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2010年9月20日
サンプラスは引退生活を楽しんでいる
文:Marjie Ducey


このところ、ピート・サンプラスは大会のタイトルではなく、息子を追いかけている。

世界を回ってテニスの栄光を追い求め、15年のキャリアで64のシングルス・タイトル、14のグランドスラムを積み上げ、4,300万ドル以上の賞金を得たサンプラスはもういない。

現在は、時間通りにクリスチャンとライアンを学校へ連れて行くため、猛ダッシュしているのだ。

「午前7時45分までにドアから出て、車を飛ばすんだ」とサンプラスは言った。

それでも、8年前に引退して以来、サンプラスの生活はかなりスローになった。カリフォルニア州ブレントウッドにおける典型的な1日は、午前中にテニスボールを打ち、妻のブリジットと昼食をとり、そして学校が終わって子供たちを車で拾う前に、多少のゴルフを割り込ませる事だ、と語った。

「僕はビジネスマンではない。アスリートだ。外に出て2時間ほどヒッティングをして、良い気分を味わう。死にもの狂いではないが、集中すべき何かではある」

12月3日、クウェストセンター・オマハで開催されるロック&ラケット・イベントのために、彼はオマハにやって来る。彼とアンディ・ロディックはダブルスでチームを組み、USオープン・チャンピオンのマイク&ボブ・ブライアンと対戦する。そして次に、2人はシングルスで対戦する。ブライアン兄弟はバンド演奏も披露する。

引退後の数年間、サンプラスはテニスに関する事は何もしたがらなかった。疲れ切り、テニスはもう充分だと感じていたのだ。

彼はラケットを握らず、テニスについて話す事も望まなかった。その代わりにゴルフコースを回っていた。体重も数ポンド増加した。

「テニスから離れて、緊張を解きたかったんだ」と彼は語った。「これまでするチャンスのなかった事を楽しんだりした」

しかししばらくすると、何らかの秩序を必要とするようになった、とサンプラスは語った。彼は少しヒッティングを始め、体調が戻るのを心地よく感じた。

次はエキシビションだった。先週の土曜日には、引退したもう1人の偉人、アンドレ・アガシと対戦した。
訳注:このコスタ・リカでのエキシビションは、台風のために延期となった。

「しばらくすると、人間は少しばかり仕事が必要になるんだ」と彼は言った。「おおかたの人は31歳で事業などを始める。僕は31歳で仕事を終えていたんだ」

プレーする事は、自分をより良い父親、夫にしてくれると彼は言う。そして、かつてのようなスケジュールでではないが、外に出てプレーする機会を楽しんでいる。

プロテニスの世界からは距離をおいているが、サンプラスは今でもテニスを見る事が好きだと語った。USオープンのラファエル・ナダルとノバク・ジョコビッチの決勝戦も、部分的に見た。

「ナダルは素晴らしいアスリートだ。精神的にも肉体的にも、誰よりも強い」とサンプラスは語った。「彼はまだ24歳だ。もし精神的にも肉体的にも、このまま強い状態でいるなら、誰よりも多くのメジャーで優勝するだろう」

「彼はこの10年を代表する選手と言えるだろう、彼とロジャーは」

29歳のロジャー・フェデラーは、サンプラスが引退した年齢に近づいているが、スイスのスターは今でもプレーする事、そして旅行する事を楽しんでいるとサンプラスは語った。サンプラスには楽しみとならなくなったものだ。

「何であれ、ロジャーを考慮外におく事はないよ」とサンプラスは言った。「毎週毎週という点では、かつてほどは安定していない。彼はとても多くの事を成し遂げてきたが、年齢を重ねるにつれて、モチベーションを保つ事は難しくなってくるものだ」

ロディックについては、厳しい競争に直面してきたとはいえ、素晴らしいキャリアを作り上げてきたと語った。彼自身、アガシ、ジム・クーリエが競い合っていた時のような、特別な時代を合衆国が迎えるには、何年もかかるのではないかとサンプラスは語った。

「メディアは、USオープンやウィンブルドンのチャンピオンがアメリカ人である事を望む。僕はそれがそんなに早く実現するとは思わない」と彼は言った。「ロジャーとナダル、彼らは明らかに他の誰よりも一段階レベルが上だ」

サンプラスはメジャー大会を、フラッシングメドウの日曜日に決勝戦に登場する事を懐かしく思うと語る。彼はそれをスーパーボウルと呼んだ。だが日ごとの厳しいトレーニングや、世界最高の選手である事のストレスを懐かしいとは感じていない。

「嬉しい事も辛い事もあり、多くの事を経験してきた」と彼は語った。「同時に、僕はスポーツをして暮らしていた。それはあらゆる男の夢だ」

息子たちがテニスの道を選ぶかどうかは、はっきりしない。彼自身は5歳頃に自宅の地下室でラケットを見つけ出し、テニスを始めたが。

息子たちは運動好きだが、彼らにはゴルフを経験させてきたと言った。それは彼が愛し、やり甲斐を見いだしているゲームである。そして学校が再開した今は、さらに多くの時間をゴルフに使えると語った。一家は素晴らしい夏休みを過ごしたが、それは妻と再び繋がりを持つ時間でもあったと言う。

「引退とは進行中の行程だ」と彼は語った。「僕はかなり上手くバランスを取っている。テニスをして、家族で過ごし、そしてゴルフを楽しむんだ。こうなるには少し時間がかかったが、今の生活を気に入っているよ」


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