ロサンジェルス・タイムズ
2010年12月7日
テニス界における最高の勝利者の1人、ピート・サンプラスが重大な損害をこうむる
文:Bill Dwyre


記録を打ち立ててきたサンプラスのテニスキャリアから、トロフィーや他の思い出の品々が、公共の倉庫から盗まれた。彼が獲得した14のグランドスラム・シングルス・トロフィーのうち、13は今なお手元にあるが、他のほとんどすべては失われた。


ピート・サンプラスが伝説的なテニスキャリアを終えた時、店を開けるほどのトロフィーがあった。同じく、完璧な名前が。すなわち第一人者(エース)。

それはもはやない。

サンプラスはトロフィー、メダル、飾り額、クリスタルガラス、リング等の大半を奪われた。これらは当時の記録である14のメジャータイトルをもたらしたキャリアの、そしてテニス界で最も偉大な選手の1人としての地位のあかしである。3週間前、彼はこれらキャリアのシンボルを収めてある箱の多数が盗まれていた事を知ったのだった。

「14のグランドスラム・トロフィーのうち、13は持っている」と彼は語った。「幾つかは自宅に、幾つかはナイキ・タウン(ポートランド)にある。初のオーストラリアン・オープン・トロフィーは失われた。そして他のすべても」

7つのウィンブルドン、5つのUSオープン、1つのオーストラリアン・オープンのトロフィーは残っている。

「他のすべて」には64のツアー大会に優勝したトロフィー、24の準優勝分が含まれる。5回のシーズン最終戦 ATP ワールドツアー優勝、2回のデビスカップ優勝に対して贈られたトロフィー、そして11の ATP マスターズ大会タイトルも含まれる。オリンピック・リング、7つの ESPYs、年末ナンバー1選手に授与される6つのトロフィーも含まれる。現在39歳のサンプラスは、1993年から1998年まで年末ナンバー1に在位した。

これらのアイテムは、西ロサンジェルスの公共倉庫から盗まれた。サンプラスは2つのユニットを借り受け、家具とこれらの品々の箱を収容していた。いくつかの大きな家具を除いて、すべてが奪われたのだ。

「我々は住宅の案件を抱えていた」とサンプラスは語った。「そして、その件に対処する間、いろいろな物を倉庫に保管しておいたんだ」

数年前、彼と妻の女優ブリジット・ウィルソン、息子のクリスチャンとライアンは、ビバリーヒルズからサウザンド・オークスへと転居した。自宅はシャーウッド・カントリークラブを囲む丘に建っていた。最近、彼らは再び、今回はブレントウッドへと転居した。

サンプラスは、自分の物が安全を保証されないとは思ってもみなかったと語った。

「『どういう事?』って感じだった」と彼は語った。「監視カメラがあると思っていた。これらの物はしっかりと保管されていると思っていた。ショックだったよ」

警察は現在のところ手がかりを掴んでいないが、何か聞いた人を知っている者が申し出てくるかも知れないので、事件を公にするよう警察から勧められたと彼は語った。

ロサンジェルス市警察報道官は捜査が継続中であると認め、所管はダウンタウン営利犯罪ユニットに移管されたと語った。

サンプラスは自分のトロフィーが狙われたのか、あるいは単に盗まれた家具と共に持っていかれたのか、見当も付かないと語った。

もちろん、 EBay オークション・サイトに1994年オーストラリアン・オープン男子シングルス優勝トロフィーが出品されると、ただちに大問題となるだろう。サンプラスが失った他のすべてについても同様である。したがって、サンプラスのトロフィー類を手に入れた者にとって、次のステップは明らかに問題をはらんでいる。

また、サンプラスはこの件を大惨事として捉えてはいない。

「僕はトロフィーを眺めて悦に入ったり、見せびらかす人間ではない」とサンプラスは語った。「そういう事は一度もしていない。息子たちに見てほしいだけだ。彼らは現役時の僕がプレーするのを見ていないが、これらを見てほしいと思っていた」

クリスチャンは8歳で、ライアンは5歳である。サンプラスの現役最後の試合は、アンドレ・アガシに勝利した2002年USオープン決勝戦だった。

「これらの物を失うのは、僕のテニス人生の歴史が奪われたような気分だ」と彼は語った。

サンプラスが表紙を飾る多数のものを含め、雑誌の記事が失われた。同様に、彼がロイ・エマーソンのグランドスラム記録と並び、そして破った後にロサンジェルス・タイムズ第1面を飾った記事を含め、新聞記事のスクラップもまた。

パール・ジャムのリードボーカル、エディ・ベダーがサインしたプログラム、エルトン・ジョンのサイン入りピアノ椅子、カルロス・サンタナのサイン入りギターも失われた。

サンプラスは、これらの物は価値を査定する方法がないから、保険を掛けていなかったと語った。

「僕にとっては、息子たちのためにそれを持っている事が、お金には代えがたい貴重な事なんだ」と彼は語った。「ただもう、すでに破壊されていない事を望んでいる。それが、事件について公に語りたいと思った理由だ。望み薄だとは承知しているが、少なくとも試みてみなかったら、後悔するだろう。誰かが何かを知っているかも知れない」

「それが、望みうるすべてだ」


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