2011年10月30日
モヤはおとぎ話のようなエル・アイナウイの勢いを止め、2011年成都オープン優勝とナンバー１の座を手に入れる
サンプラスは３位決定戦で、2009年成都オープン・チャンピオンのエンクイストを下す
＊写真をクリックすると、拡大版が見られます。
スペインのカルロス・モヤとモロッコのヨナス・エル・アイナウイは2011年成都オープン決勝戦で対決し、モヤが６-２、７-６（６）で勝利して、タイトルと ATP チャンピオンズ・ツアー・ナンバー１の座を獲得した。
ダーク・ホース的存在だったエル・アイナウイは、ラウンドロビンでピート・サンプラス、マラト・サフィン、ウェイン・フェレイラを破って決勝戦に進出したが、疲れ知らずのモヤによって成都の夢は打ち砕かれた。
エル・アイナウイはひどくあがっていて、モヤが第１ゲームで彼をブレークすると、彼の不安感はますます増大した。
「テニスでは時に、上手くプレーしたい、良いプレーをしたいと思いすぎると、正反対の事が起こってしまうんだ」と試合後にエル・アイナウイは語った。「僕は硬くなり、ピリピリしていた。最初の２試合では、勝つとは思われていなかった―――誰も僕に期待していなかったから、リラックスしてプレーができた。今日は、自分にもチャンスがあると知っていた。最後の試合だから、自分に言い聞かせたんだ。『いいか、お前は良いプレーをしなければならないぞ』ってね―――すると、正反対の事が起こってしまった」
「勝敗はそこここの数ポイントで決した」とモヤは語った。「彼はたった１ゲームだけ悪いプレーをしたんだ―――彼の最初のサービスゲームだ。それで、自分が１ブレークアップしていると、自分のゲームをする事、リラックスする事がより容易になるんだ」
モヤは前日に、決勝戦は数ポイントの差で決着し、「これらのカギとなるポイントを勝ち取った方が試合にも勝つだろう」と予測していた。
彼は正しかった。
エル・アイナウイは第１セットの２-３で５本のブレークポイントを得て、試合をタイにするチャンスがあったのだが、ものにできなかった。モヤは７回のデュースの末にサービスゲームをキープすると、勢いを加速させた。
「彼には５回のブレークチャンスがあった―――もしそれを活かしていれば、３-３となって試合は振り出しに戻っていた」とモヤは語った。「結局ブレークはならず、４-２となった。それで次のゲームでは僕はもっとリラックスしてプレーし、再度ブレークする事ができたんだ―――そして第１セットは終わった」
第２セットでは両プレーヤーにブレークチャンスがあったが、双方ともそれを活かせずにタイブレークへと突入した。エル・アイナウイは５-６ではエースでマッチポイントをセーブしたが、６-６の場面ではモヤが打った２本のロブの１つがベースラインのコーナーを捉え、狼狽した。次にモヤは息を呑むようなバックハンドのボレーでポイントを決めた。そしてワイドへのサービス・ウィナーで試合を終えたのだった。
「６-６で打った２本のロブ―――ラインを捉えた１本―――僕はラッキーだったよ。あのボールが１センチでもラインを越えていたら、７-６で彼のリードとなっていた。そうしたら次のポイントがどうなったか分からなかったよ。とにかく重要なポイントを取れるかどうかという問題だ―――そしてその大半は僕のものとなった。素晴らしい試合だったし、僕にとっては素晴らしい大会だった。本当にここでのプレーを楽しんだよ」
モヤが成都オープンに臨んだ時点では、南アフリカ航空ランキングでマーク・フィリポウシスに100ポイントの差をつけられていたが、優勝の220ポイントを得て、現在は彼を追い抜いている。モヤはボゴタ大会の決勝戦でフィリポウシスに敗れた後、サンパウロ、クノック・ヘイスト、そして成都と連続してタイトルを獲得した。
「この国でプレーしてとても嬉しかったよ。こんな壮大なスタジアムは初めてだ」とエル・アイナウイは語った。「今日はベストを尽くしたが、カルロスが良すぎたよ。第３セットまで持ち込もうと試みたが、彼はシニアツアーで最高のプレーヤーの１人だからね」
エンクイストは、厳重にテーピングされた膝がプレーの妨げになったのではないかという示唆を巧みにかわし、「少し痛い」だけと称して、テーピングは同情を引くためのトリックだと冗談を言った。「ピートと対戦できて嬉しかったよ」と彼は語った。「彼との対戦はいつだって光栄な事で、このように再び実現できるとあれば、その機会を逃したくない」
「この大会は本当によく我々のケアをしてくれる。本当に素晴らしい待遇で、我々はここでの滞在を楽しんでいるよ」とエンクイストは語った。彼は2009年に大会が始まった時から毎年、成都オープンに出場してきた。
「見事な運営の大会だ」とサンプラスも同意した。「立派な組織で、ホテルも素晴らしい。僕が今年も戻ってきたのには、もちろんその意味合いが大きかった―――楽しい経験をした場所に戻るという事だ」
2011年成都オープンに新しく加わった、お楽しみの１セットマッチのダブルスでは、サフィン/スリチャパン組が、オリンピック・ダブルス銀メダリストのフェレイラとパートナーのフィリポウシスを６-３で破った。素晴らしいラリーと笑顔で、成都オープン最終日にファンを喜ばせたダブルスマッチは、きっと新しい伝統になるだろう。
2011年成都オープンは、新チャンピオン、そして ATP チャンピオンズ・ツアーの新しいナンバー１ともなったカルロス・モヤの優勝で、中国テニスの黄金月間に幕を下ろした。
2011年大会結果
10月27日・木曜日
サフィン (RUS) def. フェレイラ (RSA) ６-２、６-３
エンクイスト (SWE) def. スリチャパン (THA) ６-３、６-３
エンクイスト (SWE) /チェン (CHN) def. フェレイラ (RSA) /リー(CHN) ６-４
モヤ (ESP) def. フィリポウシス (AUS) ７-５、６-２
エル・アイナウイ (MAR) def. サンプラス (USA) ６-４、７-６（２)
10月28日・金曜日
モヤ (ESP) def. スリチャパン (THA) ６-２、６-４
エンクイスト (SWE) def. フィリポウシス (AUS) ６-７（４)、７-６（６)、10-６
モヤ (ESP) / シェン (CHN) def. フィリポウシス (AUS) / ジェン (CHN) ６-１
サンプラス (USA) def. フェレイラ (RSA) ６-３、６-２
エル・アイナウイ (MAR) def. サフィン (RUS) ４-６、７-５、11-９
10月29日・土曜日
エル・アイナウイ (MAR) def. フェレイラ (RSA) ７-６（６)、６-１
エル・アイナウイ (MAR) / チェン (CHN) def. スリチャパン (THA) / チュー (CHN) ３-２
サンプラス (USA) def. サフィン (RUS) ６-１、６-７（６)、10-８
モヤ (ESP) def. エンクイスト (SWE) ６-４、６-４
フィリポウシス (AUS) def. スリチャパン (THA) ６-３、６-１
10月30日・日曜日
サフィン (RUS) / スリチャパン (THA) def. フィリポウシス (AUS) / フェレイラ (RSA) ６-３
サンプラス (USA) def. エンクイスト (SWE) ６-４、６-４
モヤ (ESP) def. エル・アイナウイ (MAR) ６-２、７-６（６）