返球するようにして、フォアハンドを打つチャンスを待つしかない。スライスを試みる事もできるが、優れたスライスに限る。彼はラファへのサービス・リターンから、かなり攻撃的にやっていると思うよ。

1本の短いボールを得たら、エンジン全開にしないと、彼はバックハンドに攻めてこようとする。そして(聞きとれない)僕に対してそれをやっていた。だから彼にできる事は多くない。そういったポイントが始まると、困難な戦いになる。

それが、ラファが誰に対しても圧倒的な理由だ。片手打ちの選手たちに対して持っているそのプレーゆえに。ベルディヒのような、両手打ちでコートへ打ち込むタイプの選手は、ラファにはよりタフだが、ラファとロジャーだと、ロジャーは少し不利だった。

Q. あなたは決勝戦は五分五分だろうと言いました。もし予想をしなければならないとしたら、5セットでロジャー、あるいは4セットでラファ?

ピート・サンプラス:
ベスト・オブ・5セットである事、そしてコンディションの状況を考えるだけでも難しいよ。50/50だ。プレーからして、ラファが1〜2パーセント優位かも知れない。いずれにしても、両者ともそこへたどり着く前に若干の仕事が残っているよ。だがもし実現したら―――前回の実績からいって、ラファが少しだけ優勢かも知れない。ロジャーが楽に勝つ事もあり得るが、良いプレーをしなければならない。もし彼がついていない日だと、ラファがタイトルを勝ち取るだろう。だが、まだ仕事が残っているよ。

Q. ピート、あなたの発言は、コーチとしてかなり自然に聞こえていました。その方面について、何か進展でも?

ピート・サンプラス:
いいや。だが僕はスポーツを知っているし、その一部始終と心理面を知っている。でも誰も僕にコーチングを依頼してこないよ。みんな僕を少し怖がっているのかもね。

Q. あなたがパトリックと少し話をしたのは承知していますが、USTA との話し合いはありませんでした。それ以降の話し合いなどは?

ピート・サンプラス:
電話が鳴らない時、それは彼らだと承知しているよ。僕はパットに話をした。そしてロスに住んでいる。この辺りには何人かのプロがいる。僕は何人かの若い選手に手を貸して、彼らと一緒にコートにいるのが好きだ。それは僕にとって楽しみだ。そして自分の知っている事を少し伝えられた。

だが言ったように、電話が鳴らない時、それは USTA だと承知しているよ。

Q. 2日前にミロス・ラオニックという、驚異的なサーブを持つ有望なカナダ人選手が、あなたが自分のアイドルで、特にサーブに触発されたと語りました。あなたの偉業や遺産に関してそういった事を聞くと、どのように感じますか?

ピート・サンプラス:
年を取ったなあって感じるよ(笑)。へえ、彼が僕について思った事は、僕がレーバーについて思った事だって感じるよ。彼は恐らく90年代に生まれたのだろう。

面映ゆい事だ。引退して6〜7年も経つと、自分がテニスに与えた影響や、人々が僕のゲームと僕のサーブを称賛し、いくらか模倣していた事を時に忘れてしまう。とても面映ゆいよ。

Q. 皆さんにご説明すると、ミロス・ラオニックとは、我々が本戦ワイルドカードを与えた選手です。彼はサンノゼに出場します。ピート、彼はあなたに会いたいと我々に伝えてきました。

ピート・サンプラス:
もちろん、いいよ。

Q. あなたが若い頃にレンドルの自宅へ行き、彼の職業倫理などを見た事は、どれほど重要でしたか? カギとなりましたか?

ピート・サンプラス:
世界最高の選手とともに過ごして、彼がどのように試合の準備をするか、どのようにトレーニングをするかを見て、彼という人間を、彼がいかに几帳面かを少しばかり知る事ができて、まさに僕の目を開かせる貴重な経験だった。

16歳では、自分のキャリアで何が進行しているのかは充分に理解していない。ただ良いテニスをしようとしているだけだ。テニス界の偉人がその全盛期に、マスターズでの試合のために準備する、それは僕の目をまさに開かせるものだったよ。

彼のプレーを見て、スポーツや僕のゲームについて話をし、真冬のコネチカットで25マイルの自転車走に行った。彼のしていた事は、僕がイワンという人間を知り、敬意を抱くものだった。彼はマッケンローほどには才能に恵まれていなかったが、それをハードワークと専心で克服した。そして僕はそれを直に学んだんだ。


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