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2011年9月12日
サンプラスは若いラオニッチに称賛を送る
文:Joseph Hall


時速150マイルの豪速球サーブに続けてネットへと突進するミロシュ・ラオニッチの足には、サイズ14のシューズがぴったり合っている。

しかし少年時代のアイドル、そして偉大な先輩であるピート・サンプラスの足跡に続く事はできるのか? メジャータイトル、さらには男子テニス・ランキングで286週間ナンバー1という記録に。

もちろんだよ、とテニス史で最も支配的だったサーブ&ボレーの芸術家、サンプラスは言う。

「彼はすべての武器を備えている」と、現在40歳のサンプラスは語る。彼はエア・カナダ・センターで11月17日に開催されるエキシビション・マッチで、20歳の新参者と対決するのだ。

「僕は彼のプレーが好きだよ。彼はビッグサーブを打ち、すすんで前に詰めようとする。バックコートからも良いプレーをする」と、2002年にツアーを引退したサンプラスは語る。

実際、ラオニッチが自分のゲームを全盛期のサンプラスの域にまで高めるのに必要なのは、高いレベルの競い合いを続ける事だという。

「彼に必要なのは経験だ。トップの男たちと対戦するような状況にいる事だ」とサンプラスは語る。

「彼はグランドスラムで活躍し、そしてトップ30、20、それ以上にまで上がっていくだけのゲームを持っている。だが経験にまさるものはない」

ラオニッチとしては、サンプラスからアドバイスを受けられる事を喜んでいる。特に、もっとネットへ攻撃するようにという要望を。

「ネットへ詰めて、そこでもっと多くのポイントを決める事は、僕が取り組み、上達しようとしている事だ」と、現在はベースラインでプレーする事の多いラオニッチは語る。

ラオニッチは6月にウィンブルドンで転倒し、手術が必要なほど腰を傷めてUSオープンを欠場しなければならなかったが、現在は完全に回復したという。彼はデビスカップで復帰し、金曜日にはイスラエルとの試合に出場する。

しかしサンプラスからのもう1つの助言を守って、ラオニッチは以前よりもストレッチと理学療法を取り入れている。

「以前はそういった身体のケアを充分にしていなかったが、いまは気をつけていて、それが大いに役だっていると思う」とラオニッチは語る。彼はスペイン人のセラピストと、フルタイムで一緒にツアーを回る予定だ。

共に大柄で、強烈なビッグサーブを持つサンプラスとラオニッチは、エアー・カナダ・センター( ACC )のフェイス-オフ・マッチでは爆弾の応酬を約束する。このイベントは、ホッケーとバスケットボールの競技場で開催される初のプロテニスゲームとなる。

そして、ゲーム中に決まり悪い思いをせずに済むだろうと、サンプラスに幾分かの自信を与えるものは、彼自身のサーブである。イベントでは、大方のテニス選手が現役を退く年齢の10年後に、伸び盛りの対戦相手と対決するのだ。

「最も大きな武器は僕のサーブだ。今でもかなり上手くサーブが打てるし、サーブ&ボレーもして、サービスをキープする事ができる」とサンプラスは語る。「そういった武器を持つというのは、嬉しいボーナスだよ」

この対戦が実現したきっかけは、ラオニッチがサンプラスへの称賛を述べた事だった。

「彼はいつも僕を尊敬してくれている。そこで、2人で対戦してみようかと決めたんだ」とサンプラスは語る。

「難しくはあるよ。我々は競い合ったものにしたいと思った。そして僕が何としても避けたいのは、決まり悪い思いをする事だ。だが共にコートに立つ、それだけでも彼と僕にとっては楽しいだろうと思うよ」

しかしなお、この「冬のライオン」は、自分の半分の年齢の男たちと対戦する日々は、終わりが近づいていると言う。

「現役選手との対戦はより厳しくなってきている。後どれくらい続けられるかは、何とも言えない」とサンプラスは言う。

そして ACC のハードコート・サーフェスでも、「ヒーロー」としての地位は揺るがないものの、ラオニッチからフリーパスを受け取る訳ではない。

「彼に僕のできる事を披露したい」とラオニッチは言う。彼はツアーに初めてフル参戦した今年、ランキングを自己最高の25位にまで上げたのだ。

「僕は全力でプレーするつもりだし、彼も同様だ」

自分とラオニッチのゲームには似たところが多くある、とサンプラスは語る。そして年齢的にはかなり離れた対戦でも、成功を収める事も可能だと。

しかし礼儀、そして人間の品位さえもがコートから横柄に投げ捨てられる事もあるスポーツ界で、ラオニッチが見習おうとしているのは、同じくサンプラスの紳士的な取り組み方である。

「僕は彼のサーブや態度だけでなく、彼が成し遂げてきた多くの事を尊敬しているんだ」とラオニッチは語る。「コート上で彼ほど人間的に円熟した状態でいるのは、僕には難しい」

「だがフラストレーションに対処し、精神力を保つ事に関しては、彼から大いに学びたいよ」


*下のリンクから、ラオニッチとのエキシビションに関して、ピートのラジオ・インタビューが聞かれます。
http://www.fan590.com/media.jsp?content=20110922_083545_3372


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